寝袋で眠る人は、完全にセレブです。
新しいテントが来たら、家の中でテントを張り、キャンプ気分で寝袋で寝ようと思って寝袋を出してスタンバイしていたのだが、肝心のテントを返品することにして行き場をなくした寝袋が切なそうにしていたため、仕方ないのでベッドの上で寝袋で寝てやることにした。

ベッドの上の羽毛布団をどけて寝袋を広げる。
ベッドの上で寝そべる寝袋氏が変な感じである。
今からあなたに抱かれます。覚悟して臨む。
ベッドの上に置かれたせいもあり、こんな細いところにわざわざ体を閉じ込めなくてもいいような気がしてきたが、まあいいやと思い、コクーンのシルクのシーツを中に重ねてインドのカタカリ柄のアイマスクで寝ることにした。
寝室の気温は13℃くらい。
前回のソロキャンプの夜くらいの気温だが、なぜか家の中というだけであの夜よりもだいぶ暖かい気がする。
これってもしかして半袖でいけるのでは?と思ったが、まだ衣替えをしていなかったため半袖Tシャツを見つけられず、ロンTとペラペラの部屋着パンツで挑むことにした。
薄着で寝袋に入るのはとても変な感じがしたが、入ってみるとびっくり。
非常に心地良いのである。
コクーンのシルクのトラベルシーツが肌に優しいということもあると思われるが、それでも何だかとっても気持ち良い寝袋。
スペインを歩いて旅していた時、カミーノの宿アルベルゲでは、私が寒くてダウンジャケットを着て寝ているのに、割と半袖Tシャツとトランクスとかショートパンツで寝袋に入って眠る欧米人が多く、お前ら風邪ひくぞと思いつつ、皮膚のポテンシャルが違うのだろうと敗北感を感じていた。
そして実は薄着の寝袋に憧れていたので、風邪をひかないか不安を感じながらも、家の中で安心して試せる絶好のチャンスだったので、時を経て薄着で寝袋に挑戦できる喜びもある。
ドキドキしながらベッドの上で寝袋に抱かれてみた。
ああ、せめてロンTはヒートテックを着るべきだったのではないかと少し後悔していたが、寝袋のファスナーをきっちり閉めてしまったからもう朝まで出ないぞという覚悟だ。
このままいく。トイレだって済ませているのだから起きるまではここから出ないと決心している。(手の届く範囲に電気毛布のスイッチはある)
さあ眠るのだ、と思ったら驚くべきことに体がポカポカしてきたのである。
おおおー!
こ、これがダウンの寝袋の効果なのか。
めっちゃあったかいのである。
噂には聞いたことがある、厚着しまくって寝るより薄着で寝袋に入った方が自分の体温で温まるという現象はこのことだろうか。
私は知らなかった。
いつも寒いキャンプの夜に、モンベルのジオラインEXPにペタペタとカイロを貼って、長袖とユニクロのダウンジャケットとダウンパンツを着込んで湯たんぽをして寝ている。
全身着込みすぎてもこもこで、体の一部分がやけに熱いが顔面はキンキンに冷えるような夜にしか、最近は寝袋を使っていなかったから、こんなにも私のこの寝袋が快適なものであると知らなかったのだった。
モンベルのダウンハガー#3の凄さを思い知った。
これまでの寝袋はというと、フジロックでの、いつも暴風雨による雨漏りでちょっと濡れている化繊の寝袋だったり、3℃の凍える夜だったりに使っていたりしていたが、雨の降らない二桁台の気温の夜は、薄着でダウンハガー#3に包まれれば羽毛布団よりも快適であるということを知り、感動の波が温かさとともに押し寄せている。
ダウンハガー800の#3の快適温度は4℃だったが、3℃の夜は寒くて死にかけたから、13℃の昨夜がちょうどだと思う。あの表示はやはり+10℃くらい足した方が良さそうである。メーカーの数字は信じてはいけない。これだけはこれからも注意したい。

キャンプのいつもの夜と違い、家の中の夜は、顔面にベタベタに保湿クリームを塗っていたのでダウンハガーを汚してしまう気がして落ち着かなくなり、無理やり枕を寝袋の中に入れて一安心。
そのまま安らかに気絶した。
9時間後に目が覚めたのだが、無茶苦茶に熟睡できた自分に驚く。
寝相が悪いから窮屈かと思いきや、モンベルの天才的なストレッチ機能に助けられ、快適さはこの上なかった。
私と同衾した人のみが知る、夜中に現れる私の中に住む妖怪「かかと落とし」(片足を上げてかかとを布団に叩きつける技)も寝袋で眠れば、きっと封印できる。両足でかかと落としはできないからだ。そんなことができるボディーなら寝るだけで腹筋が割れてしまう。それもアリだが、できないなりに、これで寝ながら足を痛めなくて済む。
まだ今の時期も、毛布上下と羽毛布団と電気毛布を敷いてタイマーをし、冬のパジャマ重ね着で寝ている超絶寒がりな私(大阪在住)なのだが、こんなに薄着で電気毛布無しで眠れるなんて。
寝起きすぐでも、万年肩こりも治っていそうな勢いで体が軽い。
インターホンが鳴って目が覚めたのだが、すぐに起き上がって玄関まで行けず、ファスナーを下ろして寝袋から這い出るのに時間がかかって足がつりそうになったが、障害物競走に強くなりそうだし、瞬発力が養われていいと思う。
大の字になって眠れないのが唯一の欠点ではあるが、寝袋に入る前に大の字になってから入れば即寝なので問題ない気がする。寝袋で寝るのはいいことしかない。
時々、「家でも寝袋で寝ています」と言う人の声を聞くが、どうして窮屈でそんな貧乏くさいことをしているのだろうと不思議だった。
なんで布団で寝ないの?アホちゃうとすら思っていた。
もしかしたら見下していたかも知れない。
しかし、これはアリだな、とニヤリと笑っている私がいた。もうしばらく続けてみようと思う。
今考えると、そもそもモンベルのダウンハガー#3は、3万円以上もしたのだから、どう考えたって超高級布団である。
全然貧乏くさくなかったのだ。
セレブだよ寝袋で寝るなんて。
考えを改めたので、全世界の寝袋日常愛用者に謝罪したい。
昨今の炎上案件の直後の謝罪とは違う、真の謝罪である。報道ステーションも見習ってほしい。
何も知らずに貧乏くさいと決めつけて大変申し訳ありませんでした。貧乏どころか寝袋は超高級品であり、寝袋で眠るのはセレブの仕業であります。
こんな快適だったとは知らず…謝っても謝りきれないです。これからの私を見てください。
そんなわけで、もうしばらく寝袋生活を続ける予定。
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