【片想い文芸部】サンタがもらったプレゼント
クリスマス、どこか行かない?
クリスマス、食事しませんか?
クリスマス、俺と一緒に……
今日こそアイツに言うんだ。
勇気を出してクリスマスデートに誘うんだ。
そう思っていた。
それなのに……
クリスマスの日に駅前でバイト。
サンタクロースの格好をして配るポケットティッシュ。
笑顔で過ぎ去る恋人たちに、自分の願った理想の姿を重ね合わせて目を伏せる。
誘おうと思った日。
気合を入れて家を出た日。
アイツが先輩と付き合い始めたことを知った。
一年以上抱えた思い。
しかしそれは実ることなく、告る前に散っていった……
「よろしくお願いしまーす」
「よろしくお願いしまーす」
手に取る人も無視する人も無機質。
温かみのないクリスマス。
アイツは俺のバイトが変わるたび、バイト先に来てくれた。
『すいませーん。肉まんくださーい』
『すいませーん。電池はどこにありますかぁ?』
悪戯っぽく微笑みながら声をかけてきた。
そんなことを思い出しながらティッシュを配る。
俺を気にしてくれている。
俺に好意を持っている。
そう思っていた。
友達としての優しさを特別なものと勘違いしていた。
「あ、サンタさんだぁ!」
小さな女の子の声。
俺の方へ走ってくる。
ティッシュを配ってみる。
女の子はそれを手に取った。
ティッシュしかあげられない自分を申し訳なく感じた。
本当のサンタでもないのに。
「そのサンタさんはね、勘違いサンタさんなんだよ」
聞き覚えのある声。
「勘違いサンタさん?」
女の子の質問にうなずく人影。
「何も言わないで、勝手に決めつけて」
少しずつ近づいてくる。
「人の噂ばかり信じるサンタクロース」
それは……
「そうだよね、サンタさん」
悪戯っぽく微笑むアイツだった。
「え……」
呆然と佇む俺の目に、街の彩りが映った。
「私の妹。可愛いでしょ?」
「そうなんだ」
目を逸らす俺。
心の中に渦巻く思い。
「勘違いって……どういうこと?」
沈黙が流れた。
アイツの妹がキョロキョロ見ている。
「今日も明日も空いてるからね」
上目遣いで見つめる瞳は潤んでいた。
「プレゼント……待ってる」
アイツが去る後ろ姿。
それって……どういう……?
俺の心に、ほのかな光が灯った。
「お姉ちゃんはさぁ、あのサンタさんが好きなの?ねぇ、そうなの?」
「しっ!せっかく決まったって思ってたのにぃ!」
真っ赤な顔で俺を見るアイツは、恥ずかしそうに満面の笑みをたたえていた。
終
ナルさんお久しぶりです!
こちらの企画に参加させていただきました!
よろしくお願いします🙇
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