見出し画像

お盆なので「墓参り」の特許を調べてみた

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 平成23年より桑名市で特許事務所を開業しております。
 特許・意匠・商標の出願をお考えなら坂岡特許事務所にお任せ下さい!
 
 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「お盆なので「墓参り」の特許を調べてみた」をお伝えします。

 お盆ですね。
 お盆には、実家に帰省したり、お墓参りをしたりする人も多いのではないでしょうか。
 
 ちなみに、私は仕事が忙しく、今年は正月もGWもお盆もありません。。。
 ありがたいことですね。
 
 さて、私も特許の仕事をしているため、身の回りにある物を見ると、
 「これにも特許があるのかな?」
 と考えてしまいます。
 
 そこで今回は、お盆にちなんで「お墓参り」に関する特許を調べてみました。
 調べてみると、単に墓石の形を工夫したものだけではありません。
 
 故人の写真を表示したり、遠方から墓参りを依頼したり、さらには生成AIを使って故人と対話したりと、時代とともに墓参りもずいぶんハイテクになっていました。 

1.映像が映る墓石


 最初に紹介するのは、特許第3082128号「映像表示墓石および映像表示墓石を使用した納骨管理装置」¹です。
 この特許は平成6年に出願されたものでして、納骨堂などの屋内での運用を見込んでいます。
 
 まだインターネットが一般家庭に普及する前の時代ですね。
 発明の名称のとおり、墓石に映像を表示するというものです。
 
 墓石4となる箱体の内部に映像表示機器8とプログラムソース再生機器9を設け、前面の窓から映像を見ることができるようになっています。
【図2】

 さらに面白いのが、この発明は単に「テレビの付いた墓石」というだけではありません。
 
 多数の遺骨などをラックに収納しておき、コンピュータからの指令によって必要なものを取り出し、墓石の近くまで移動させる納骨管理装置まで考えられています。
 
 発明の詳細な説明には、従来の納骨方式について、
 「建物内での自分に割り当てられた場所でお参りすることとなって風情がない」
 という趣旨の記載があります。
 
 そこで、屋内でありながら、より「墓参りらしい墓参り」ができるようにしようと考えたようです。
 ですので、部屋の壁に景色を投影できるようにもなっています。
【図6】

 平成6年の段階で、既にここまで考えられていたのですね。 

2.故人の写真を墓石に表示する


 次は、特許第4395838号「墓石用写真表示装置」²です。
 こちらは、墓石の近くに故人などの写真を表示するための発明です。
 
 「それなら墓石に写真を付ければよいだけでは?」と思われるかもしれません。
 
 ところが、そこに発明者ならではの着眼点があります。
 従来技術では写真が常時外部から見えるため、遺族からすると故人が不特定多数の人にさらされているように感じる。
 
 一方、第三者からすると、
「見知らぬ死者に囲まれているかのように思われ、落ち着いて墓参りができない」
 という問題があるとされています。
 
なるほど。言われてみれば確かにそうかもしれません。
 
 そこで、この発明では写真を収容する部分に着脱可能な蓋60を設けています。
 墓参りをするときには故人の写真を見ることができ、普段は見えないようにするわけです。
【図7】

【図4】

【図5】

 単に「写真を墓石に付ける」という発想ではなく、墓参りをする人の気持ちまで考えて発明されているところが興味深いですね。 

3.自分で行けなければ、墓参りを代行してもらう


 今度は墓石そのものから少し離れます。
 特許第4054501号「墓参り代行サービスシステム」³です。
 
 この特許は平成11年に出願されています。
 遠方などの理由で自分では墓参りに行けない人に代わって、清掃、焼香、献花などを行うサービスです。
【図1】

 もっとも、単に誰かに墓参りをお願いするだけなら、昔からありそうです。
 この発明では、墓参りを実際に行った様子をデジタルカメラなどで撮影し、その画像を電子メールで依頼者に送ります。
 
 さらに、教典をデータベース化して依頼者に適したものを検索したり、住職の講話を音声やテキストで送ったりする構成まで含まれています。
 
 今ならスマートフォンで写真や動画を送ることなど当たり前ですが、この出願は平成11年です。
 
 時代を考えるとなかなか先進的です。
 お墓から遠く離れて暮らす人が増えれば、「お墓まで行かなければ墓参りができない」という問題が生じます。
 そこで、インターネットを使ってその距離を縮めようとしたわけですね。
 
 もう1つ、この発明の説明をしておきます。
 これ、いわゆるビジネスモデル特許ですね。
 ビジネスの仕組みそのものは、原則として特許の対象にはなりません。
 
 しかし、その仕組みをコンピュータなどのハードウェア資源を用いて具体的に実現することで、特許法上の「発明」として認められる場合があります。
 この発明でも、インターネット、コンピュータ、データベースなどを利用して墓参り代行サービスを実現しています。 

4.そして令和になると、故人と会話する?


 さて、ここから一気に令和8年に飛びます。
 今回調べた中で、私が最も驚いたのが、特開2026-044796「システム」⁴です。
 
 出願人はソフトバンクグループ株式会社で、令和8年3月12日に公開されたばかりの出願です。
 
 この発明の課題には、
 「先祖のお墓参りの際に先祖との対話を実現し、先祖を敬う心を育てる」
 とあります。
 
 では、どうやって先祖と対話するのでしょうか。
 
 請求項1を見ると、
 スマートフォンのカメラでお墓を見る
 ↓
 2次元コードを表示する
 ↓
 2次元コードを読み取る
 ↓
 お墓に眠る人の顔を表示する
 ↓
 その顔に話しかける
 ↓
 生成AIが返事を生成する
 
 という構成になっています。
 とうとう生成AIがお墓参りにも登場しました。
 
 しかも、単に故人らしい返事を生成するだけではありません。
 
 例えば請求項8では、ユーザの感情を推定し、その感情に基づいて表示する故人の顔の表情を設定することまで記載されています。
【図1】

 平成の発明では、墓石に故人の「映像」や「写真」を表示していました。
 それが令和になると、表示された故人にこちらから話しかけ、故人が生成AIによって返事をするところまで来たわけです。
 
 技術の進歩には驚かされます。 

5.お墓参りはこれからどうなる?


 今回紹介した特許を年代順に見てみると、なかなか興味深いものがあります。
 
 平成6年には、墓石に映像を表示する発明。
 その後、墓石に故人の写真を表示する発明。
 さらに、インターネットを使った墓参り代行サービス。
 そして令和8年には、生成AIを使って故人と対話する発明まで登場しました。
 
 もっとも、技術がどれだけ進歩しても、お墓参りの本来の目的まで変わるわけではないと思います。
 
 実際、最新の特開2026-044796でも、発明の目的は単に面白いAIサービスを提供することではなく、
 「先祖を敬う心を育てる」
 とされています。
 
 何百年も続いてきた先祖供養という習慣と、生成AIという最新技術。
 一見すると正反対のような二つが、一つの特許出願の中で組み合わされているのが面白いところです。
 
 さて、何十年か先のお盆には、私たちはどのようなお墓参りをしているのでしょうか。
 この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
 
引用
¹徳橋 秀隆,映像表示墓石および映像表示墓石を使用した納骨管理装置,特許第3082128号.
²港 敏明,墓石用写真表示装置,特許第4395838号.
³鷹觜 信明,墓参り代行サービスシステム,特許第4054501号.
⁴ソフトバンクグループ株式会社,システム,特開2026-44796.
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
 
【特許・意匠・商標の出願をお考えの中小企業様へ】
坂岡特許事務所では、製造業の特許や、店舗の商標登録などに関するご相談を対面・オンラインで承っております。
「noteを読んだ」とお伝えいただければスムーズです。
 
▼公式ホームページはこちら https://www.sakaoka.jp/
▼お問い合わせ・無料相談予約 https://www.sakaoka.jp/contact
(弊所へご依頼予定の出願に関する初回相談は無料です)
※noteやSNSへのコメントは、原則として返信できかねます。ご了承ください。