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くらかど酒店で 吟醸酒じょっぱり

2020年4月のブログ記事を再編集して引っ越し

 角打ち(かくうち)

とうに廃れたと思われていた「角打ち」が改めて注目されたのはもう10年以上も前になるだろうか。「せんべろ」という言葉とともに立ち飲み屋が多くなり、その頃から酒屋さんも店の一部を改装して次々に名乗りを上げた。

椅子を用意することなく立って飲ませる居酒屋と、店の一部に立呑のできるスペースを設けた酒屋の角打ちとは似て非なるものと私は考えている。
ここを混同すると楽しみ方を間違ってしまう、いやそれぞれの良さを十分に楽しめない気がしてならない。
なにしろ酒を注いでくれる人が違う。

角打ちの呼び方は色々あるようで、酒屋の一角(いっかく?ひとかど?)で立って飲むことを関東では「かくうち=角打ち」、関西では「立ち呑み」、東北では「もっきり」というらしい。
「もっきり」は最近では升にグラスを入れて注ぐ提供の仕方をそう呼ぶことがほとんどだが、元々は升に目一杯の「盛り切り」から来た言葉だそうだ。

「角打ち」は升の角(かど)から飲むからという昔ながらの飲み方が言葉の元の意味だとすると、時代とともに酒をつぐ容器が変わったのに言葉だけが残っているのだろう。
しかし、酒屋の一角(いっかく)で飲むから角打ち(かくうち)だと言うなら、升の(かど)から飲むのは角打ち(かくうち)ではなく角打ち(かどうち)ではないか?…?
なんだか矛盾と矛盾が交錯して、何がなんだかわからなくなる。
どうせこんな話は、話自体が「酒の肴」と考えれば更に酒が進みそうだ。

 話を元に戻そう。

酒は居酒屋の従業員が注ぐのと酒屋の親父が注ぐのとでは違うのだ。
特に今では地酒を揃えた酒屋で角打ちをやっているところも増えたために、そのところはどうしても薀蓄に期待してしまう。
もちろん居酒屋の従業員も詳しい人が多いのは確かだが、アルバイトの全員にまで知識を求めるのは酷というものだ。
たとえ詳しいとしても若いアルバイトの従業員が60代のお客様に蘊蓄を披露する勇気などあるとは思えない。
やはり、酒屋での角打ち(=立ち呑み)は居酒屋での立ち飲みとは違う、特別の期待を持てる酒屋を選んで行きたいと、私は思う。

吟醸酒じょっぱり

 くらかど酒店で角打ち

2019年5月から角打ちを始めた東陽町の「倉門酒店」。
私は「一杯ください」としか言わない。
何しろここのオヤジは地酒を扱って40年以上になるだろう。
実際に酒蔵で仕事をしたこともあると聞いている。
だから当然にこだわりも人一倍だ。
オヤジの膨大な経験と知識と酒蔵の人脈の中から選んで揃えた酒だ。
少々の酒好きが自分のこだわりで選ぶよりも、このオヤジに素直に任せるのが一番だ。
きっとこちらの顔色も参考にしながら勧めてくれるに違いない。

「これはどうですか?」
そう言って倉門酒店のオヤジが冷蔵庫から取り出したのが青森県の地酒だ。「吟醸酒じょっぱり」
私も「じょっぱり」は知っていたが、その吟醸にはお目にかかったことがなかった。
ラベルはいつもの見慣れた「じょっぱり」で親近感も馴染みもある。
この吟醸酒、キリリとした辛口でほのかな香りがまろやかさを加えて心地よい。あまり吟醸酒らしくなく香りをことさらに主張しない所が良い。

もうかなり前のことになる。
「田酒」の酒蔵の西田酒造店が社内の方針を買えたのだろう。それまでの「喜久泉」の造りを大きく変更して吟醸の色合いを強めた頃、「田酒」も内容は変更された。
倉門酒店のオヤジは首を傾げながら「うーん」と言っていた。
この日は吟醸じょっぱりの瓶を横において、
「最近では青森の酒はこれを勧めているんです。」と静かに教えてくれた。

 時の移り変わり

元来、このオヤジも私も華やかな吟醸派ではない。
何でもかんでも香りが華やかな方が良いと人気だった時代を過ぎ、今ではその華やかさも幾分落ち着いてきた感はある。
そして今では一部で更に進めた酒造りになっているようだ。
「近頃では米を溶かして造るんですよ。」
「だから酒粕が出ない。」

融米造りは知っていたが、酒粕がでない…?
大変な時代になったなったものだ。
賛否は横において20年ほどの間に酒造りは随分と様相を変えてきた。
画一化されて数値管理された工場で流れ作業のように造る。
むしろ吟醸や大吟醸の方が造りやすいという事になっているらしい。
微妙なバランスが大切な本醸造酒をしっかりと造り込める酒職人は少なくなってきていると、以前に倉門酒店のオヤジが話していた。
こんな会話が楽しめるのは酒屋の角打ちならではだ。

飲酒人口が減り、日本酒の国内での出荷量は伸び悩んだまま。
華やかな個性を発揮する酒も歓迎だが、いつも安心して手に取ることができる安定感のある酒が日常には落ち着ける。

東陽町の駅に向かいながら空の青さが目に染みていた。

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「じょっぱり」とは津軽弁で「強情っぱり」ということらしい。
津軽と南部の弘前、東部の八戸。
同じ青森県でもそれぞれに個性の違う土地柄だとか。
そんなことを感じながら青森の酒を飲み比べるのも楽しそうだ。

「じょっぱり」六花酒造株式会社さんのHPが現在リニューアル中ということなので、以下に青森県酒造組合さんのHP内で紹介されている六花酒造さんのページをリンクして貼り付け。


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