耳障害の青年が銀閣寺へ――沈んだ美の破壊衝動 第3回配信 第二章【銀閣寺との邂逅(かいこう)】
「第二章:京都の復興と銀閣寺への就職」
戦争が終わり、京都は観光地として復興(ふっこう)が進んでいた。
叔父から「銀閣寺で寺男(てらおとこ)を募集している」と聞き、耳障害の私でも掃除や雑役なら何とかなるだろうと、初めて京都を訪(おとず)れる。
街には占領軍のジープや土産物屋が並び、華やかな観光ムードが漂うなか、バスを降りて坂道を上がると、そこに地味な楼閣(ろうかく)が佇(たたず)んでいた。
白砂壇(はくさだん)や苔庭(こけにわ)が質素な美を醸(かも)し出し、私の耳障害も気にならぬほど静かでしっとりした空気を感じる。
面談の結果、住み込みの寺男として雑務を任されることになり、私は父の言った“沈んだ美”を確かめるチャンスを得る。
苔庭に竹箒(たけぼうき)を立てるたび、耳障害ゆえに音がやわらかくくぐもり、かえって落ち着くのだった。
続く。
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