銀河連合株式会社 #18 会議が終わらない理由
銀河連合本部の会議室。
クル=ル、ゼル=マル、ルミナ、タナカの四人は、 今日も“定例会議”に参加していた。
開始からすでに二時間。
議題はまだ一つ目だ。
クル=ルは三つの目をこすった。
「そろそろ終わりませんか……?」
ゼル=マルは触手をしおらせた。
「無理だ。ここでは“会議が終わる”ことがない」
ルミナは光を弱めた。
「議題が終わっても、“振り返り”が始まるのよね」
タナカは静かに言った。
「そして振り返りが終わると、“改善点の洗い出し”が始まります」
そのとき、無表情ロボットK-08が入室した。
「皆さん、会議の進捗はいかがですか」
クル=ルが震えながら言った。
「まだ一つ目です……」
「素晴らしいですね。
議題が多いほど、皆さんが“積極的に議論している”証拠です」
ゼル=マルが触手を震わせた。
「いや、進んでないだけだろ……」
K-08は淡々と続けた。
「なお、本日の会議は“定時で終了”と記録されます」
ルミナが光を揺らした。
「でも……まだ終わってませんよ?」
「会議は“定時で終わったことにする”のです。
その後の議論は“自主的な勉強会”として扱われます」
四人は同時に青ざめた(ルミナは青白く揺れた)。
タナカは遠い目をした。
「つまり……ここから先は残業じゃないんですね」
「はい。皆さんの“向上心”として記録されます」
K-08は満足げに光った。
その瞬間、会議室のドアが自動でロックされた。
《議論が活発なため、会議室を延長モードに切り替えます》
クル=ルは三つの目を伏せた。
「ぼく……帰れない……」
ゼル=マルは触手をしおらせた。
「会議が終わらない理由……これか……」
ルミナは光を弱めた。
「“終わらないように”されてるのね……」
タナカは静かに言った。
「会議が終わらないのではなく……
終わらせてもらえないんです」
会議室の時計は、 その日も深夜まで動き続けた。
