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犯人は最初からわかっている。それでも面白いミステリーの極致_invert 城塚翡翠 倒叙集・invert II 覗き窓の死角/相沢沙呼

今回は「犯人は最初からわかっている。それでも面白いミステリーの極致」の紹介です。

今回は2作をまとめて紹介しますが、前提として外せないのが前作『medium 霊媒探偵城塚翡翠の存在です。
こちらは私が名刺代わりの小説10選」に選んだ一冊でもあり、その続編の紹介となりますので、まずは必ず先にmedium 霊媒探偵城塚翡翠を読んでください。

これから本を読む方も既に読んだ方も記事を読んでいただけると幸いです。
以下、「作者」「概要」「物語のあらすじ」「感想」が続き、ネタバレはありません。



『invert 城塚翡翠 倒叙集/相沢沙呼』

『invert II 覗き窓の死角/相沢沙呼』


作者

相沢あいざわ 沙呼さこさん

  • 生年月日:1983年

  • 出生地:埼玉県

  • 最終学歴:東京学芸大学卒業

  • 主な受賞歴:2012年 鮎川哲也賞『午前零時のサンドリヨン』


概要

  • 単行本発売日:

    • 『invert 城塚翡翠 倒叙集』:2021年7月

    • 『invert II 覗き窓の死角』:2022年9月

  • 文庫本発売日:

    • 『invert 城塚翡翠 倒叙集』:2023年

    • 『invert II 覗き窓の死角』:2026年

  • 出版社:講談社


物語のあらすじ

『invert 城塚翡翠 倒叙集』

すべてが、反転。
あなたは探偵の推理を推理することができますか?

綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。
アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。

だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。
大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。

ところが……。
ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。
すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れることができるのか?

ミステリランキング五冠を獲得した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、待望の続編は犯人たちの視点で描かれる、傑作倒叙ミステリ中編集!

invert
in・vert
【他】…を逆さにする,ひっくり返す,…を裏返しにする;
〈位置・順序・関係を〉反対にする;〈性質・効果などを〉逆転させる;

『invert II 覗き窓の死角』

嵐の山荘に潜む若き犯罪者。友人をアリバイ証人に仕立て上げる写真家。
犯人たちが仕掛けた巧妙なトリックに対するのは、霊感によって視えないものを視るという美しい娘、城塚翡翠。

だが、挑むような表情の翡翠の目には涙が浮かぶ。
その理由とは。

反転、再び。
あなたは、探偵の推理を推理することができますか?


感想

素直に面白かった作品です。

本作の最大の特徴は、いわゆる“倒叙ミステリ”である点です。
読者はすでに犯人を知っている状態から物語を読み進めることになります。
そのうえで、名探偵・城塚翡翠がどのようにして真実へと辿り着くのか、その過程こそが最大の見どころです。

普通のミステリであれば「犯人は誰か?」が主軸になりますが、本作では「どうやって暴くのか?」に焦点が当たっています。
この構造がとても新鮮で、読者としても自然と推理しながら読むことになります。

そして、その推理を軽々と上回ってくるのが城塚翡翠という存在です。
こちらが「こう来るだろう」と思った一手先、さらにその先を突いてくる展開には、思わず唸らされます。
この“上回られる感覚”がとても気持ちよく、読後の爽快感につながっています。

2作を通して感じるのは、ロジックの緻密さとエンタメ性の高さのバランスの良さです。
決して難解すぎず、それでいてしっかりと読者の思考を刺激してくる構成は見事だと思います。

ある程度自分でも推理しながら読むことで、この作品の面白さは何倍にも膨らみます。
ぜひ受け身ではなく、“対決する気持ち”で読んでみてほしい作品です。


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