🌾「ひこばえ革命」――温暖化を逆手に取る再生二期作が農業を変える
はじめに
いま日本の農業は大きな岐路に立たされています。
・気候変動による高温障害
・農家の高齢化と労働力不足
・コメ余りと供給不足が交錯する不安定な市場
そんな中、注目を浴びているのが「再生二期作(ひこばえ農法)」です。
これは、水稲を刈り取った後の切り株から新たに芽吹く「ひこばえ」を再び育て、1回の田植えで2回収穫する技術。従来の二期作と違い「植え直し」が不要で、省力化と高収量を同時に実現できるのが最大の特徴です。
2024年には静岡県や茨城県の生産現場で本格導入が始まり、収量1.5倍〜2倍という成果が出ています。農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)も実証試験を行い、その効果をデータで示しました。
このnoteでは、なぜ再生二期作が注目されているのか?
その背景・メリット・課題・事例を徹底解説します。
第1章:再生二期作とは何か?
再生二期作の基本はシンプルです。
1. 春:田植えを行う
2. 夏:1回目の稲刈り(通常より高めに刈る)
3. 秋:切り株から生える「ひこばえ」を育てて再収穫
従来の二期作は「育苗 → 再び田植え」という工程が必要でしたが、再生二期作は植え直し不要。つまり労力もコストも減らせます。
この「ひこばえ」を利用する発想自体は昔からありました。しかし、収穫に耐えうるレベルまで安定して育てられるのは、温暖化による気温上昇で秋の生育期間が伸びた今だからこそ可能になったのです。

第2章:注目される3つの理由
① 温暖化を逆手にとれる
従来は寒さが二期作の壁でしたが、温暖化により秋の気温が下がりにくくなったことで、ひこばえの生育が可能に。マイナス要因をプラスに転換する「気候変動対応型農法」として期待されています。
② 収量が最大2倍
農研機構の試験では、福岡県の生産現場で 950kg/10a の収量を記録。これは同地域の平均収量(482kg/10a)のほぼ2倍にあたります。
しかも、一期目と二期目で食味に差はなく、品質も維持されました。
③ 植え直し不要=省力化
労働力不足が深刻化する日本農業にとって、再び田植えをしなくてもよい再生二期作は画期的。コスト削減にも直結します。
第3章:どんな品種が向いているのか?
代表的なのが農研機構の「にじのきらめき」。
高収量(700kg/10a級)
コシヒカリ並みの食味
倒伏・病害に強い
白濁米が少なく外観も優秀
その他、東北向けの「べこあおば」、関東以西向けの「北陸193号」といった品種も実験されています。
条件は明確です。
👉 高収量 × 高温耐性 × 品質安定
これらを満たす品種が、再生二期作の未来を左右します。
第4章:品質と肥料の現実
品質は落ちないのか?
「二期目の米は味が悪いのでは?」という懸念もあります。
しかし実証データでは、1期目・2期目ともに「ヒノヒカリ」と同等の食味を示しました。
肥料は増える
課題は肥料。通常の栽培より2〜3倍の窒素肥料が必要です。
元肥:10kg/10a
追肥:13kg/10a
合計23kg(通常の2〜3倍)
👉 収量増と肥料コスト増のバランスが重要。
ここでカギになるのが持続可能な施肥技術。有機質肥料やバイオスティミュラント資材の導入により、地力維持とコスト抑制を両立する工夫が求められます。
第5章:現場の事例
静岡県浜松市「じゅんちゃんファーム」
2023年は高温障害で売上4割減。そこで再生二期作を導入した結果、従来の2倍近い収量を見込めるように。代表は「暑さを逆手に取れることに希望を感じる」と語ります。
茨城県水戸市の農業法人
2024年から約5haで導入。8月14日に一期目を収穫し、わずか12日後には二期目の穂が出始めました。11月収穫で前年比1.5倍の収量を見込んでいます。
👉 共通点は「収益改善」と「米不足対策」。単なる技術ではなく経営戦略としての価値があるのです。
第6章:課題とリスク
1. 機械対応
一期目は高刈り(40cm)、二期目は短稲刈りが必要。自脱型コンバインでは困難で、汎用コンバイン導入が必要。
2. 水資源の確保
春から秋まで通水が必要。水利権や灌漑施設の整備が不可欠。
3. 寒冷地リスク
北日本では二期目が成熟前に低温で止まる可能性大。地域適応策が必要。
4. 地力低下の懸念
有機物還元が減り、長期的には地力が下がるリスク。肥料コストと持続性の両立が課題。
第7章:未来の展望
再生二期作は単なる「米増産技術」ではありません。
・コメ不足の解消
・農家収益の改善
・気候変動への適応
・新しい農業経営モデルの確立
おわりに
再生二期作は、
👉 温暖化を逆手にとり
👉 収量を増やし
👉 農業経営を持続可能に変える
そんな「ひこばえ革命」とも呼ぶべき農法です。
もちろん課題は多い。しかし課題を克服することこそが、日本農業の次のステージを切り開く力になります。
「再生二期作」は、農業の常識を変えるかもしれない。
その未来を、あなたはどう受け止めますか?

