【️検証】一般人が描いた絵はフリマで売れるのか─大学生が1人でフリマ出店してみたら
(絵については④から)
私の近所では、春と秋の年2回フリーマーケットが行われている。
略してフリマというが、フリマとは英語で"flea market"、色々な人が家の中の不用品やハンドメイド品を持ち寄って売るイベントの事を言う。
何年も前から、毎年春と秋、お客さんとして足を運びその雰囲気を楽しんできた。素敵なものを見つけて買うのも毎度のことだった。
そうしているうちに漠然と、私も出店してみたいと思うようになる。いやもしかすると、それよりずっと前からフリマをやってみたいと思っていたかもしれない。

しかしどこで募集しているのかも分からないうえ売れるようなものも思いつかず、友人がフリマでの共同出店に乗り気でなかったのもあって行動に移してこなかった。
そんなある時募集ページを見つけ、少し迷った末に思い切って応募してみた。もちろん友人も家族も店番に乗り気でないので、店は私ひとりで切り盛りすることになる。1人でできるかな…と不安にはなったが、やりたいことは1人でもやってみる精神で参加することにした。
応募した段階から、家族の協力も仰いで家の不用品を掻き集めた。ちなみに出店料は3000円。思っていたよりも高い。1点も売れない可能性があるが、赤字も覚悟だった。利益よりも、フリマに出店するということをしてみたかったのだ。
①試行錯誤
お客さんとして何年もフリマを見ていて抱いた「こうしたらいいのに」「これはあまり買いたいと思わないなぁ」という個人的な意見を自分で出品するにあたって取り入れた。
・服や靴は売らない
服や靴には人それぞれ趣味やこだわりがあり売れにくいことに加え、いちいち広げて見るのも面倒なため。 趣味趣向の問題かもしれないか、私がフリマで積極的に買うのはダントツで雑貨。そのため今回の出店では、雑貨を中心に売ることにした。
・自分がお客さんだったら買いたいと思う値段か客観的に見る
フリマを見ていて思うのは、"この値段では高すぎる"ということ。フリマは後ほど詳しく述べるが、ある程度の値引き交渉が当たり前の世界である。そのため値引きを前提に値段設定されていることも多い。とはいえ、中古でもある手前、高すぎれば値段交渉する気も起きない。私は目に留まり手に取りやすい値段を考えながら付けた。
・商品についての分かりやすいポップを付ける
フリマはなんの商品か分からないものが多い。箱に乱雑に入れられたものや、ただ単に並べられたものなど。本屋でもそうだが、ポップは手に取ってもらうための導入として重要な役割を果たす。少しでも商品の魅力が伝わるよう、多少手間でも手書きでポップをつけることにした。
②事前準備
・配置決め
何よりも先にまずは配置のデモンストレーションをした。まずはレジャーシート(正確にはキャンプのグランドシートだが)を敷く。そして母と妹がコレクションしていた大量のビションフリーゼのぬいぐるみ…これを最前列に、目に留まるように組体操のようにして並べた。

・大量のガチャガチャをラッピング
私は一時期ガチャガチャにハマっていたため、犬を中心に大量のガチャフィギュアが押し入れに眠っていた。ガチャガチャを回して満足するため、飾らずにしまってしまうのだ。
これも売りに出そうと決めた。フリーラベルシールと透明のラッピングを100円ショップで購入。ガチャガチャのフィギュアを一つ一つラッピングして、値段を書いてはシールを貼っていった。手に取りやすい金額がいい。
1つ50円、大きいものは100円にした。先述のポップも大事だ。「犬雑貨コーナー(犬以外もあるよ)」と書き、丁度いい深さ・大きさの家のカゴに入れた。

家族全員分の不用品が手元にあったため、値札シールを一つ一つ貼りポップを付けるのは気の遠くなるような作業だった。昼頃に作業を始めたが、気がつけば外は真っ暗になっていた。
ポップも何もつけずに乱雑に箱に入れている人や、ただ並べているだけの人、事前準備をして初めて気持ちがわかった。
これすごい疲れる…。
とは思ったものの最終的には全ての商品に値札をつけ、ポップを書きあげた。
③当日の朝
・荷卸
会場の駅前までは徒歩圏内ではあるが、あまりの大荷物なため往復するのも大変そうだった。そこで前日夜のうちに車に商品を詰め込み、車で現地へ向かった。
受付で出店料の3000円を支払うと、ブースナンバーを指定された。そこまで車で行き、荷卸をした。グランドシートを敷き、デモンストレーションした通りに(と言ってもしたのはぬいぐるみだけだが)並べる。
値段シールが剥がれてしまったものを貼り直し、時間をかけて書いたポップをセロハンテープで貼ったり置いたり…。
9時少し前に到着して、10時には開店だったため1時間あったが、商品が多いため休みなく動いていた。写真を撮る暇もなく、準備段階での写真は1枚も残っていない。
・早朝の買い物客
噂には聞いていたが、本当に準備段階で買っていく人がいた。それが他の出店者だったらそう気にならないのだが、一般の男性客がブランドバッグを2つ(値引き交渉有)速攻で買っていった。普段からあちこちのフリマで朝から張っていそうな雰囲気だった。
・完成
キャンプ用の机と椅子を組みたて、机の上に商品を並べ、ポップも貼り終え、ようやく準備が終わった。
─おっと、自作の絵を飾るのも忘れずに。
題名にも書いてある通り、今回の目的のひとつは、"一般人の絵は買ってもらえるのか"を検証するということだ。
④私が描いた絵について
私は幼い時から絵を描くのが好きで、主に動物の絵を描いてきた。とはいえ中学生の頃に色鉛筆・鉛筆での写真を元にした写実画にハマったっきり、しばらく書いていなかったが。
あの頃は授業中にも関わらず、机の上に色鉛筆を広げて描く有様だった。


あまりの熱心さに先生には美術系の高校を勧められたが、何を思ったか私はそれを断った。
そして、写実画は写真を元にするため、"それは本当の絵の上手さじゃない"とか、"たかが模写だ"とか、今ではそんなの相手にしなければよかったのにと思うが、私はそんなネットの嫌な大人たちに言われるまま絵の道を閉ざしてしまった。
──あれから約6年。ディズニーの"アナと雪の女王2のメイキング映像"を見てから、数年の時を超えて再び絵を描くということに魅了されたのだ。
中学生の時は写実画だったが、最近は"その人の個性が出る絵だからこそ"いいのでは無いかと思うようになった。そのため、フリマに出すにあたって、写真を写すのではなく、頭の中にある景色を絵にすることにした。
絵を描く前からずっと頭の中にイメージがあった。日の昇る春のアラスカで、小川に沿って歩くグリズリーの親子─
フライングタイガーで買ったA4のキャンバスに、鉛筆で頭の中のイメージを起こしていく。

使用したのはダイソーのオイルパステル・細部に色鉛筆だ。
色鉛筆画1本でやってきた私には、オイルパステルは勝手が効かず苦労した。綿棒を使い指を使い、試行錯誤を繰り返しながら─
そして数日かけて完成させた絵がこちら。

頭の中のイメージがなんとか絵になった。絵本の挿絵のような暖かな仕上がりに我ながら感動した。ダイソーのオイルパステルも素晴らしい。
紫の花はアラスカで春に咲く花である「ルピナス」。ルピナスの咲き誇るアラスカの森で、朝日の昇る山々を背に歩くグリズリーの親子を描いた。
やっぱり私は絵が好きだ。
だから正直この絵は売れなくてもいいと思った。売れなかったら家に飾ろうと考えてフリマに持っていった。
さて、この絵をどう売ろう。何円にする?
いや、私は最初から決めていた。
値段は購入者に決めてもらう。

1円~にしようかとも迷ったが、"金出して買えよ"という圧を感じて嫌だったため、0円スタートのオークション形式にした。
⑤10:00開店

開店早々足を止めて下さる方が多数いた。通りすがりの人でも、ぬいぐるみの山を見て可愛いと言ってくださったり。
一番最初に売れたのは犬雑貨コーナーの50円フィギュア達だ。2,3個まとめて買われることが多かった。値札につけている名前が可愛いと言ってくださる方もいた。そして、売れないかもしれないと思っていたワニとカバは序盤で売れた。
フリマは本当に何が売れるか分からない。
そうこうしていると、最初の方で商品を見て去っていった小学生くらいの男の子がお金を握って戻ってきた。
「グレッグのダメ日記1冊ください!」
我が家にはグレッグのダメ日記が全巻置いてあった。小学生の時大好きで何度も何度も読んだものの、成長するに従って読まなくなり、何年も押し入れの中にしまわれていたのだ。
そうして今回フリマに持ってきたのだが、きっと楽しく読んでくれるであろう新しい子供の元へ本が旅立つことを考えると胸が暖かくなった。
これこそフリマの良さである。最初はお釣りとなる小銭が足りなかったが、物が売れお釣りに困らなくなっていった。
・神様現る
そういえば絵に題名を書くのを忘れていた。「アラスカの朝」と小さい紙に書いて絵に貼ったその時、
「あら、この絵あなたが描いたの?」
マダムが声をかけてきた。
「そうです!日が昇るアラスカの景色を描きました!」と返す。
0円~って1円でも100円でもいいの?とマダム。「お好きな値段を決めてください。いくらでもいいです!0円でもいいです!」と私。
まあ良くて100円~数百円程度だろうと軽く考えていると、「じゃあ1000円で買うわ!」と…!!
1000円?!
素人が描いた絵なんて、1円すら出したくない人が殆どだろう。なんなら無料でも要らない人も多いはずだ。それがなんと1000円という価格で買われたことに私は感激した。
絵の世界では1000円は安いのかもしれない。でも私にとっては、それはそれは素晴らしい金額だった。
「だって素敵なんだもの」
マダムの仰ったこの言葉が忘れられない。思い出すだけで幸せに浸れる。
絵と一緒にぬいぐるみも3点購入してくださった。きっと動物が大好きな方なんだろう。
他のところを見て回るあいだ、ぬいぐるみと絵は取り置きということで、
絵にはSold Outの紙をつけた。

Sold Outの紙を貼ってからも、何円で売れたんですか?どんな絵か見てもいいですか?と聞いてくださるお客さんがチラホラいた。
売れても尚興味を持ってくださる方もいるんだなとホッコリした。
⑥昼過ぎ
午前中に比べて客足も落ち着いてきた。
ここまでで色々売れたが、特にぬいぐるみは大人気で、子供たちがお揃いで買って行ったりして直ぐに売り切れた。

また、去年のDハロ(ディズニーで行われる仮装イベント)のために自分で作ったライオンキングのキアラの衣装が意外にも売れ驚いた。
1500円だが、"面白いから買っていきたい"と家族連れの方が買って行った。

さて、お腹も空いてきたしそろそろお昼ご飯にしよう。ついでにほかの出店も見て回りたい。
でも1人だから代わりの店番いないし…
─大丈夫!
こんなこともあろうかとしっかり用意してきた。
「出店者散歩中 代金はこちらへ」
メモ付きの貯金箱を用意した。地方でよく見る野菜の無人販売みたいに。戻ってきてもお金が入っていなかったら…勝手に持っていかれたら…と考えたものの、私は皆の優しさと日本の治安を信じ、貯金箱をテーブルの上に置き、売上の入った缶を手に店を後にした。
フリマがやっていることもありコンビニは長蛇の列。諦めて、少し高いもののカフェでホットドッグをテイクアウト。
そして他の人達の店も見た。いいものが沢山で、色々買ってしまった。
ハンドメイドの蜜蝋キャンドル、出店者がアフリカで買ったというヌーのぬいぐるみ、羽根ペンに服に羊毛フェルトの犬にネズミが飛び出すチーズ…
私らしい幸せな買い物である。

ホットドッグを食べるため、自分のブースに戻った。
ところが私のブースには誰もいない。
あぁ、やっぱり誰もお金入れてくれなかったか…と貯金箱を持ち上げると
ジャラ…
!?

ちゃんとお金が入ってるー!!!!
隣のブースの方が、「ちゃんと皆さんお金入れてましたよ!😊」と親切に教えてくださった。
意外と無人の方が気軽に見られて買いやすかったりするのかもしれない。
とにかく、私がいない間にも誰かが何かを買ってくれたことがとても嬉しかった。
⑦人との繋がり
実はもう1つ持ってきていた絵がある。
それがこちら。

ただ、アラスカの絵に比べて書き込みが弱く失敗作だと感じたため、一応持ってきてはいたが、テーブルの下に置いたままにしていた。
すると店を見に来た女の子が「これ可愛い、上手」と言った。なんの事だろうと思うと、テーブルの下に置いていた私の失敗作のことだった。
自分にとっては失敗作でも、誰かにとっては良い作品なのかも…と思い、
それからテーブルの下に置くのはやめ、0円スタートのオークションイーゼルに置いた。

ただやはりなかなか売れない。アラスカの絵ほど足を止める人もいない。当然である、サイズが小さく、色もなんだか淡いからだ。
それでも小さい女の子達には人気なようだった。
「買いたい」と言いお小遣いが入っているであろうお財布に手を伸ばしてくれた子がいたが、横にいたお母さんが無言でその手を止めていたのは忘れられない…
「なんで!」という女の子に、お母さんは無言で首を振った。
子供は純粋だ。でも大人は違う。
少し傷つきながら、女の子に申し訳なさも感じながら過ごした。その間にも絵以外の商品は売れていく─
・依頼
出展ブースで暇な時、ずっとスマホをいじっているのも感じが悪いので、持ってきていたポストカードサイズの画用紙に絵を描くことにした。
色鉛筆とオイルパステルで、洞窟にいる猫の親子を書いた。

直射日光でオイルパステルが1部溶けた
ただ、私の場合、しっかりした絵を描くためには何時間も何日も費やさなければならず、ここで即席で書いた絵は正直失敗作だった。
ただ、とりあえず「おばあちゃんちへ行くところ」の絵の隣に置き、こちらも0円~のオークションを開始した。
もう一度他のお店を見て回りたくなり、またあの貯金箱をテーブルに置いて、そのまま店を後にした。
そうして戻ってきて貯金箱を持ち上げると…
ジャラ…
今回も誰かが買ってくれたようだ。数百円が入っていた。そしてさっきの猫の絵も無くなっていた。風に飛ばされた可能性も否めないが、お金も入っているし誰かが買ってくれたのかもしれない。
イスに座って間もなく、女の人が駆けてきて、「さっき他の方が猫の絵を買ってましたよ!私も可愛いと思ってたの。」と。
本当に誰かが買ってくれたんだ!そして購入者以外の方の目にも留まっていたことが嬉しかった。
するとその女の人は、飼っている猫を書いて欲しいのだと写真を見せながら言った。ひまわり畑の中で─と情景も伝えながら。
私にオーダー!?
全く予想していない出来事だった。もちろんです!と私は答え、その女の人は後で取りに来ると言いその場を後にした。
ひまわり畑の中で…2匹の猫…
こんな感じだろうかと鉛筆で下書きをする。消しゴムを忘れたため、やり直しはきかない。

いよいよ色塗りをするのだが、この時点で閉店の16:00まで残り1時間。その間の接客も考えると、かなり急がなければならない。
大きなキャンバスや紙とは違い、小さな紙にはオイルパステルは不向きかもしれない。細かい書き込みができず、色鉛筆を使うことになる。
そうして描いていると、男の人が現れた。
「美大生なの?」
「いえ、普通の大学生です!」
「本当は行きたかったとか?」
「いや、好きを仕事にするのって辛いかなと思って」
そう話していると、どうやらその男の人は好きを仕事にして何十年、今年で定年だそうだ。テレビ局で番組制作に携わってきたと言う。色々話を聞いて、好きを仕事にするのも道のひとつなのかもと思うようになった。
最後にその男の人は、0円スタートの「おばあちゃんちへ行くところ」を見て100円で買って行った。
ついに売れた!
たかが100円されど100円。1円も出したくない人もいるだろうに、事実子供が買うのを止めた母親もいた。そんな中で買ってもらえたことに感激だった。
その後絵の依頼者の女の人が戻ってきて、私の絵の制作過程を見がてら店番を手伝ってくださった。
物を売って終わりだと思っていたフリーマーケットに、こんなに人と人との暖かい繋がりが生まれるなんて。
依頼者の女の人の他に、隣のブースの孫とおばあさんも絵に興味を持ってくださった。「秋のフリーマーケットにも出すといいんじゃない?その時はぜひ私にも依頼させてちょうだい」とおばあさん。
孫である小さい女の子は、私の絵の制作過程を金網に登ってまじまじと見ていた。
途中で「おばあちゃんちへ行くところ」を購入した男の人が戻ってきて、「さっきの絵に100円追加で!」と私に100円を渡し、走り去っていった。
そうして人の優しさに触れているうちに絵が完成した。

やはり時間が足りず書き込みが甘く、依頼してくれた方に申し訳ない気持ちがあった。
だが依頼者の女の人は、喜んで500円を置いていってくれた。「犬の飼い主は飼ってる犬種のものしか買わないんだけど、猫の飼い主は猫だったら買ってしまうのよ」と。
そうして今回の出店は幕を閉じた。
⑧あとがき
今回初めての出店となったが、予想以上に沢山売れ、最後に絵のオーダーも入ったりと感動の連続だった。
1人だろうが大学生だろうが関係ない、そして初心者だろうが絵を買ってくれる人はいる。
絵に関してはネットだときっと売れなかっただろう。対面だからこそだと私は感じた。
ブース代の3000円さえ稼げればいいと思っていた売上は、なんと3万4900円。

人との繋がりや新たな発見を考えると、気持ち上の売上は10万円以上である。
普段はメルカリで出品を行っているが、対面はまた違った良さがあった。
商品に対する思いを直接語れたり、聞けたりするのは対面でしか出来ないことである。
"3000円を払っても、また秋のフリマにも出店しよう、絶対に。
そして次はもう少し多く絵を描いて持っていこう。"
そう私は心に決めた。
