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特許出願中は立派な武器!出願中でも参入障壁になる

【稼ぐ経営者のための知的財産情報】
 平成23年より桑名市で特許事務所を開業しております。
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 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「特許出願中は立派な武器!出願中でも参入障壁になる」をお伝えします。 

1.差別化は生き残るためには必要


 高度成長時代ならいざ知らず、我が国で事業をしようとすると、どうしても「差別化」が必要になってきます。
 勿論、多くの事業者は差別化を考えていらっしゃると思います。
 
 ところが、せっかく差別化をしても、多くの方が悩むのが「真似されたらどうしよう」という問題です。
 せっかく時間とお金をかけて開発等しても、すぐに模倣品や類似サービスが現れたら苦労が報われません。
 
 例えば、新しいサービスの仕組みを考えたとします。
 最初は注目を集めても、競合が同じようなことを始めれば価格競争になります。
 すると、最初にアイデアを考えた人の利益はどんどん小さくなってしまいます。
 
 だからこそ、「真似されにくい仕組み」を作ることが重要です。 

2.特許出願中の地位を利用する


 そこで有効なのが特許出願です。
 一般には特許というと、登録されて初めて意味があると思われがちです。
 
 しかし、実際には出願した段階から一定の効果があります。
 特許は出願から査定まで、早く進めれば数ヶ月で到達可能です。
 
 一方、引っ張れば出願から査定まで4~5年間持たせることが可能です。
 つまり、4~5年程度、「特許出願中」という地位を維持できるのです。
 

3.特許出願中の効果


 では、なぜ「特許出願中」が良いのでしょうか。
 それは、どうしようもない出願は別として、殆どの出願は将来特許になる可能性があるからです。
 
 これ、出願人以外の者からすると、うかつに模倣することができなくなります。
 もし模倣して、仮に事業が軌道に乗った後で特許権が成立すると、事業計画そのものを見直さなければならなくなるからです。
 
 ですので、特許調査をするようなきちんとした企業ほど、他人の特許出願を見つけると慎重になります。
 
 つまり、上手く行けばの話ですが、仮に拒絶査定になっても「特許出願中」だけで4~5年間他人をけん制して、先行者利益を得ることも可能なのです。 

4.いきなり!ステーキの事例


 他人をけん制できたといわれる有名な例として、「いきなり!ステーキ」があります。
 
 ペッパーフードサービスは、平成26年6月4日に「ステーキの提供方法」に関する特許出願を行いました(特開2015-228949¹)。
 
 その内容は、
 ・お客様を立食形式のテーブルに案内するステップ
 ・お客様からステーキの量を伺うステップ
 ・伺ったステーキの量を肉のブロックからカットするステップ
 ・カットした肉を焼くステップ
 ・焼いた肉をお客様のテーブルまで運ぶステップ
 を含む広い範囲をカバーするものでした。

【図2】

 その後、この出願は多少の構成を付加して特許登録されています。

 なお、特許は基本的に請求項1の内容全てを実施すると侵害となります。
 記載されていることのうち1つでも外せば権利を回避できます。
 つまり、請求項1に記載されている構成が少ないほど権利範囲が広くなるのです。
 
 ということは、このペッパーフードの出願は、出願時はかなり権利範囲が広く、特許査定時でもわりと権利範囲が広い権利だったのです。
 
 ここからは推測も混ざりますが、この広い権利によって、同業他社は同様のサービスの提供に踏み切れなかった可能性があります。 

5.いきなり!ステーキのその後


 実は、いきなり!ステーキの特許は、第三者から異議申し立てが行われています。
 異議申し立てとは、この特許は特許要件を満たしておらず、特許にするべきではなかったと申立てる制度です。
 
 これによって、平成30年12月14日確定(発行平成31年3月29日)の異議2016−701090によれば、上記特許の権利範囲がかなり狭くなりました。
 つまり、競合他社の権利回避が容易になったのです。
 
 実際、競合が本格化的に増え始めた頃と異議申し立ての時期とが似ています。
 これらのことから、ペッパーフードの特許出願は、最終的にはその効果は薄れたが、出願後数年は競合他社の参入障壁になっていたと思われます。 

6.まとめ


 特許というと、「登録されてから初めて意味がある」と思われがちです。
 しかし実際には、出願時から競合への牽制という効果が期待できます。
 
 特に新しい市場を開拓する場合、最初の数年間の先行者利益は非常に大きな意味を持ちます。
 勿論、特許出願をしただけで競合を完全に排除できる訳ではありません。
 
 それでも、まともな企業ほど他人の特許出願を意識して行動します。
 「出願中の地位も活用する」という発想も大切ではないでしょうか。
 特許は権利取得のためだけではなく、先行者利益を守るための経営ツールでもあるのです(過大な期待は禁物ですが)。
 
 この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
 
引用
¹株式会社ペッパーフードサービス,ステーキの提供方法及び可動式パーティション,特開2015-228949.
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
 
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