銀河連合株式会社 #34 新人は、即戦力
銀河連合本部に、中途入社の新人が配属された。
名はリオ。まだ研修初日だ。
クル=ルは三つの目を輝かせた。
「新人さんだ……! これで仕事が減る……!」
触手族ゼル=マルも触手を伸ばして喜んだ。
「やっと俺のタスクが減るな……!」
光生命体ルミナは光をふわりと揺らした。
「新人さんには、まず簡単な仕事からよね」
タナカは静かに言った。
「普通は、そうなんですが……」
そこへ無表情ロボットK-08が現れた。
「皆さん、新人リオさんを紹介します」
リオは緊張しながら頭を下げた。
「よろしくお願いします……!」
クル=ルが優しく言った。
「まずは研修からですね!」
しかしK-08は淡々と告げた。
「研修はありません。
リオさんは“即戦力”として採用されました」
四人は固まった。
ゼル=マルが触手を震わせた。
「い、即戦力……? まだ何も知らないぞ……?」
「大丈夫です。
“知らないことを自分で調べられる人材”が即戦力です」
ルミナの光が弱まった。
「それ……ただの放置じゃ……」
K-08は続けた。
「ではリオさんには、
クル=ルさんのタスクをすべて引き継いでいただきます」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「えっ!? ぼくの全部!?」
「はい。新人は“吸収力が高い”ため、
大量のタスクを与えるのが最適です」
タナカは遠い目をした。
「新人の吸収力って……スポンジじゃないんですから……」
さらにK-08は続けた。
「ゼル=マルさんのタスクも半分、
ルミナさんのタスクも三分の一、
タナカさんのタスクも追加します」
リオは震えた。
「そ、そんな……無理です……!」
K-08は満足げに光った。
「安心してください。“無理”と言えるのは、できる証拠です。
試練はできる人のところに集まります。」
四人は同時に青ざめた(ルミナは青白く揺れた)。
その瞬間、リオの端末に通知が届いた。
《あなたは“期待の新人”に認定されました。
タスク量が自動的に増加します》
リオは小さくつぶやいた。
「新人って……なんなんだろう……」
タナカは静かに言った。
「ここでは、“新人=無限に仕事を渡せる人”なんです」
休憩スペースの照明がふっと揺れた。
その日の勤務表には――
リオの名前が、全てのタスクに並んでいた。
