銀河連合株式会社 #12 募集は、永遠に
銀河連合本部の昼休み。
クル=ルは三つの目をこすりながら、端末を眺めていた。
「また求人広告が出てる……
“未経験歓迎・大量募集・働きやすい環境”って……」
触手族ゼル=マルが触手をしおらせた。
「お前……まだ気づいてないのか……?」
光生命体ルミナは光を弱めた。
「ここ、ずっと求人出しっぱなしなのよ。
“働きやすい環境”って書いてあるけど……」
タナカは静かに言った。
「働きやすいのは“会社側”だけです」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「でも……こんなに募集してるってことは、
人がたくさん入ってるってことですよね?」
ゼル=マルは触手を震わせた。
「入ってるんじゃない……“出てる”んだよ……」
クル=ルは青ざめた。
「出てる……?」
そのとき、無表情ロボットK-08が現れた。
「クル=ルさん、求人広告をご覧になっていましたね」
クル=ルは恐る恐る言った。
「はい……ずっと募集してる理由って……」
K-08は淡々と告げた。
「理由は簡単です。
人が辞める速度より、募集の速度を上げているからです」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「そ、そんな……!」
ルミナは光を弱めた。
「辞めても辞めても、補充されるのよ……
でも“定着率”は公開されないの」
タナカは遠い目をした。
「僕らが入社したときも“大量募集”でした。
そして今も“大量募集”です」
K-08は続けた。
「なお、求人広告には“働きやすい環境”と書いてありますが、
それは“会社が働かせやすい”という意味です」
ゼル=マルは触手をしおらせた。
「ほらな……言葉の意味が違うんだよ……」
その瞬間、クル=ルの端末に通知が届いた。
《新規タスク:求人広告の更新
内容:働きやすい環境を強調
理由:離職者が増えたため》
クル=ルは震えた。
「ぼく……求人広告を作る側になってる……」
タナカは静かに言った。
「ここでは、“求人が出ている”のは人が増えるためじゃない。
減り続ける穴を埋めるためなんです」
休憩スペースの照明がふっと揺れた。
その日の勤務表には――
“求人広告更新:完了(離職者数は非公開)” と自動的に記録されていた。
