呑気そうなふわふわの雲
半径10メートルの生活圏内から外に出る。普段引きこもりをしている私にはちょっとした冒険だ。
再び新幹線に乗る予定が出来た。
先月関西に落語を観にいったのだが、本当の目的は会いたい人に会いに行く、事だった。
当日、私はわからなかった。そもそも、相手が本当に来てくれるのか、わからなかった。それらしい人もわからなかった。
そして、私は相手は来なかったのかもしれない、とも思って、こころにつむじ風を吹かせながら建物を出た。
でも、相手は来ていた。
最後に、わかった。
歩き出して、わかった。
私を追い抜いて行ったその人を見て
確信した。
あぁ、あの方だ。
横顔を見て、わかった。
横顔が、会いたかった人が書く、文章そのものだった。
でも、その時には別れの挨拶をして、別々の方向に向かっていた。
私はどうしたら良かったのだろう?
空振りに終わった私は、もう、史上最悪キャラの心象がついてしまったのだとは思うのだけど、(というか、私は行く先々で史上最悪キャラに見える行動をとってしまう事が多い気がする)
無邪気にも、まだ、チャンスがあると思い込んでいる愚かな人間なのだ。
そして、それが相手を傷つけてしまったかもしれない事も私にはわからなかったのだ。
本当に、ごめんなさい。
次会った時、多分私はその言葉が出て来ない。
大事な言葉も出て来なければ、大事でない言葉も、もっと出て来ない。
こころが、くしゃくしゃになって、私は乾いた青空に浮かぶ、呑気そうなふわふわの雲を見上げた。
