正義と暴力の境界線を描いた警察小説の傑作_孤狼の血/柚月裕子
今回は「正義と暴力の境界線を描いた警察小説の傑作」の紹介です。
本作は昭和63年の広島を舞台とした警察の暴力団の戦いを描いた社会派ミステリーです。
そしてこちらの作品も「シリーズ」ものです。
今回は第一弾作品の紹介となります。
記事の後半にシリーズ作品と映画情報を掲載しますので気になる方はそちらも併せてご確認ください。
これから本を読む方も既に読んだ方も記事を読んでいただけると幸いです。
以下、「作者」「概要」「物語のあらすじ」「感想」が続き、ネタバレはありません。
『孤狼の血/柚月裕子』
作者
柚月 裕子さん
生年月日:1968年
出生地:岩手県
主な受賞歴:
2008年 第7回「このミステリーがすごい!」大賞 『臨床真理』
2013年 第15回大藪春彦賞 『検事の本懐』
2016年 第69回日本推理作家協会賞 『孤狼の血』
概要
単行本発売日:2015年8月
文庫本発売日:2017年8月
出版社:KADOKAWA
主な受賞歴:2016年 第69回日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)『孤狼の血』
物語のあらすじ
常識外れのマル暴刑事と極道の、プライドを賭けた戦い。
作家、マスコミほか多くの賞賛を集めた、圧巻の警察小説。
緻密な構成、卓抜したリアリティ、予期せぬ結末。
いやあ、おもしろい。
正統派ハードボイルドに圧倒された。
――黒川博行氏(作家)
日本ミステリ史に残る、今世紀最高の悪徳警官小説だ。
――茶木則雄氏(書評家)
昭和63年、広島。
所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上のもとで、暴力団系列の金融会社社員が失踪した事件の捜査を担当することになった。
飢えた狼のごとく強引に違法行為を繰り返す大上のやり方に戸惑いながらも、日岡は仁義なき極道の男たちに挑んでいく。
やがて失踪事件をきっかけに暴力団同士の抗争が勃発。
衝突を食い止めるため、大上が思いも寄らない大胆な秘策を打ち出すが……。
正義とは何か、信じられるのは誰か。
日岡は本当の試練に立ち向かっていく――。
感想
昭和末期の広島を舞台に、警察と暴力団の対立を描いた警察小説です。
従来の警察小説とは一線を画す、生々しい暴力描写と人間の業を描いた作風が高く評価され、柚月裕子さんの代表作のひとつとなっています。
後に映画化もされ、原作小説の存在感をさらに広げました。
『孤狼の血』は、単なる勧善懲悪の物語ではなく、「正義とは何か」を強く問いかけてくる作品です。
荒々しい世界観の中で描かれる登場人物たちは決して単純ではなく、それぞれが信念や過去を背負って行動しています。
昭和という時代背景が物語に重みを与え、警察と暴力団の関係性も現代とは異なる緊張感で描かれている点が印象的です。
読後には爽快感よりも、苦さや余韻が強く残り、考えさせられる一冊だと感じました。
ミステリーとしては、冒頭から序盤・中盤と散りばめられている謎を終盤に一気に回収するので納得感は半端ないです。
ハードな警察小説が好きな方には、特に心に残る作品だと思います。
まだ読んでいない方は是非とも手に取ってほしい作品です。
映画
公開日
2018年5月12日
キャスト
大上 章吾:役所 広司さん
日岡 秀一:松坂 桃李さん
高木 里佳子:真木 よう子さん
一之瀬 守孝:江口 洋介さん
上林 成浩:音尾 琢真さん
永川 恭二:中村 倫也さん
尾谷 賢一:滝藤 賢一さん
シリーズ作品
第二弾『凶犬の眼』
悪徳刑事・大上章吾の血を受け継いだ日岡秀一。
広島の県北の駐在所で牙を研ぐ日岡の前に現れた最後の任侠・国光寛郎の狙いとは?
日本最大の暴力団抗争に巻き込まれた日岡の運命は?
『孤狼の血』続編!
第三弾『暴虎の牙』(上下巻)
「極道がなんぼのもんじゃ!」
博徒たちの間に戦後の闇が残る昭和57年の広島呉原――。
愚連隊「呉寅会」を束ねる沖虎彦は、ヤクザも恐れぬ圧倒的な暴力とカリスマ性で勢力を拡大していた。
広島北署二課暴力団係の刑事・大上章吾は、その情報網から、呉寅会と呉原最大の暴力団・五十子会との抗争の臭いを嗅ぎ取る。
賭場荒らし、シャブ強奪……酷薄な父からの幼少期のトラウマに苦しみ暴走を続ける沖を、大上は止められるのか?
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