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修士課程を修了し、博士課程へ進学することになりました

タイトルのとおりですが、この度、JAIST(北陸先端科学技術大学院大学)の先端科学技術専攻科を修了し、修士号(情報科学)を取得しました。そして、半ばノリ的な勢いで、博士課程に進学することなりました。本記事は、これまでの修士課程と、今後の博士課程に関する個人的なまとめとなります。なお、カバー画像はAI生成で、私は写っていません。


修士課程の生活について

修士生活は入学から修了までトータルで3年要しました。この間に講義(20単位)、副テーマ研究、主テーマ研究、学会発表、仕事、子育てをこなしていくので、なかなかハード事になりました。
講義については、量子力学、自然言語処理、統計的信号処理、回路設計/組み込み、オペレーティングシステム、ネットワークなどを幅広く受講しました。無論、大学院レベルの講義ですので、大学までの知識を前提とします。したがって、講義の難易度は専攻や専門分野によって、人それぞれが異なるものとなります。私個人はIT技術者なのと関数解析レベルくらいまでは講師をつけて勉強していたので、数学や情報系の単位を取得することはそれほど苦ではありませんでした。一方で、物理や量子力学は完全に守備範囲外で、かなり苦労しました。

修士研究(主テーマ研究)

修士時点の研究は、OSS(オープンソースソフトウェア)の競合関係を定量化するための数理的な手法と、その手法を元に将来の競争による淘汰を予測するためのモデルを提案するものとなりました。OSSの競合関係を定量化するための手法は、計量経済学で利用されるモデルや理論をソフトウェア工学に応用することで実現しました。具体的には、計量時系列分析に用いられるSVAR(Structual Vector Autoregressive)モデルとインパルス応答関数をOSS分野に向けて拡張し、簡易的な因果分析を行うものとなっています。修士研究の成果は国際学会あるいはジャーナルに投稿しようと考えており、すでに英語論文の原稿は作成済みです。
この分野の海外大学の先生がco-supervisionとして、私の博士課程の指導をしていただけることになったので、D1はこの研究成果を国際会議の場で発表することから始まると思います。自分の研究成果をグローバルに発表できることにモチベーションが高まっています。

副テーマ研究について

JAISTでは、主テーマ以外に副テーマ研究を行う必要があります。この副テーマ研究は主テーマとは関連の薄い内容を扱うことが推奨されています。
こちらも、もともと興味のあった量子コンピューティングに関するテーマを選択しました。とはいえ、研究というよりは、既存の重要なアルゴリズムを調べて、それのプログラム演習(簡単なシミュレーションの作成)及び、理論に関するレポートをまとめるという内容です。具体的には量子位相推定というアルゴリズムに関するシミュレータの作成と、理論をまとめたものになりました。量子位相推定自体は量子フーリエ変換と位相キックバックがキーとなるアルゴリズムなので、関数解析を勉強していた身としては、馴染のあるものでした。満点で単位をもらうことができましたが、個人的には副テーマのクオリティに満足はしておらず、また量子コンピュータはかなり興味のある領域なので、研究、あるいは事業者として今後、何かしら関わっていきたいと思っています。副テーマの先生からは、まずシュレーディンガー方程式を理解しなさいと言われたので、この言葉を心に刻み、直近の人生の宿題として積んでいます。

博士課程について

博士課程では、修士研究をより高度化し、因果探索や統計的因果推論を用いて、OSSの生存性を分析、評価するような研究を行っていこうと考えています。統計的因果推論は経済学や医学分野では広く用いられるようになってきましたが、ソフトウェア工学分野では、未だ相関分析のウェイトが多いのが現状です。この分野に統計的因果推論を持ち込み、OSSの発展や衰退を因果的な視点で分析するというのが博士課程の大きなテーマとなります。修士研究の節でも少し触れましたが、co-supervisionとして、海外大学の先生に指導してもらえることになったので、博士課程ではもう少しグローバルな研究環境となりそうで、非常に楽しみです。
また、卒業要件として、どうやら、4単位分くらいの講義は取らなければならいので、半導体関連の講義を取りたいなと思っています。この頃は半導体分野に興味が強くあり、割と本気でTSMCの熊本工場に就職できないものかと考えていたこともありました(笑)量子力学を勉強し始めているのもその影響があります。

AI時代における研究者として

突拍子もない話題に感じるかもしれませんが、LLMやAIエージェント全盛の今、これは外せない話題だと思います。そして、潮流的には人間のソフトウェア技術者や研究者が今後数年のスパンでAIに代替されるという論調があります。これに関しては私も肯定的な立場で、会社経営的な立場から見るに、代替の容易な部分から実際そのようになっていくだろうと考えています。なんなら自分のキャリアが消失してしまうことのリスクヘッジとして、資産の多くをAIツルハシやエネルギー、仮想通貨関連の銘柄に投じているほどです。
したがって、事業者としての私はAIが与える負のインパクトを気にしています。一方で、研究者としては何も失うものがないド新人なので、AIが我々に与える正のインパクトの恩恵をもろに受けています。具体的には、先行研究の調査、必要な数理や統計などの学習、実験のためのコード生成、日本語原稿の英訳など、AIから受けられる正方向の恩恵が凄まじいものになっています。むしろ、AIがあるからこそ博士もいけると進学を決意したほどで、恐怖と期待が入り混じった、ヒリつきつつもワクワクという絶妙な心理状況にあります。
そういった状況なので、人間が自然科学分野の研究を主導する間は、私も少しでも業績が残せるように全力で頑張ろうという感じです。AIが台頭したらすぐにドライバー席を譲り、また次のことをしようと思います。Let it beですね。とはいえ、AIが科学的な発見をするようになったら、例えば月に住んだり、不治の病が直ったり、エネルギー問題を解決したりなど、ポジティブな解釈もあるので、そのときに、相応のアプリケーションの開発や研究をして余生を楽しんでいけないものかと楽観視はしています。ほとんどのもののコピーが容易になれば社会構造や価値観が大きく変化し、そもそも資本主義が機能しているのか?といった疑問はありますが、私個人で抗えるものでもないので、Let it beですね。強いて言えば、それまでに会社をExitして都内に広い土地を買っておきたいくらいです(笑)

最後に

私は4年生の大学を卒業していないので、専門卒から飛び入学で大学院に入り、修士号を取得しました。紆余曲折でまったくストレートではない人生ですが、ここまでこれたのはこれまで出会った方々や、会社の仲間、指導教員、家族のおかげです。この場を借りて感謝申し上げます。皆様、今後もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

受領した学位記(誕生日のみ黒塗りしています)

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