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madainai
好きの中にいる人が、好き
田んぼに水が入った。
普段より暑い春。
今年も、あの夫婦が手伝いに来てくれた。
少し手を止めて、彼女と話す。
子どものこととか、仕事のこととか。
その流れで、息子とバスケ観戦をしている話になった。
詳しくなっているらしく、
その話をしているときの顔が、やけに残った。
そのとき、はっきりした。
私は「好き」を見ていない。
好きの中にいる、その人を見ている。
何かに触れているとき、
人は少しひらく。
誰かと同じ方向を見ているとき、
やわらかくなる。
海が好きで、自然が好きで
子どもたちにその入り口をつくっている人が、
ちゃんと自分も、どこかに入っていく。
言葉より先に、
その重なりが見える。
今日は、それが
ただ、可愛かった。
整ったものより、
途中のものに惹かれる。
できあがった「好き」より、
いま動いている「好き」に、目がいく。
たぶん、これからも。
