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こっちの日本昔ばなし #18 わらしべ長者

若者が寺で祈った帰り道、
手に残ったのは一本のわらしべだけだった。
「これがご利益……なのか?」

わらしべを欲しがる子供がみかんを差し出し、
のどが渇いて苦しんでいる貴婦人にみかんを差し出すと、
布を差し出し、
布を欲しがる武家が馬を差し出し、
馬を欲しがる豪商が屋敷を差し出した。

若者は一瞬で大金持ちになった。
「……これが、わらしべ長者のご利益か!」


わらしべを持ち帰った子どもは、
家でそれを眺めていた。
「なんか……このわらしべ、
 形がきれいで、光ってる気がする……」

翌日、村に来ていた学者がそれを見て叫んだ。
「これは……古代王朝の“神事用のわら”だ!
 一本だけ残っていた伝説の遺物だ!」

さらに、芸術家が言った。
「この曲線……この質感……
 自然が作った究極の造形美だ!
 これは芸術だ!」

わらしべはオークションにかけられ、
若者の屋敷よりもはるかに高い値で落札された。

子どもの家は豪邸になり、 村一番の大金持ちになった。


若者は噂を聞いて青ざめた。
「……俺が捨てたわらしべが、
 屋敷より高く売れた……?」

豪商が肩をすくめた。
「価値とは、急いで手放す者には見えないものだ。
 焦って交換したから、
 本当の利益を逃したんだよ」

若者は庭の石に腰を下ろし、
静かに空を見上げた。

「……功を焦ると、
 大きな利益を逃すんだな」

風が吹き、 子どもの豪邸の旗がゆっくり揺れた。

若者は苦笑した。
「わらしべ長者は……
 俺じゃなくて、あの子だったか」

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