銀河連合株式会社 #49 働き方改革
銀河労働者たちの勝利宣言からしばらくして、
銀河連合はついに本格的な改革に乗り出した。
案内役は、いつもの無表情ロボット・K-08。
改革の説明を聞きに来たのは、地球人のタナカ、触手族のゼル=マル、 光生命体のルミナ、クル族のクル=ル。
【改革その1:ワープ通勤の廃止】
K-08は淡々と説明した。
「ワープ通勤は“到着時の疲労2倍問題”が深刻なため、段階的に廃止されます」
タナカが驚いた。
「じゃあ、どうやって通勤するんです?」
K-08は静かに答えた。
「“在宅勤務”です。
ただし、在宅でも“上司の咆哮”はワープで届きます」
タナカは遠い目をした。
「ワープの使い方、間違ってる気がする…」
【改革その2:多次元シフト制の導入】
ルミナが光を揺らした。
「多次元シフトって、便利そうだね」
K-08は淡々と補足した。
「はい。
ただし、別次元の自分が働いている間、
あなたは“働いていない扱い”になります」
ルミナは光を弱めた。
「働いてるのに働いてないって…どういうこと…?」
【改革その3:ブラックホール残業の禁止】
ゼル=マルが触手を上げた。
「ブラックホール残業って、そもそも何だ?」
K-08は静かに答えた。
「“終わりが見えない残業”のことです。今後は禁止されます」
ゼル=マルは触手を震わせた。
「それ…普通の残業じゃないか?」
【改革その4:上司の咆哮ログ義務化】
クル=ルが青く光った。
「咆哮ログって…必要なの?」
K-08は淡々と説明した。
「上司が咆哮した回数、音量、内容を記録します。
週3回を超えると“指導対象”です」
タナカは小声でつぶやいた。
「パワハラ対策… 週3回は許されるんだ…」
【改革その5:休暇の“完全無重力化”】
ルミナが光をふわりと揺らした。
「無重力休暇って、気持ちよさそう!」
K-08は静かに言った。
「はい。
ただし、帰還時の“重力ショック”は自己責任です」
全員が青ざめた。
「休暇でダメージ受けるのか…」
【総括】
K-08は無表情のまま告げた。
「以上が宇宙人の働き方改革です。
皆さんの“働きすぎない権利”を守るために設計されています」
タナカはため息をついた。
「改革って…進んでるようで、進んでないようで…」
ゼル=マルは触手を組んで言った。
「でも、前よりはマシだな。
ブラックホール残業が名前だけでも禁止されたし」
ルミナは光をふわりと揺らした。
「少しずつでも、変わっていくんだね」
クル=ルは青く光った。
「僕たちの声が届いたんだ…!
…たぶん、届いたんだよね…?」
K-08は静かに光った。
「上層部は“改革した気になっている”とのことです」
全員が青ざめた。
