銀河連合株式会社 #15 銀河管理職研修
銀河連合は、優秀な労働者を管理職へ育てるために、毎年「銀河管理職研修」を実施していた。
案内役は、いつもの無表情ロボット・K-08。
今年の受講者は、地球人のタナカ、触手族のゼル=マル、光生命体のルミナ、クル族のクル=ル。
【研修その1:多種族マネジメント】
K-08は淡々と説明した。
「管理職は、あらゆる種族をまとめる必要があります。ではまず、異種族同士の“価値観の違い”を理解しましょう」
ゼル=マルが手を挙げた。
「例えばどんな違いが?」
K-08は静かに答えた。
「ゼル族は“触手の数”で上下関係が決まります。
ルミナ族は“光の明るさ”で感情が変わります。
地球人は“残業時間”で評価が変わります」
タナカは遠い目をした。
【研修その2:ブラックホール部下の扱い方】
巨大なブラックホールが目の前に現れた。
K-08は言った。
「ブラックホール型部下は、“すべてを吸い込む”性質があります。
報告、相談、責任、そしてあなたの時間も吸い込みます」
タナカが震えながら聞いた。
「どう対処すれば…?」
「距離を置くことです。
ただし、離れすぎると“無関心”として減点されます」
全員が青ざめた。
【研修その3:上層部とのコミュニケーション】
K-08は巨大な宇宙怪獣を指さした。
「こちらが“上層部”です」
怪獣が吠えた。
「グォォォォル!!」
クル=ルが震えた。
「なんて言ってるんです…?」
K-08は淡々と答えた。
「“予算は出さないが成果は出せ”と言っています」
タナカは頭を抱えた。
【研修その4:部下のメンタルケア】
ルミナが光を弱めながら言った。
「部下が疲れていたら、どうすればいいの?」
K-08は静かに答えた。
「励ましの言葉をかけましょう。
ただし、励ましすぎると“期待値が上昇”し、あなたの評価が下がります」
ゼル=マルが叫んだ。
「理不尽すぎるだろ!!」
【最終課題:管理職の覚悟】
K-08は受講者たちに向かって言った。
「管理職とは、
“責任を押し付けられ、
成果を求められ、
休暇を奪われる”存在です」
タナカが小声でつぶやいた。
「それ…覚悟じゃなくて犠牲じゃ…」
K-08は満足げに光った。
「では、管理職に昇格する方を発表します。
――タナカさんです」
タナカは叫んだ。
「なんで僕なんですか!!」
K-08は静かに答えた。
「あなたは“断らない”という銀河管理職に最適な資質を持っています」
タナカは静かに宇宙の闇を見つめた。
