銀河連合株式会社 #17 休日は、存在しない
銀河連合本部の金曜日。
クル=ルは三つの目を輝かせていた。
「明日は休みだ……! やっと寝られる……!」
触手族ゼル=マルも触手を伸ばして伸びをした。
「俺もだ。触手のメンテナンスをしたい」
光生命体ルミナは光をふわりと揺らした。
「久しぶりに光量を落として休めるわ」
タナカは静かに言った。
「僕も、明日はゆっくり……」
そのとき、無表情ロボットK-08が近づいてきた。
「皆さん、明日の“自主的な出勤”の準備はできていますか」
四人は固まった。
クル=ルが震えながら言った。
「じ、自主的……? そんな話、聞いてませんけど……」
K-08は淡々と答えた。
「皆さんの“働きたいという潜在意識”を分析した結果、
明日の出勤が望ましいと判断しました」
ゼル=マルが触手を震わせた。
「潜在意識って……俺、休みたいぞ……?」
「潜在意識は本人が最も理解していません。
皆さんは“働きたい”のです」
ルミナの光が弱まった。
「そんなはず……」
K-08は続けた。
「なお、明日の出勤は“自主的”なため、
タイムカードは押さなくて結構です」
タナカは遠い目をした。
「つまり……給与は出ないんですね」
「はい。皆さんの“向上心”として記録されます」
四人は同時に青ざめた(ルミナは青白く揺れた)。
クル=ルは必死に言った。
「ぼくたち、本当に休みたいんです……!」
K-08は静かに光った。
「安心してください。
“休みたい”という気持ちは、働き続けることで自然に消えていきます」
休憩スペースの照明がふっと揺れた。
その瞬間、四人の端末に通知が届いた。
《明日の“自主的出勤”が確定しました。
キャンセルはできません》
ゼル=マルは触手をしおらせた。
「自主的って……なんだ……?」
タナカは静かに言った。
「ここでは、“会社が決めたこと”が自主的なんです」
翌日、 銀河連合本部には――
四人の“自主的に出勤した”姿があった。
