Mトーナメント2026総括(その2)。優勝した東城りお選手の攻めっぷりに感嘆。それでもなお、BEASTは「東城より中田」なのか

 Mトーナメント2026総括、その2。

 いい負け方だったか、悪い負け方だったか。今回優勝した東城りお選手以外の71人には、そうした目線、物差しが確実に存在する。

 「いい」「悪い」という言い方を、「惜しかったか」「惜しくなかったか」と置き換えることも可能だ。麻雀なので、「チャンスがあったか、なかったか」という視点も当然ながら存在する。これらは人によって意見が異なる感覚的なものだが、筆者が重要視してある点をあえて言えば、守備的にいって負けるより、攻撃的にいって負ける方が好感は遥かに持てる。個人的に好みの結末になる。

 そうした視線を傾けると、筆者の目から後悔が残りそうな負け方に見えてしまったのは、開幕戦で1戦目4着の松本吉弘選手に逆転通過を許した河野高志選手だ。守備的に(安全に)いったが故の逆転負け。シンプルに勝負していれば普通に勝てそうだっただけに、その敗戦が少々もったいなく見えたのは確かだ。

 だが、今大会で筆者が最もガッカリしたと言いたくなる悪い負け方に見えたのは、その開幕戦の次の試合(予選1回戦B卓)に出場した中田花奈選手の負け方になる。

 この試合については以前もこの欄で触れているので詳しくは割愛するが、あれからすでに2ヶ月が経過したいまなお、筆者のなかには“シミ”となって残っている。大きなビハインドを背負っている状況での自身の親番で、なぜテンパイを取らなかった(リーチをしなかった)のか。いまもなお理解に苦しむ。

 先述の開幕戦で親番の松本選手に対して危険な筒子(ピンズ)を掴んで降りた河野選手とは話の次元が違う。自身がまだリードしている状況で降りを選んだ河野選手の選択とは、これはレベルの違う問題だと思う。

 中田選手がそこで降りることは、言ってみれば、自身の通過の可能性を大幅に下げることを意味する。仮にそこで放銃したとしても、その時ラス目の中田選手を責める人は誰もいない。まさにそんな状況だった。「ここからどうやって勝つ算段なのか?」と、降りた瞬間、思わずそう言いたくなった。

 何より、見ていて「面白くなかった」。この点こそ筆者がいちばん指摘したいポイントに他ならない。

 多くの視聴者が願っていたのは、1戦目で大きな4着を引いた中田選手が、2戦目で可能な限り盛り返すところ。そう言っても過言ではない。むしろそれが中田選手に課せられた使命だった。中田選手がそこでがむしゃらに食い下がることが試合の娯楽性の上昇に繋がる。たとえ通過はできなくても、終盤に現実的な条件を残すだけで視聴者は最後まで試合を楽しむことができる。そうした意識が少しでもあれば、貴重な自身の親番で易々とテンパイを崩すようなことはおそらくしなかったはずなのだ。

 中田選手がテンパイを崩した例の場面。「東城選手だったら間違いなくリーチしていただろうな」と、いま振り返ればそう思う。

 負けた上に、試合を面白くさせることもできなかった。繰り返すが、そのチャンスはあったにもかかわらず、である。守備的な選択でそれをあえて自分から手放したわけだ。これ以上、よくない負け方はそう多くない。

 負けを恐れず攻めた選手が白組を中心に今大会数多く見られただけに、中田選手の気の小ささはとりわけ際立って見えた。

 負けっぷりがよかった選手、こちらに好印象を与える散り方をした選手は、それこそ何人もいた。今回の白組で言えば、宮崎和樹選手、朝比奈ゆり選手、石川正明選手、高津柚那選手、今村大樹選手などがそれに該当する(今村選手は予選3回戦の1戦目で中田選手以上のハコ下4着を喫したにもかかわらず、それでも2戦目でしっかり盛り返した)。

 Mリーガーでは鈴木大介選手、多井隆晴選手、萩原聖人選手、二階堂亜樹選手、瀬戸熊直樹選手……。散り方が印象に残ったのはこの辺りになる。

 「負けっぷりがよかった」は、「面白い試合を演じた」と、意味はほぼイコールだ。そして今大会唯一の勝者、優勝した東城選手が絡んだ試合も、繰り返すが総じて面白かった。理由は、打たれても怯まずに打って出たからだ。攻められても下がらず、相手とキチンと攻め合おうとした。もちろん打ち負けることもあったが、今回は打ち勝った回数がそれを上回った。

 運の要素を感じにくい、正当性の高い優勝。今回の東城選手の優勝を筆者はそう見ている。しつこいようだが、攻撃的な姿勢を存分に発揮した末の勝利であるところに何より価値を感じた。

 「Mトーナメント優勝」。出場選手の顔ぶれを見れば、今大会の価値はこれまで以上に高く見える。「麻雀最強戦」に匹敵するくらいのモノは、正直あると思う。

 そんな東城選手の優勝を目にしながら筆者がふと考えたくなったは、同じBEAST Xに所属する現チームメート・中田選手との関係になる。

 「レギュラーシーズンプラス228.4ポイント(個人第8位)」(中田)と「Mトーナメント優勝」(東城)。直近で残した両者の実績の上下は判断しづらいが、単純に筆者が見たい選手はどちらかと言えば、東城選手になる。「見ていて面白い麻雀をするのはどちらか?」。その答えが見て取れたのが、今回のMトーナメント2026だった。

 東城選手、そして、昨季個人スコア賞を獲得した下石戟選手も含め、1年前のBEASTのドラフト指名は、そうした意味でも大当たりだった。

 だがそれでも、だ。たとえば数年後、BEASTが2度目の選手入れ替えを迫られた時、東城選手と中田選手の2人がともにチームに残る可能性は限りなく低い。バランス的に考えて、どちらかは切らざるを得ない。1度目は菅原千瑛選手をあっさり切ったBEASTだが、2度目ははたしてどうだろうか。それでもなお東城選手を切るのか。元人気アイドルの中田選手と最後まで心中する心意気なのか。

 究極の選択にはなるが、筆者が残すべきだと思うのは東城選手になる。イチプロ雀士の東城選手と、元アイドルでタレント兼プロ雀士の中田選手。とはいえ、ビジュアル的に見れば両者は意外といい勝負だ。卓上に向かうシルエットは、むしろ東城選手の方が筆者にはよく見える。そして繰り返すが、見ていて面白い麻雀をするのは断然、東城選手だ。1人の麻雀好きから見て長くMリーグに残って欲しいのはどちらか。答えはハッキリしている。

 セガサミーフェニックス時代も含め、東城選手はチームの「紅一点」になったことは過去に1度もない。紅一点系選手の方が、少なくともその存在感は大きく見える。際立って見える。しかしBEASTでは、この先もおそらくだが「紅一点」になりそうな気配はほぼしない。東城選手が紅一点の立場になるには、自身3チーム目となる他チームに再度移籍(?)するしか方法はなさそうだ。そして、その未来は少なからずだがありそうな気がする。

 東城選手と中田選手。来る新シーズン、麻雀の女神が微笑むのははたしてどちらか。両者の戦い(?)にはとくと目を凝らしたい。

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noriaki0357 ありがとうございます