「西川勝人 静寂の響き」展@DIC川村記念美術館(2024.9.14-2025.1.26)
この記事はSNS用に書いた内容を、noteの記事として当時の想いと共に残したいと思い公開したものです。一部情報が古い部分もありますがご了承ください。
2024年8月にDIC川村記念美術館が休館と発表があり、衝撃を受けました。
実家が美術館と近かったため大学生の頃、学芸員資格の授業やゼミのレポートを書くために何度も足を運んだお気に入りの美術館でした。
そういえば結婚して千葉から離れてからは全然行けてなかったと思い、仕事が落ち着いたタイミングで久しぶりに向かいました。
DIC川村記念美術館
静かな佇まいと美しい庭園はそのまま、休館が近いからか以前よりも人が賑わっている様子。それでも都内の美術館に比べると落ち着いて鑑賞ほどなので気になりません。

DIC川村記念美術館の良さ
この美術館の良さは、作品が一番際立つように部屋がオーダーメイドで作られていること。
所蔵作品はどれもクオリティが高くコレクションの収集が素晴らしいのも特筆点ではあるのですが、美術館内の動線・照明と窓と作品の配置が何よりも美しい。
部屋に入った瞬間に作品の世界に引き込まれるように作り込められています。
数年前からの変化と想い
ただ今回、鑑賞をまわりながら展示が記憶と大きく違い動揺が…
図録を買って確認すると、やはり日本画コレクションとバーネット・ニューマンの作品が記載されていない!?
「ニューマン・ルーム」で《アンナの光》という作品のために作られた作品を観るのを楽しみにしてたのに…!
2階200展示室・左右に大きなガラス窓のある部屋は、いまは「木漏れ日の部屋」と呼ばれているようです。
ネットで調べるとニューマンの作品は、過去コロナより前にすでに売却されていたんですね…
自分で思ってるより長いこと行ってなかったんだな…切ない…。あの空間で観るのがすごく良かったのに…
休館後は所蔵品も4分の1まで減らして都内で展示するとのこと。作品のために作られた今の美しい建物がどうなってしまうのか、ただただ心配です。
川村記念美術館は不便な場所にあるからこそ静かさが保たれてきた美しい美術館です。
いまも所蔵展示されている作品はその時代の一級品ばかりですし、レンブラントの「《広つば帽を被った男》の部屋」やロスコの作品のための「ロスコ・ルーム」はまだ健在なので「絵を見て言葉を奪われる感覚」を味わえるので、休館前に足を運ばれることをおすすめします。
できれば私も休館までにまた行きたい…
2月以降は収蔵作品によるコレクション展を行うとのこと。
ジョセフ・コーネルのコレクションや現代日本美術の作品が一同に見れたら嬉しいな…
「西川勝人 静寂の響き」展 (Katsuhito Nishikawa Serenity in Stillness)
国内美術館における初の回顧展とのこと。
恥ずかしながら存じ上げなかったのですが素敵な展覧会でした。美術館のこういう出会いがうれしいですね。
「木漏れ日の部屋」200展示室より企画展がスタート
下調べせずに来訪して勝手にショックを受けたので色々書いてしまいましたが、この200展示室と西川さんの作品たちが、とても綺麗にマッチしていました。
行った日は曇天だったのも、静けさをより演出してくれて良かったです。
白く大きな壁の一面に暗く透き通ったようなアクリルガラスの色彩「静物」が並び、木漏れ日を受けて光る透明なクリスタルガラスの「フィザリス」が転がっている。
特に「フィザリス」が光を受けて広い部屋の中へキラキラと光が反射する様子が、静謐で幻想的であり綺麗でした。

特に好きだった203展示室《ラビリンス》
ここまで観てくると「自然」「光」「白」「陰影」にこだわりがある方なんだなというのは伝わってきます。ドローイングの作品などを経て、最後の部屋203展示室へ。
なかに入るとまず仄暗さと静けさが際立っていて、こんな展示方法ができるということに驚きました。
高い天井を見上げると照明ではなく、自然光の光が少しだけ漏れています。まるで曇り空の隙間から時折さす太陽の光のよう。
広い部屋を使って《ラビリンス断片》が設置されており、迷路のような白くて低い塀の中を歩きながら、塀の間・塀の上・壁に設置されている彫刻作品や写真といった個々の作品を観ていく展示でした。
この展示は作者本人が設置したとのことでした。
歩き進むにつれて、暗い気持ちが少しずつ晴れていくような、でもまた陰っていく、詩的な雰囲気があります。
「ごあいさつ」に書かれていたことを思い出します。
↓ 以下、抜粋
美術館という日常から隔てられた場において、西川作品を介することで、来場くださった皆様が観想する時間をもつことを願って、本展を開催いたします。
観想する時間。。。
普段なら意識しないと忘れてしまいそうですが、西川さんの作品のなかにいると自然とそういう時間を味わえる感覚がありました。
図版
企画展を観おわってミュージアムショップに寄り、購入しようと決めていたDIC川村記念美術館2024のカタログと、思わず手にとってしまった西川さんの企画展カタログを購入。

西川さんのカタログは表紙がとても分厚くて固い紙でデコボコとエンボス加工がされていて、私の好みにドストライクでした。残念ながら作品リストに記載されていた館内の配置マップはないため、作品リストも捨てられません。
最後のページをめくると、花びらが床一面に撒かれていた《秋》の写真が貼ってありました。
私が来館した時にはもう花びらの水気が飛んで薄茶色に近かった花びらたち。写真の花びらは真っ白で緑の花弁もちらほら。この写真から展示に想いを馳せ、時を感じます。

図版の撮影者は作者本人とのことで、作者が一番作品の観せたい顔を発揮できていると思うと、やはり購入して良かったです。
庭園
帰る時には小雨が降ってきましたので散策は中止。
白鳥は気持ちよさそうですが、人には寒い気温でした。

