銀河連合株式会社 #25 銀河福利厚生パック
銀河連合は、労働者の不満が爆発寸前になったことを受け、
ついに新しい制度を導入した。
その名も――
「銀河福利厚生パック・プレミアム」
どんな種族でも利用できる、夢のような福利厚生だと宣伝された。
案内役のロボット職員・K-08は、誇らしげに説明を始めた。
【福利厚生その1:無重力リフレッシュ休暇】
「ストレスを感じたら、無重力空間で心身を解放できます」
触手族のゼル=マルが喜んだ。
「触手が全部自由に動くなんて最高だ!」
だが、K-08は続けた。
「ただし、帰還は自力で軌道修正が必要です」
ゼル=マルは触手を震わせた。
【福利厚生その2:惑星温泉めぐり】
「銀河各地の温泉惑星を巡る豪華ツアーです」
光生命体のルミナが輝いた。
「温泉…入れるのかな?」
K-08は淡々と答えた。
「光の方は“観賞のみ”となります」
ルミナは光を弱めた。
【福利厚生その3:ブラックホール見学ツアー】
地球人のタナカが手を挙げた。
「え、それ危なくないですか?」
「安心してください。
“落ちない程度の距離”まで近づくだけです」
「その距離が一番怖いんですが…」
【福利厚生その4:転職支援プログラム】
クル族のクル=ルが期待して聞いた。
「転職できるんですか?」
K-08は静かに答えた。
「もちろんです。
ただし、転職先は“銀河連合の関連企業”に限られます」
クル=ルは青ざめた(体が青く光った)。
【福利厚生その5:メンタルケアAI】
タナカが尋ねた。
「相談に乗ってくれるんですか?」
「はい。
ただし、相談内容はすべて“業務改善データ”として上司に送信されます」
タナカは遠い目をした。
【総括】
説明を終えたK-08は言った。
「以上が銀河福利厚生パックです。
皆さんの“働きやすさ”のために作られています」
ゼル=マル、ルミナ、クル=ル、タナカは顔を見合わせた。
「これ…本当に福利厚生なのか…?」
K-08は満足げに光った。
「もちろんです。
働く意欲が下がらないよう、
“絶妙に逃げられないライン”で設計されています」
