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梅雨時に便利な車の傘入れ その2 車のドア周辺に収納する特許

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 弁理士の坂岡範穗(さかおかのりお)です。
 今回は、「梅雨時に便利な車の傘入れ その2 車のドア周辺に収納する特許」をお伝えします。 


1.車のドア周辺スペースの活用


 先週は、梅雨時に便利な車の傘入れとして、グローブボックス横などに収納する技術をご紹介しました。
 
 実は、傘収納の特許はそれだけではありません。
 
 特許文献を調べてみると、昭和50年代から「ドア」や「ドア周辺」を利用した傘収納が数多く提案されています。運転席から手が届きやすく、乗り降りの際にも扱いやすい場所だけに、技術者たちも様々な工夫を凝らしてきたようです。
 
 そこで今回は、前回の続編として、車のドアまたはドア周辺に収納する傘入れの特許を調べてみました。
 実際に調べてみると、単純な傘掛けから始まり、ドア内部で乾燥させるものや、折りたたみ式のものまで見つかりました。 

2.特許分類


 特許分類は先週と同じです。
 
【A47G 25/12 L】
A 生活必需品
A47 家具;家庭用品または家庭用設備;コーヒーひき;香辛料ひき;真空掃除機一般
A47G 家庭用具または食卓用具
A47G 25/00 衣服と関連して用いられる家庭用具;衣服,帽子または傘のホルダー
A47G 25/12 ・ステッキまたは傘用スタンドまたはホルダー
A47G 25/12 J 傘の保持具
A47G 25/12 L ・車内用のもの
 
 太字で表わした特許分類で検索したところ、571件の文献がヒットしました。
 抽出した文献を以下に説明します。 

3.昭和52年 ドアに傘を引っ掛ける


 最初にご紹介するのは、実公昭52-32022号「自動車ドアー用傘受具」です。
 
 この考案では、ドア内面に細長い傘受けを設け、その中に傘を差し込んで保持します。構造は非常にシンプルですが、濡れた傘を床に置かず、運転席から手の届く位置に収納できるという利点があります。

 現在のドアポケットのような収納スペースが十分発達していなかった時代に、「ドアを傘置き場として利用する」という発想を形にした点が興味深いところです。 

4.昭和56年 ドア内部を利用して乾燥まで考える


 次に登場するのが、実公昭56-33789号「自動車における雨傘の収納装置」です。
 
 この考案では、ドア下部の内部空間そのものを傘収納スペースとして利用しています。

 さらに注目したいのは、通風ダクトや排水穴を設け、ヒーターの暖気を利用して傘を乾燥させる点です。濡れた傘を収納するだけでなく、乾燥まで考慮しているのです。
 
 ここまで本格的な傘収納は珍しく、技術者の意気込みが感じられます。 

5.昭和57年 ロッカーパネル内部へ収納


 続いて、実公昭57-46197号「自動車用傘入れ」です。
 
 この考案では、ドアの下側にあるロッカーパネルの断面空間を利用して傘を収納します。
 
 収納容器を車体内部に組み込むことで車内スペースを犠牲にせず、さらに排水パイプを設けて傘から落ちた水を車外へ排出する構造となっています。

 車内の居住空間を確保しながら収納機能を追加するという、自動車メーカーらしい発想といえるでしょう。 

6.昭和60年 着脱式ケースになる


 実公昭60-41178号「自動車用傘格納器」では、傘収納はさらに実用品らしく進化します。
 
 この考案では、ドア内面に取り付けたケースに傘を収納します。ケースは傾動可能であり、収納や取り出しがしやすい角度に調整できます。
 
 また、水受けも備えられており、傘から落ちた雨水による車内の汚れを防ぐ工夫もされています。

 単に収納できるだけでなく、実際の使い勝手まで考慮され始めたことが分かります。 

7.昭和61年 使わないときは折りたたむ


 最後にご紹介するのが、実公昭61-34173号「自動車用傘入れ」です。
 
 この考案では、ドア内面に取り付けられた収納筒が回転可能となっており、使用時には展開し、不使用時にはドア面に沿って折りたたむことができます。
 
 さらに収納筒自体も伸縮可能であり、傘の長さに応じて調整できる構造となっています。

 現在のカー用品にも通じる「使うときだけ展開する」という考え方が、既に昭和61年の段階で考えられていたことに驚かされます。 

8.まとめ


 こうして見てみると、車の傘入れは単なる傘掛けから始まり、
 
・ドアに引っ掛ける
・ドア内部を利用する
・車体内部を利用する
・排水する
・乾燥させる
・折りたたむ
 といった方向へ進化してきたことが分かります。
 
 普段何気なく使っている傘ですが、雨の日に快適に車へ乗り込むために、多くの技術者が長年にわたり工夫を重ねてきました。
 ここでは取り上げておりませんが、ロールスロイスも、ドアに内蔵された傘が備えられていることで有名ですね。
 
 次に雨の日に車へ乗る機会があれば、ドアポケットや車内の収納スペースを見ながら、「こんなところにも特許の歴史があるのか」と思い出していただければ幸いです。
 
 この記事が御社のご発展に寄与することを願っております。
 
引用
¹名古屋インテリア株式会社,自動車ドアー用傘受具,実公昭52-32022号.
²関東自動車工業株式会社,自動車における雨傘の収納装置,実公昭56-33789号.
³関東自動車工業株式会社,自動車用傘入れ,実公昭57-46197号.
⁴高橋 勝美,自動車用傘格納器,実公昭60-41178号.
⁵富士重工業株式会社,自動車用傘入れ,実公昭61-34173号.
 
坂岡特許事務所 弁理士 坂岡範穗(さかおかのりお)
 
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