銀河連合株式会社 #3 銀河労働市場の闇
銀河連合株式会社は、表向きは “多様な働き方を尊重する先進文明” を名乗っていた。
しかし、その裏側には、誰も触れたがらない深い闇が広がっていた。
入社説明会に向かったのは、
地球人のタナカ、触手族のゼル=マル、光生命体のルミナ、クル族のクル=ル。 案内役は、無表情ロボット K-08。
【闇その1:求人票の“光速詐欺”】
K-08は淡々と説明した。
「求人票には“光速で成長できる職場です”と書かれています」
タナカが首をかしげた。
「光速って……どういう意味なんです?」
K-08は静かに答えた。
「光速で人が辞めるので、残った者は強制的に成長するという意味です」
ゼル=マルは触手を震わせた。
【闇その2:惑星間ブラック企業の横移動】
ルミナが光を揺らした。
「ブラック企業って、どの惑星にもあるの?」
K-08は淡々と答えた。
「はい。
ブラック企業は、労働基準銀河法の施行前に
“ワープで別の惑星へ逃げる” ことができます」
クル=ルは青ざめた。
「逃げられるの……企業側なんだ……」
【闇その3:転職エージェントの“無限ループ”】
タナカが恐る恐る聞いた。
「転職エージェントって、相談に乗ってくれるんですよね?」
K-08は静かに言った。
「はい。
ただし、紹介される職場はすべて “うちの職場の関連企業” です」
タナカは遠い目をした。
「ループから……出られない……」
【闇その4:労働者の“多次元搾取”】
ゼル=マルが叫んだ。
「搾取って、どういう意味だよ!」
K-08は淡々と説明した。
「労働者の時間、体力、精神力、そして “別次元の自分” まで同時に働かされることです」
ルミナは光を弱めた。
「別次元の私まで……働かされるの……?」
【闇その5:求人の“やりがい銀河”】
クル=ルが震えながら聞いた。
「やりがいって……良いことじゃないの?」
K-08は静かに答えた。
「“やりがいがあります”と書かれた求人の9割は、
“給料が低い” という意味です」
タナカは深いため息をついた。
【総括】
K-08は無表情のまま告げた。
「以上が銀河労働市場の闇です。
皆さんの “働き続ける意欲” を保つために、あえて公開されていません」
タナカは静かに宇宙の闇を見つめた。
「宇宙に来ても……働くってこうなるのか……」
ゼル=マルは触手をしおらせ、
ルミナは光を弱め、
クル=ルは青く震えた。
それでも彼らは、この会社に入ることになる。
この時点では、まだ知らなかった。
“本当の地獄”は入社後に始まるということを。
