Mリーグ。順当にデビューした新人は実質佐野ひなこ選手1人だったという事実

 最近目にした麻雀の放送対局で印象に残るのは土田浩翔さんが放ったひと言だ。7月17日に行われたMトーナメント2026予選3回戦。放送の冒頭で今大会の団体推薦選手が軒並み苦戦しているという話題になると、土田さんは以下の言い回しでその現状を表現した。

 「真っ白組が少ないんでね」

 団体推薦選手のユニフォームが白であることから、彼らを通称「白組」と、これまで多くの人が表現してきた。そうした中で「真っ白組」という言葉を耳にしたのはこの時が初めてだった。

 その言い回しを耳にした瞬間、座布団1枚! と思わず言いたくなった。

 白組(団体推薦選手)の中には元MリーガーやMリーグで解説を務める有名な選手も少なからずいる。同じ白組でも人によって知名度に差がある。「元から有名な人」と「そうでない人」に大きく二分されていた。そうした中で今回勝ち残っていた白組の多くは前者に属する人。すなわち以前から知られている有名な選手がその大半を占めていた。知名度が低い選手たちの活躍は総じていまひとつだった。そんな状況を端的にズバッと言い表したのがまさに上記の台詞になる。

 知名度が高くない団体推薦選手を「真っ白組」と言い換える、このワードセンスが何より洒落ていた。褒めすぎを承知で言えば、麒麟の川島やバカリズムのような“できる芸人”的なエッセンスをそのひと言には感じた。土田さんがいまだに解説者として重宝される理由、人気が高い理由をそのひと言に見た気がする。誰かしら言ってそうで、意外と聞いたことがない秀逸な言い回し。この台詞を耳にしただけでもこちらの心はかなり満たされた。土田さんの印象が急上昇した瞬間だった。

 それはさておき、話を現在開催中のMトーナメント2026に戻せば、今回ファイナルステージ(ベスト16)まで残った白組はこの文章を書いている現時点(7月23日)では計4名。小池諒選手、渡辺史哉選手、近藤誠一選手、菅原千瑛選手。残る予選3回戦(ベスト32)に出場する白組は忍田幸夫選手だけなので、ベスト16まで残った白組のうち「真っ白組」と呼べる選手は、最高位戦の小池選手と連盟の史哉選手の2人、ということになる。

 過去のMトーナメントを見ればわかるように、白組(団体推薦選手)の中には、来る新シーズンにMリーグデビューする選手がこれまでは少なくとも何人かはいた。推薦選手は基本的には何かタイトルを獲得していたり、あるいはそれに準ずる実績を誰しもが少なからず持っている。言ってみれば“実力者”だ。ところが、そんな各団体が推薦した実力者たちの中から、先のドラフトでは誰一人として指名を受けることができなかった。

 尻無濱航(KADOKAWAサクラナイツ)、朝倉康心(U-NEXTパイレーツ)、佐野ひなこ(セガサミーフェニックス)。先のドラフトで指名を受けた3人中、実力で選ばれたと言えるのはこの度5シーズンぶりにMリーグ復帰となる朝倉選手くらいだ。「真っ白組」の経験が一度もない尻無濱選手は少なくともそうとは言えない。佐野選手に至ってはその概念からも大きく外れた選手、となる。

 さらに加えて言うと、渋川難波選手が突如サクラナイツを契約解除にならなけば、尻無濱選手は本来ならここで選ばれることがなかった選手である。例の一件がなければ、先のドラフトにおける指名枠は僅か2人のみだった。そのうちの1人が復帰となる元Mリーガーの朝倉選手であることを踏まえると、順当に新人として新たにMリーグデビューできたと言えるのは、実質佐野選手ただ1人。思わずそう言いたくなる。

 「実質」と言いたくなる理由は、繰り返すがサクラナイツの指名が突発的だったこと。加えて、指名を受けた尻無濱選手がチームにあまり“長居できそうな選手”に見えないことだ。彼のサクラナイツ内での立ち位置は決して高そうには見えない。現状は岡田紗佳選手や堀慎吾選手の方がその優先順位は依然高い。残るライバル候補は阿久津翔太選手になるが、阿久津選手の方が尻無濱選手より実績的には上で、そして若い。この度急遽入団が決まった尻無濱選手が、現チームメートたちの評価を上回るのは正直難しそうに見えるのだ。

 その一方、フェニックスに加わった佐野選手の立ち位置はどうだろうか。

 ひとつハッキリしているのは、彼女はチームが好成績を求めて指名した選手では全くないということだ。最大の目的は「人気面と収益面」を上げること。そのために、元雀王の浅井堂岐選手をあえて外してまで加えた選手、である。そうした経緯を踏まえると、佐野選手のチーム内ポジションは少なくとも低くは見えない。少々結果が出なくても、そう簡単にお払い箱になりそうな感じはしないのだ。

 佐野選手が切られにくい選手に見えるのは、彼女と同じ“タレントMリーガー”の先駆者たちが、いまなお強い存在感を発揮していることにある。

 俳優の萩原聖人選手、モデルの岡田紗佳選手、そして元乃木坂46の中田花奈選手。いずれも共通して言えるのが、Mリーガーになって以降も芸能人としての活躍がそれなりに際立っていること。それゆえに、彼らの契約が切られそうなムードを現状はほぼ感じられない。

 選手の入れ替えを迫られた昨年のBEAST Xでさえ、個人成績が最もよくなかった中田選手をその「発信力」を理由にチームに残している。彼女のタレントとしての価値は、BEASTにとってはおそらく相当に高かったのだろう。想像するに、チーム雷電(萩原選手)やサクラナイツ(岡田選手)もその手の“恩恵”をここまで少なからず受けているように見える。

 タレントMリーガーたちのなかから、いまのところ“脱落者”は現れていない。そしてしつこいようだが、その気配は今のところない。

 4人目の芸能人、佐野選手ははたしてどうなるか。フェニックスがこれまで選手の入れ替えがとりわけ多いチームだけに、彼女の扱い方は気になる。

 岡田選手、中田選手と、今回加わった佐野選手は、奇しくも全員同じ1994年生まれ。学年では岡田選手が1つ上だが、いずれにせよこの3人は同じ女性タレントで、なおかつ同年代のライバルとして括ることができる。このうち最初にMリーグから去ることになるのは誰か。そして、最も長くMリーグに居続けられるのははたして誰になるか。数年後を早送りして見たい気がする。

 次回へ続く。

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noriaki0357 ありがとうございます