もやいづな(舫い綱)
今日もまた客が来た
どこからか噂を聞きつけてきたようだ
大金を積んでゆく
金は、私にとってあまり価値がないものだが、
願われたらば聞き届ける宿命を受けている
離れてしまいそうなわが子の心と
母親である自分の心に
『舫い綱』の魔力を欲しているらしい
私は魔物ゆえ、人の気持ちは分からない
船乗り達の安全な係留への願いに応え、
私の魔力は存在する
物理的に強固であるべきものと
人間の心は、同じなんだろうか
実体のないものを綱で結びつけることの是非が
私には分からないでいる
寄り添い、
導き、
心配ゆえに想像もし、
願うゆえに見守る
細やかな機微が人間の特性ではないのか
やわやわとしなやかで、仮に…切れたとて
再び繋がりもする見えない綱
魔力の及ばない力ではないのか
船でさえ、長く私の魔力にかかっていると
大海に翔び立てない哀しい色になるというのに
人間は心を舫われても
色を失うことはないのだろうか
私は『舫い綱』の魔力を持つ魔物
願いは叶えねばならない宿命を持つ
人の気持ちを考えすぎるのは逸脱行為だ
躊躇う必要はないのかもしれない
命に従い、魔力を放つ
山根あきらさんの企画に応募させて頂きます。
よろしくお願いいたします🙇♀️
📝#青ブラ文学部お題
#もやいづな(舫い綱)
難しくも魅力的なお題だなぁ〜と思いつつ、無謀にチャレンジしてみました💃
船同士ではなく、岸壁と船との係留のイメージとちょっと毒親的かも…ですが、ずっとそばにいて欲しくもある矛盾する気持ちを絡めてみました😆
自戒も込めて。
