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【ピリカ文庫】ラテのミルクが優しい朝に

はじめに


【新生活】をテーマに、ご依頼を頂き、初めて書いた短いお話です。(2000文字程度)
以前、参加した企画、【曲からチャレンジ】
のお話が元になっています。
ライトノベルを意識して書きました。軽い気持ちでお読み頂けると幸いです。

( はじめにの部分、3/17 加筆修正)
( スペースを詰めました。3/17 修正)

*フィクションです。実在するのんちゃとは
大きくかけ離れておりますのでご注意下さい。笑

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【ラテのミルクの優しい朝に】


ふと目を開ける。
静寂…
なぜか、ただならぬ空気を感じた。
部屋の中の時は止まっている。
今は…
朝?それとも夜?


ケータイを掴む。
しまった!!
携帯電話のデジタルな数字が目に飛び込むと同時に一気に脳から信号が手足に向けて送られ、全身のスイッチがオンになる。
時計は午前7時57分。つまり、いつも家を出る時間の15分前。
(やっば、遅刻しちゃう〜💦)
マスクがあるから、とりあえず見えるとこだけでいいや💦BBとパウダーで適当に肌を整えて、アイシャドウとアイラインはいるよね、マスカラは…
まぁいっか。なんとかなるなる!よしっ!ダッシュだぁ〜  

私は遠野 桃香(とおの ももか)
今年の春にめでたく、就職し、早や1か月。新生活にもようやく慣れてきた頃。史上最速の速さで身支度を終えた私は、いつもの電車に乗るべく、猛ダッシュをした。
朝食を食べ損ねたけれど、駅前のいつものコンビニで何か買って、後で食べればいっか。いつもの電車にさえ乗れれば、会社に着いてからは、始業まで時間があるもんね。
そう。

いつも同じ時間に起きて
いつも同じ時間に家を出て
いつもの駅前のコンビニに寄って
いつもの電車に乗りいつもの会社で
いつもの仕事をする。
ごくごく普通の毎日なのだ。

よし、コンビニに着いた。
5分で買えば、間に合う。とりあえず、何か食べるもの買お。わ。レジ混んでるよ。急がなきゃ。

「お次のお客様、こちらのレジへどうぞ!」

呼ばれて、進んだレジには、爽やかなイケメンバイト君。こんな子、いたっけ?新人かな?
前に進み出て、サンドイッチを一つ、レジカウンターの上に置く。時計を見るとあと8分。 

「お待たせ致しました。サンドイッチが一点。198円でございます。」
「あ、あとホットのラテ下さい。」

コーヒーやラテは、注文を受けてから作るので時間がかかる。あと5分。駅までは3分。間に合うか…まぁ、いっか。たまにはぎりぎりの出社になっても。そんなことを考えていると、数秒後にピッ。コーヒーマシンの抽出完了の音。

「 お待たせいたしました! 」
「 えっ?もう出来たんですか?」
(全然待ってない😳)
「 なんとなく、そんな気がしたから、もう用意して待ってました。ご注文なければ、後で僕が飲めば良いと思って。」
「こちらでよろしいですか?」
「もちろん、要ります!下さいっ!」

爽やかバイト君のおかげで、電車にも間に合い、無事に会社に着く事が出来た。
それにしても不思議だ。
いつもラテを頼むの、知ってたんだろうか…
あの新人君…。なんだかとても気になる…
どこかで会ったことあったっけ?
電車一本、遅れずに済んだおかげで、いつも通り早めに到着。休憩室で手早くサンドイッチをほお張り、少しぬるくなったラテで流し込む。

ラテのミルクが、ほんのり甘い。優しい味。
ほんと、美味しいんだよね。ハートマーケットのラテ。

仕事も一日、順調。夕方5時にはちゃんと帰れるとってもホワイトな会社。そんな毎日なのに。  

平和な日々って、大切なはずなのに。 

最近思うんだ。何か、大事なことを忘れてるような。何かが足りないような。
就職を機に親元を離れて、1人暮らし。
自由な毎日なのに、何が足りないんだろう。
きっと贅沢な悩みなんだろうけど。
何かが欠けている。
きれいな空や、夜空に浮かぶ月を見ると
なんでだろ。切ない。

幸せってなんだっけ?

そんな事、突然口にしたら、まわりに心配されそうだから、言わないけどね。
1日のやる事を終えてあとはもう寝るだけの時間。
パソコンの電源を入れて、画面の青い待ち受けを見ながら、考えていた。
けいくん…元気かな?
大学の研究で、遠くに行くって言ってたけど。
あんなに毎日、チャットでやりとりしていたのに、ここ2週間ほど、メッセージはない。
忙しいんだろうけどなぁ。なんだか、繋くんと話をしてないだけで、世界から、色も香りも無くなっちゃったみたい。

時空間でメッセージをやり取りできるアプリnote advanceが開発されて以来、毎日話してた。生きてる時代も顔も知らないけれど。
わかっているのは けい
という名前だけ。繋がりっていう意味なんだって。高ニの時だったなぁ。出会ったの。
どうしてるかなぁ。さみしいな…
当時の曲を聞きながら、いつの間にか寝てしまったみたいで、気がつくと朝になっていた。

よしっ!今日はちゃんと起きれた。エライぞ、桃香!鏡の前でにっこり微笑んでみる。大丈夫。桃香は、強い女の子なのだ。

玄関のドアを開けると春の光。いつもより少し早い時間に家を出た。すれ違う人がいつもと少し違う。いつものコンビニでいつものラテを買う。
昨日の男の子はもういなかった。
(残念…また会いたかったな。)
仕事を終えて、帰り道。
青い夕方の空にはまん丸い月。

「月がきれいだ。」

ふと口をついて言葉がこぼれた。直後にポケットの携帯に通知が一件。
「桃ちゃん、ただいま。今帰ったよ。実は僕ね…」


マナーモードの携帯が静かに光っていた事を
桃香はまだ知らない。


ピリカ様、このような素敵な企画にお誘い
下さり、ありがとうございました✨

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参加作品(2作、繋がっているお話です)

前回の曲のあと、出た、ユイカさん、れんさんのデュエットバージョン

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