WKW 4K祭り第2日目 ブエノスアイレス/Happy Together
これよこれ、私が観たくてたまらなかったやつ。
レスリー・チャンとトニー・レオンのゲイカップルが織りなす人間模様。観る予定の今日はずっと、"Happy Together"がエンドレスで脳内再生されておりました。
ではまた、とりとめもなく感想を綴っておきます。
色彩…美?
前回観た「天使の涙」と比べると、冒頭はモノクロだったりして、ポップでキュートなカラフルさとはちょっと異なる印象。白黒でも十分綺麗な映像なんだけども。
でもレスリー・チャンが放つ「やり直そう」という一言で鮮やかにカラーへ切り替わる。電気のスイッチ入れたみたいに。とは言え解像度が上がりはせずにどこかざらざらしていて粗く、登場人物たちのやるせなさが伝わってくるような。
個人的には冒頭、イグアスの滝にやられました。カエターノ・ヴェローゾの歌う「ククルクク・パロマ」と共に、ゆっくりゆっくり滝の上を旋回しながら上ってゆくカメラ。なんだか滝が、己の意思をもっているかのように思えてならなかった。ゴゴゴゴ…という唸りというか地響きというか、を映画館の素晴らしいサウンドシステムで聞けたのもよかった。
劇中音楽ーアルゼンチンタンゴ
もう、痺れる。アルゼンチンタンゴ。
何故にこうも、心かき乱される。日本からするとちょうど地球の裏側で生まれた音楽なのに。
これも個人的な話で恐縮だが、ヨーヨー・マ「リベルタンゴ」が流行った時期にそのまま、アストル・ピアソラにハマった勢ってのもあるかも知れない苦笑
それももう、20年前か…(゚д゚)
それではここからは、主演された御三方にフォーカスしていきたいと思います。(*´ω`)
レスリー・チャン

から借用
いやーとにかく美しかった。特に横顔とか斜めのアングルとか。
人間の顔が真正面から捉えられることは、ウォン・カーウァイ作品では滅多にないけど、それが奏功していたと思う。この人の顔を真正面ドアップで写したのを見ても、イマイチそそられないんで。
また、がっつり男の顔立ちだし、男の体型だし(しかも贅肉ついてなくて腹も出てなくて)、にもかかわらず男にも女にも見える瞬間があった。かまってほしくてトニー・レオンにじゃれつくところとかもう可愛くってキュンキュンしちゃったよ。
やっぱこの人は只者ではない。性別飛び越えた中性に違いない。
その後彼が歩んだ人生を知っているだけに、惜しい人を失くしました感は否めない。合掌。
トニー・レオン

から借用
この人にハマったが故に、本作を観たいと切望しておったのだよ。ようやく会えました。
がしかし、この作品の”ファイ”としてはどうだろう。
割といつも伏し目がち(でも睫毛の長さに圧倒された)。
レスリー・チャンが大怪我をして頼って来たときの、甲斐甲斐しさ…からだを拭ってあげたり料理つくったり(うちが食べたいわ!)。
腐れ縁の彼を留めておきたいばっかりに、パスポートを隠してしまうとか。
そのくせ、ブエノスアイレスから香港に帰るまでの旅費をきっちり貯め、その途中で出会った台湾出身のチャン・チェンにすっかり心を許して恋をする。
この作品の割と早い段階で、レスリー・チャンとからむトニー・レオンの図は、なかなか尊いものではあったかな…
チャン・チェン
「レッドクリフ」の孫権としてしか認識してなかった御方だけども、

より借用
出演されておるのです。

より借用
目よりも耳の方がよい、という作中の彼、最近聴覚優位ではないのかと思う自分にとっては刺さるものがあった。
例えば彼が初登場するシーン、ブエノスアイレスでの中華料理屋厨房にて。
包丁がトントン食材を切る音。
調理中のジュワッと中華鍋を振る音。
その間隙を縫うような人の声。
…の隙間に、レスリー・チャンと電話するトニー・レオンの声。
そこには、アルゼンチンタンゴなんかの音楽は1ミリも存在せずただその場に存在する音があるのみ。
今日も今日とて髪を切りに行っていて、美容師さんの持つハサミの流麗な音を耳にしていたものでとりわけ。
しゃきん!だったり、しゅぴん!だったり、
それらが一瞬にして舞い戻った。
憧れの「ブエノスアイレス/”Happy Together”」について感想をお送りしました。観客おいてけぼり(?)、伏線回収とは無縁(?)のウォン・カーウァイ作品、2作連続で観てみて、その余白が最大の魅力では?とも思う。観る者に想像の余地を残してくれていることが。
海外旅行も随分と解禁されて来ている昨今ではあるので、できる限り早く、ブエノスアイレスはもちろんのこと香港や台湾へ行きたい気持ちが募る。
