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新聞小説の醍醐味にひたった、吉田修一「タイム・アフター・タイム」。その才能に改めて刮目する。

■過去と現在を行き来する恋愛小説

見出し画像は、
2025年の4月1日(火)に始まり、
4月9日(木)に最終回を迎えた
「日本経済新聞」の新聞小説
「タイム・アフター・タイム」(吉田修一著)の
小説部分の切り抜き全362枚だ。

「何度も何度も」という意味のタイトルの通り、
高校の同級生同士の恋愛模様が、
高校時代と40代になった現在を
“何度も何度も”行き来することによって
オッソー(尾崎そう)と久遠くおん愛という男女の
心情が読み手の心のなかで濃度と密度を増す
仕掛けがたまらなかった。

森鴎外や三島由紀夫さえ満足に読んでいない
私の実感なので全くあてにならないが、
過去と現在を行き来する手法を最も高度に
使った小説だったのではなかったか。

そう書いたのは、
時代背景に重きを置かなかった分、
純粋に二人の恋愛に焦点が絞られ、
二人の青春時代と現在の
近づき離れる心情の解像度が、
極めて緻密に深く伝わったからだ。


■新聞小説ならではの縛りの快感

他紙を含め、日本にいま新聞小説 を毎朝
楽しみに読む読者はどれほどいるのだろうか。
電子版でない紙の新聞に限れば、
その数はさらに減るだろう。

「新聞小説ならではの縛り」とは、
いくら先が読みたくても明日の朝を待つしかない
一種の不便さがもたらす特別感だ。
そこは明日以降のあらすじが分かってしまう
朝ドラとは違う。

一方で古新聞として捨ててしまえば
前のページには戻れない
のだが、
今回私は1回目から全て保存したので
たまに振り返って読んだりした。

読売新聞社の「主な連載小説の記録」によれば、
(同社の)新聞小説の期間はまちまちだ。
尾崎紅葉「金色夜叉」など2か月に満たない。
村上 龍「イン ザ・ミソスープ」も半年で終わっている。

宮本 輝「にぎやかな天地」(1年2か月)
沢木耕太郎「声をたずねて、君に」(1年3か月)
川上未映子「黄色い家」(1年3か月)
など1年を超える小説の方がむしろ少なく、
ちょうど1年で終了した本作は、
短くはないのだが、私には短かった。

■上下巻での出版を待つ

渡辺淳「失楽園」や
林真理子「愉楽にて」など、
ずっと日経で新聞小説を読んできたが、
そもそも期間など気にしたことはなかった。

しかし、

「タイム・アフター・タイム」ほど、
終わるのが惜しい小説はなかった。
2年続かないかなと本気で思ったほどだ。

筆者自身が初夏の刊行を告げているが、
私は加筆して上下巻にしてほしい。

なぜなら、

なぜあのときそうしたのか、
あの人はその後どうしたのか、
いまここでなぜ泣いているのか、
など、
行方や理由が分からないエピソードが多いのだ。

映画化もあるはずだが、
恐らく監督を悩ませるのは
ヒロイン・久遠愛役の俳優だろう。

あまたいる美女たちのなかで
私が選ぶとすれば、

いや、   見当たらない。

それほど、まぶし過ぎるほど可愛い女性像を
吉田修一はつくりあげた。
もちろんそれは彼女が恋したオッソーあってのことで、
二人の会話は、
「それ、どこかで聴いていたの?」と
思ってしまうほどリアルを超える
面白さだった。


だから近いうちに別の物語で二人に会わせて、
吉田さん。


ラストは何気ないエピソード。
しかし、最後まで読んだ人にだけ、
こみ上げる感情がある一言があった。


※あらすじが知りたい方は、ネット検索ください。







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