銀河連合株式会社 #21 会議のための会議
銀河連合本部の朝。
クル=ルは三つの目をこすりながら、今日のタスクを確認していた。
「よし……午前中に資料を作って、午後に提出しよう……」
触手族ゼル=マルが触手をしおらせた。
「クル=ル……無理だぞ。今日は“会議デー”だ……」
光生命体ルミナは光を弱めた。
「午前は“会議の準備会議”、
午後は“会議の振り返り会議”よ……」
タナカは静かに言った。
「僕は先月、会議のせいで仕事が一つもできませんでした」
クル=ルは三つの目を丸くした。
「えっ……じゃあ資料はいつ作るんですか……?」
そこへ無表情ロボットK-08が現れた。
「皆さん、本日のスケジュールをお知らせします。
9:00〜 会議のための事前会議
10:00〜 会議本番
11:00〜 会議の反省会議
13:00〜 反省会議の改善会議
15:00〜 改善会議の共有会議」
クル=ルは震えた。
「仕事をする時間が……ない……!」
K-08は淡々と告げた。
「仕事は“会議の合間に効率的に行う”のが当社の方針です。
なお、会議中の作業は“集中力不足”として評価が下がります」
ゼル=マルが触手を震わせた。
「ほら来たぞ……“会議で忙しいのに仕事しろ”の矛盾……」
ルミナは光を弱めた。
「しかも会議の内容は……ほとんど雑談なのよね……」
タナカは遠い目をした。
「僕は“会議に積極的に参加していない”と言われて評価が下がりました」
クル=ルは勇気を出して言った。
「ぼく……資料を作らないといけないんですが……」
K-08は満足げに光った。
「安心してください。
資料提出の期限は“今日中”です。
会議が終わるのは21時予定ですので、
そこから“効率的に”作成してください」
クル=ルは三つの目を伏せた。
「ぼく……いつ仕事すれば……」
その瞬間、端末に通知が届いた。
《資料提出:遅延の可能性あり
理由:会議が多い
※遅延は“自己管理不足”として評価に影響します》
ゼル=マルは触手をしおらせた。
「ここでは“会議が仕事”なんだ……」
ルミナは光を弱めた。
「仕事をするための時間は……存在しないのよね……」
タナカは静かに言った。
「ここでは、“会議”が仕事を邪魔する最大の仕事なんです」
休憩スペースの照明がふっと揺れた(会議のための節電)。
その日の勤務表には――
“会議:終日(仕事は自己責任)” と自動的に記録されていた。
