もうすぐお茶会
昨年の秋にお茶会に誘われた
お社さんが釜を掛けられる「不審庵茶会」という由緒あるお茶会だった
「かなさん、むつ子さんと一緒に行かない?チケットが有るから」と軽く誘われた
「えっ、それってあの、あの美術倶楽部でのお茶会ですよね…お師匠さんにはまだ早いと言われてまして」
「それじゃあ、お師匠さんにも聞いてみるわね」
お師匠さんは表千家のお家元と同じ組になるという
流石に私とむっちゃんはそんな畏れ多い組には入れられない
当たり前だ、こんなひよっ子がそんなところへは行けるわけはない
「弟子二人は今回は見送ります」とお師匠さんも答えたと聞かされる
私は胸を撫で下ろした
たとえ二人で違う組に入れられたとしても不安である
今年に入ってからお師匠さんちの初釜とお社さんの初釜があったり、月に一度は御先祖供養のお茶をいただく
小さなお茶会がいっぱいある
その中で再び不審庵茶会がまた美術倶楽部で開かれると聞かされた
今回のお茶会の後はしばらくお社さんの不審庵茶会での釜かけはないらしい
「どうしますか」と聞かれる前に連絡を入れてくれた方からは「師匠の聞いたら今回は参加させてもいいですと言われました」と言って来られる
今回はどうやら不肖の秘密兵器二人はお師匠さんと同じ組に入れられるらしい
社中の姉弟子さんとマチコ先生も一緒である
かなり先のことだと思っていたがもう明後日に迫っている
今日もまたお稽古のお休みの日に秘密兵器は特別レッスン
むっちゃんは今日は篠笛のお稽古で
「かなちゃん一人でお稽古をしてあげて」とお師匠さんにお願いしてくれたと聞かされる
こうしてみんなから愛される私は幸せ者だ
お稽古のおやすみの日の誰もいないお稽古場はゆっくりと時が流れている
私にとってこの時間はたまらなく好きである
「今日は久しぶりに盆略点前をしましょう」と…お師匠さんから提案され、「うわっあ〜もうすっかり忘れてました」と私の心はザワザワする
何故だかお稽古に行く前にお稽古本をパラパラめくり、盆略点前のページを見つめていた
あっちゃぁぁ〜もっとしっかり見ておくべきだった、後悔前に立たずじゃないか
仕方がないと腹を括る
私はお茶を習ってから腹を括ることが多くなる
またお客さんの割り稽古も付けてもらうもまだまだ、まだまだうる覚え…
赤ちゃんからは卒業出来たものの、よちよち歩きの子供である
一人前のなるのには時間がかかることは自分でも分かっている
そしてまた時間を延長してもらい、お点前を二回する
お師匠さんからの特別レッスンで、「いつか茶名を取りましょう」と言われて、こっちの方が驚いた
茶名なんて…
むっちゃんは欲しいと言っていたが
せっかちな私にはとんでもない
そのようなものをいただくとなるとあと何年生きなきゃいけないのか…
私はあまり前を考えない
もうおばあちゃんだけど、もっともっと、もっともっと本当のおばあさんになってしまうじゃないか
そこまでは生きたくないな
これも仕方のないことなのか
お師匠さんも私もおばあさん
二人で顔を見合わせて
二十年後を想像すると笑っていた
とりあえず明後日のお茶会を乗り切ることが私の使命
お茶会に持って行くバックは母の形見にしよう
心臓はバクバクするけど仕方がない
なるようになるさとまた腹を括る
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