「うちは昔から使っていて有名だから」は危険?商標登録の大切さ
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弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
今回は、「『うちは昔から使っていて有名だから』は危険?商標登録の大切さ」をお伝えします。

1.「ぽんちゃん」とは
「ぽんちゃん」とは、群馬県館林市が2010年頃から観光マスコットキャラクターとして使用してきた名称です。
市のホームページやイベント、パンフレット、SNSなどで長年活躍し、市民には親しまれていたキャラクターです。
ところが、その後、「ぽんちゃん」という文字について個人から商標登録出願がされました。検索結果を見ると、「ぽんちゃん」は複数区分で出願・登録されています。
2.「昔から使っていた」のに安心できない理由
ここで経緯を申しますと、最初に個人(E氏)が「ぽんちゃん」について商標登録出願をしたのは、2021年8月でした。
すでに、館林市観光協会が使用を始めてから10年以上経っていますね。
この出願の審査において、特許庁審査官は、館林市観光協会の「ぽんちゃん」を理由に拒絶査定としました。
しかし、E氏が拒絶査定不服審判を請求して、そこで登録になってしまいました。
3.一度、登録が認められると
この最初の出願が登録になったことが、E氏にとって追い風、館林市観光協会によって逆風になったと思います。
というのも、その後のE氏の出願も続けて登録されることになったからです。
中には、拒絶査定→拒絶査定不服審判で拒絶→知財高裁で登録という事例もありました。
個別の事情は判断されるにしても、過去に争点となったことについては、同様の結果が出ることが多いと思われます。
4.館林市観光協会の反応は
館林市側は、知財高裁の件だけではなく、他の登録例や出願についても、特許庁に異議申立等をして、E氏の登録を取消したり、出願自体を拒絶に導こうとしました。
しかし、上記の知財高裁では、
「館林市内ではよく知られているとしても、相応の範囲で広く認識されているとはいえない」
として、E氏の出願は登録されるべきと判断しました。
5.商標を守るには
つまり、館林市観光協会のようにかなりの周知度があったとしても、長年使っているだけでは、自動的に法律で守られるわけではないということです。
商標は原則として「先に出願した人」が勝ちとなる先願主義です。
昔から使っていた、地元では有名だった、愛着があるという事情だけでは足りず、
「誰が先に商標登録出願したか」が非常に重要になります。
もちろん、今回の事件のように様々な法的論点がありますが、「昔から使っているから安心」という考えは危険です。
6.御社の場合は?
この問題は自治体だけの話ではありません。
・会社名
・商品名
・サービス名
・キャラクター名
これらを長年使っていても、商標登録をしていなければ、後からトラブルになる可能性があります。
特に最近は、SNSやインターネットで一気に知名度が上がることも多く、「そのうち登録しよう」と思っている間に先に出願されてしまうケースもあります。
7.「まだ大丈夫」が一番危ない
商標登録は、トラブルが起きてからでは遅い場合があります。
「まだ事業を始めたばかりだから」
「まだ売れていないから」
という時期こそ、実は商標登録を検討するタイミングです。
館林市の「ぽんちゃん」の事例は、「長年使っている」ことと、「商標権を持っている」ことは全く別の話であることを改めて教えてくれます。
会社名や商品名、サービス名を長く育てていく予定であれば、早めの商標登録をおすすめします。
この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
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