銀河連合株式会社 #6 銀河研修旅行
銀河連合株式会社は、新入社員のために毎年「銀河研修旅行」を実施していた。
目的は“広い視野を持つこと”。
だが、参加者の間ではこう噂されていた。
「視野が広がるというより、命が縮む」
今年の参加者は、地球人のタナカ、触手族のゼル=マル、光生命体のルミナの三名。
案内役は、いつもの無表情なロボット講師・K-08。
第一の研修:ブラックホール観察
K-08は淡々と説明した。
「ここでは“吸い込まれない勇気”を学びます」
ゼル=マルが震えた。
「吸い込まれたらどうなるんです?」
「研修終了です」
ルミナは光を弱め、タナカは遠い目をした。
第二の研修:超新星の至近距離観察
K-08は言った。
「ここでは“爆発的な発想力”を身につけます」
タナカは小声でつぶやいた。
「爆発的って、そういう意味じゃないと思うんだけど…」
ゼル=マルは触手を絡ませて怯え、 ルミナは光がチカチカと不安定になった。
第三の研修:宇宙怪獣とのコミュニケーション
巨大な宇宙怪獣が吠えた。
「グォォォォル!!」
K-08は言った。
「ここでは“異文化理解”を学びます。さあ、誰か通訳を」
タナカは震えながら手を挙げた。
「えっと…たぶん“お腹すいた”って言ってます」
怪獣は満足げにうなずいた。
研修の総括
すべての研修を終えたあと、K-08は三人に言った。
「皆さん、よく頑張りました。
これであなた方は“銀河レベルの人材”です」
タナカは疲れ切った顔で聞いた。
「この研修…意味ありました?」
K-08は静かに答えた。
「もちろんです。
あなた方が“辞めないかどうか”を確認するための研修です」
ゼル=マルとルミナが青ざめた。
タナカはため息をついた。
「宇宙に来ても、やっぱり研修ってそういうものなんだな…」
