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不動産屋が「自分で買う」なら、こんな家を選びます

福岡で不動産売却を専門にしている野口です。

今回は少し違った角度から、「不動産屋は自分のマイホームを買うとき、どんな物件を選ぶのか」という話をしてみたいと思います。

私は不動産売買仲介の仕事を10年ほど続けてきました。

仕事柄、毎日のようにマンションや戸建て、土地の価格を見ます。売却相談を受け、査定をして、実際に市場へ出して、反響を見て、価格交渉をして、最終的に売買をおこないます。

そのため、不動産屋が一般の方と少し違うのは、「買うとき」だけではなく、「売るとき」の景色まで知っていることだと思います。

良い家かどうか。

住みやすいかどうか。

もちろん、それも大切です。

ただ、不動産屋が自宅を買うときは、かなりの確率で、

「これ、5年後に売ることになったらいくらで売れるだろう」

というようなことを同時に考えています。

私は、この「出口まで考えて買う」という感覚が、不動産屋のマイホーム選びを一番よく表していると思っています。

不動産屋だから、特別な物件情報を全部買えるわけではない


まず、よく勘違いされるのが、

「不動産屋なら、一般公開される前の安い物件を自分で買えるんでしょう?」

という話です。

実際には、そう単純ではありません。

売買仲介会社では、自社で売却を預かっている物件を社員自身が購入することについて、利益相反を防ぐために社内ルールを設けている会社が多くあります。

売主様からすると、担当する会社の社員が安く購入してしまえば、「本当はもっと高く売れたのではないか」という疑念が残る可能性があるからです。

会社によってルールは違いますが、自宅として購入する場合のみ認める会社もあれば、かなり厳格に制限している会社もあります。

そのため、実際の営業マンは、自社の情報だけを見ているわけではありません。

他社の営業マンとのネットワークから物件情報を聞いたり、SUUMOやアットホームなどに公開された物件を毎日のように見たりしています。

そして、「これは安い」と思った物件が出れば、判断がかなり早い。

ここは一般の方との違いかもしれません。

毎日相場を見ているので、安いか高いかを判断するまでの時間が短いのです。

不動産屋が一番見ているのは「相場より安いか」


私の周囲を見ていても、不動産業界の人が自宅を買うときに共通している考え方があります。

それは、

「できるだけ相場より安く買う」

ということです。

当たり前のように聞こえるかもしれません。

ただ、不動産屋が考えている「安い」は、単純に100万円安い、200万円安いという話ではありません。

不動産には、買った瞬間から結構な諸経費が発生します。

例えば4,000万円程度の中古物件を仲介で購入すれば、仲介手数料、登記費用、不動産取得税、住宅ローン関係費用などが発生します。

条件によりますが、購入だけで200万円前後から、それ以上の費用になることもあります。

さらに売却するときにも仲介手数料などが必要です。

つまり、4,000万円で買った家を4,000万円で売れたからといって、収支がゼロになるわけではありません。

買って、住んで、売る。

この往復には数百万円単位のコストがあります。

だから不動産屋は、「相場よりちょっと安い」くらいではあまり安心しません。

私が理想だと思うのは、

「買った直後に事情が変わっても、大きな損失を出さずに売却できる価格で買うこと」

です。

転勤するかもしれない。

家族構成が変わるかもしれない。

勤務先が変わるかもしれない。

親の介護が始まるかもしれない。

人生は、住宅を買った時点では固定できません。

マイホームを買うということは、家を手に入れることでもありますが、同時に自分の資産の一部を「不動産」という簡単には現金化できないものへ変えることでもあります。

だから私は、家の良し悪しだけではなく、「逃げ道が残っているか」をかなり重視しています。

一般の方と不動産屋では、優先順位が少し違う


一般のお客様とお話ししていると、

「この小学校区がいい」

「実家の近くに住みたい」

「この街並みが好き」

「子ども部屋を2部屋作りたい」

といった希望が当然あります。

私は、それでいいと思っています。

マイホームは投資商品ではありません。

家族が何年、何十年と生活する場所なので、数字だけを追いかければいいわけではないからです。

私自身、不動産を資産としてかなり強く意識していますが、それでも「価格が安ければどこでもいい」とは思いません。

ここで重要なのは、価格だけではなく価値を見ることだと思います。

3,500万円の家より4,000万円の家の方が、通勤時間が毎日30分短くなる。

子育て環境がいい。

親の家に近い。

10年後も一定の需要が期待できる。

こうした条件を考えれば、500万円高くても、人生全体ではこちらの方が価値が高いことがあります。

安く買うことは大切です。

ただ、安さだけを追いかけると、今度は人生の時間を失うことがあります。

マイホームでは、このバランスが非常に大事だと思っています。

「戸建て派」と「マンション派」は不動産屋でも分かれる


不動産屋だから全員がマンションを買う、あるいは全員が戸建てを買うということはありません。

ここはかなり分かれます。

比較的ベテランの営業マンでは、「最終的には土地が残る」という考えから戸建てを好む人も多いです。

建物は古くなります。

30年、40年経てば、建物そのものの評価は下がっていきます。

しかし、土地は残ります。

だから、土地の広い戸建てを買っておけば、最後には土地の価値が残るという考え方です。

これは非常に合理的です。

ただ、福岡市内、とくに中央区などでは土地価格がかなり高くなっています。

立地の良い場所でそれなりの広さの土地を確保して戸建てを建てようとすると、マイホームだけで非常に大きな資金が必要になります。

ここで不動産業界の人は結構冷静です。

自宅に1億円以上を入れるのか。

それとも、自宅はもう少し抑えて、残った資金でアパート、収益ビル、株式など別の資産を持つのか。

この発想をする人はかなり多いと思います。

30代前後では、中心部のマンションを選ぶ人も多い


一方、私と同じ30代前後では、マンションを選ぶ人も多いです。

福岡の場合、不動産会社の店舗やオフィスは天神•博多に集まっています。

そのため、地下鉄や西鉄沿線の利便性が高いマンションを購入して、電車で通勤するスタイルは非常に合理的です。

そして、この10年ほどマンション価格が上昇してきたこともあり、

「どうせ住むなら、値下がりしにくいマンションを買おう」

という発想もかなり浸透しました。

これは私も理解できます。

家賃を払い続ける代わりに住宅ローンを返済し、将来売却できる資産を残す。

しかも住宅ローンは、一般的に投資用不動産の融資よりも低い金利で借りられることが多い。

うまく物件を選べば、マイホームそのものが資産形成の一部になります。

ただし、ここで一つ注意があります。

過去10年間値上がりしたからといって、次の10年間も同じように上がる保証はありません。

ここを勘違いすると危ないと思っています。

「値上がりする家」より「値下がりしても困らない家」を買う


私は、マイホーム購入で将来の値上がりを予想すること自体は悪いと思いません。

ただ、

「絶対に値上がりするから買う」

という考え方には少し違和感があります。

未来の相場は誰にも分かりません。

金利も変わります。

景気も変わります。

人口動態も変わります。

マンションの管理状態も変わります。

だから私なら、

「上がったらラッキー。ただ、上がらなくても困らない」

くらいで買います。

これが投資でいう「安全域」に近い考え方です。

例えば、駅に近い。

管理状態が良い。

眺望が良い。

角部屋である。

間取りに癖がない。

周辺に競合マンションが少ない。

土地であれば整形地で、接道条件が良い。

何でもいいのですが、「他の物件では代替しづらい理由」が一つある物件は、売却するときに強いです。

私は査定をするとき、売主様の物件を見ながらいつも、

「買主は、この物件を買わなかったら他に何を買うだろう」

と考えます。

代わりがいくらでもある物件は、価格競争になりやすい。

逆に、その物件にしかないものがあれば、多少相場が悪くなっても買主が現れる可能性があります。

マイホームを買うときにも、この視点はかなり使えると思います。

住宅ローンを使った短期転売は、私はおすすめしない


最近は、築浅マンションや新築マンションを購入し、短期間で売却して利益を得る話も聞くようになりました。

ここについては、かなり慎重に考えた方がいいと思っています。

まず誤解のないように言うと、マイホームを短期間で売却しただけで、直ちに居住用財産の3,000万円特別控除が使えなくなるわけではありません。

国税庁も、所有期間の長短にかかわらず、一定の要件を満たした居住用財産について特例を設けています。

一方で、特例を受けることを目的に形式的に入居した住宅や、仮住まいなど一時的な目的で居住した住宅については対象外とされています。

また、宅地建物の売買が宅建業に該当するかについても、単純に「1回売ったから宅建業」というものではありません。

利益目的か、自分で使うために取得したものか、販売方法、過去や将来を含めた反復継続性などから総合的に判断されます。

つまり、

「住宅ローンで買う → 少し住む → 値上がりしたら売る → 3,000万円控除を使う」

という行為を、最初から利益を出すための再現可能な投資手法として考えるのは、私はおすすめしません。

税務、宅建業法、金融機関との契約など、確認しなければならない論点が増えていくからです。

制度の隙間を狙うより、普通に良い物件を適正価格より安く買い、普通に生活し、事情が変われば売る。

その結果として利益が出た。

私はそのくらいが健全だと思っています。

私自身は、自宅にお金を入れすぎない

これは完全に好みの話ですが、私はマイホームに資産の大部分を入れる考え方ではありません。

自宅のコストはある程度抑え、その分を株式投資や別の不動産投資へ回したいタイプです。

理由は単純で、自宅は基本的に家賃を生まないからです。

もちろん、自宅価格が上昇すれば資産は増えます。

ただ、住みながら利益を確定することはできません。

1億円の自宅を持っていても、売らなければその1億円を別の投資に使うことはできません。

一方、5,000万円の家で十分満足できるのであれば、差額の5,000万円を株式や収益不動産などに回すことができます。

私は、

「自宅を豪華にすること」

より、

「自宅も含めた家計全体の自由度を高くすること」

の方を重視しています。

ただし、これは投資が好きだからできる考え方でもあります。

株式投資もしたくない。

収益不動産も管理したくない。

仕事以外で投資のことを考えたくない。

そういう方であれば、利便性が高く、将来的にも一定の需要が期待できるマイホームを購入し、住宅ローンを返済しながら資産を作っていく方法は十分合理的だと思います。

全員が同じ資産形成をする必要はありません。

私がお客様の購入相談で見ていること

私は物件購入の相談を受けたとき、「この家が素敵ですね」だけでは終わらせないようにしています。

今の価格は相場と比べてどうなのか。

数年後に売却するとしたら誰が買うのか。

住宅ローンの残債はいくらになっているのか。

金利が上昇しても家計は耐えられるのか。

売却価格が10%下がったとしても住み続けられるのか。

そして何より、その家を買うことで家族の生活が良くなるのか。

不動産は金額が大きいので、少し判断を間違えただけでも数百万円、場合によっては1,000万円単位の差になります。

だからこそ私は、未来を完璧に当てようとするのではなく、

「予想が外れても困らない買い方」

をすることの方が重要だと思っています。

これは株式投資でも不動産投資でも同じです。

リターンを最大化することより、一発で大きく失敗しない。

そして長く続ける。

その方が最終的には複利が効きます。

マイホームは「家」だけを買っているわけではない


不動産屋がマイホームを買うときに考えていることを一言で表すなら、

「住みたい家を、売れる価格で買う」

ということだと思います。

資産価値だけを考えて、家族が我慢する必要はありません。

反対に、「一生住むつもりだから」と価格をまったく考えなくていいわけでもありません。

人生では何が起きるか分からないからです。

住みたい。

払える。

売れる。

この3つが重なる場所を探す。

私は、それが一番バランスの良いマイホーム購入だと思っています。

マイホームは生活する場所であると同時に、多くの方にとって人生最大級の資産です。

だから、「今ここに住みたいか」だけではなく、

「将来の自分に選択肢を残せるか」

という視点も、少しだけ持っておいて損はありません。

福岡でマンションや戸建ての購入をご検討されている方、また現在所有している不動産を売却した場合にどのくらいの価格になるのか知りたい方は、お気軽にご相談ください。

売ることを前提にしなくても、

「今の資産価値はいくらくらいなのか」

「住宅ローン残高とのバランスはどうなのか」

「5年後に売るとしたらどんな点が強みになるのか」

といった視点で整理するだけでも、今後の住まい方はかなり考えやすくなると思います。

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