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プロレス&マーケティング第125戦 鉄人ルー・テーズが教える本物のマーケティングとは?

この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:今のプロレス界最大の悲劇は、ルー・テーズがいないことだ。客に媚びないあの静かな佇まいの中に見え隠れするプロレス愛に、学ぶべきなのはプロレス界だけではない。トップ画はhttp://gamera32alone51mov18.blog.fc2.com/blog-entry-626.html

NWAがなぜ今だに世界一の団体なのか

いまのファンはご存じない方も多いでしょうが、昭和のプロレスファンが最も敏感に反応したプロレス用語はNWAでした。

NWA(エヌ・ダブル・エイNational Wrestling Alliance 全米レスリング同盟)とは、1948年に全米の有力プロモーター達が立ち上げたプロレス組織で、NWAが各地のプロモーターを統括する形で、全米に勢力を拡大していきます。

世界王座を創設し、チャンピオンを認定したことがNWAをプロレスの代名詞にしたのですが、その立役者こそ、鉄人・ルー・テーズだったのです。

https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/fight/2017/04/16/___split_12/

1949年に第二代のNWA世界王者になって以来、(後にNWAが38代王者と改称)、ルー・テーズは1960年、70年代のプロレス界を文字通り牽引し、NWAを名実ともにプロレスの世界最高峰に押し上げたのでした。

プロレスは、あまりにも振り幅が大きなスポーツ、いやスポーツではなく、興行としての色が強い娯楽でもあるため、様々な誤解や偏見にさらされてきました。

しかし、そんな中、プロレスが戦後のアメリカで確固たる地位を築いたのは、ひとえにルー・テーズのおかげではなかったでしょうか。

鉄人ルー・テーズこそプロレスの象徴

一言で言えば、ルー・テーズの気品と言うか、品位が、プロレスの地位を押し上げたのです。

派手なショーマンシップはもちろんのこと、異形のもの達による殴り合い、蹴り合い、反則だってお構いなし、時には流血も辞さないあらくれどもが競演するショーのトリを務めるのが、この鉄人でした。

恐ろしい強さを持ちながら、敵地のリングでは現地のヒーロー相手に手加減を忘れず、攻めさせるだけ攻めさせるのが、この男の流儀でした。

フラフラになり、あと一歩で相手の英雄が勝てる場面を演出し、とどめとばかり相手レスラーがうかつにもフィニッシュに入ろうとして、テーズの首に腕を回したその瞬間、大逆転のバックドロップ一発で葬られる、という一大絵巻。

http://www.showapuroresu.com/waza/thez.htm

当時からルー・テーズは、観客、プロモーター、テレビ視聴者の三者を喜ばすというファイトを繰り広げていたのです。

バックドロップというアイデンティティ

一言で言えば、試合をコントロール技術であり、それがプロレスなのです。

しかし、ルー・テーズは常に、カオスの中にプロレスラーの誇りと矜持を忘れませんでした。

ルー・テーズのことです、本気でやれば、どんな相手でも3分でカタがついたはずです。

しかし、存分に見せ場を作って観客をエキサイトさせ、地元のヒーローもしっかり立てたうえで、最後は20世紀最高の芸術ワザ「バックドロップ」で仕留めるのです。

ルー・テーズは攻撃をされるときも、するときも、プロレスを品位あらしめるファイトをしていました。

出で立ちからしてそうでした。

黒いガウンに、黒のシューズは後にアントニオ猪木にも引き継がれた「正調」であり、バックドロップはプロレスの強さと凄みの象徴でした。

申し上げたとおり、プロレスはその自由な性格から、下手をすると三文演劇やサーカスもどきに堕してしまう危険があるのです。

ルー・テーズはその匂い立つような品位あふれる存在感で、プロレスをコミックショーに貶めることから救ったのです。

威厳に満ちた風貌、ガウンを脱いでのぞく鍛え上げられた肉体、ムダのないシャープな動き、そして最後、電光石火のバックドロップを見せつけられて、聴衆は心地よい畏怖をおぼえたはずです。

今のマーケティングに足りないもの

今のプロレスに足りないものは、ずばり、ルー・テーズではないでしょうか。

絶対的な強さを背景にした、プロレスに対しての確固とした哲学であり、プライドであり、矜持ではないでしょうか。

テーズのその思いは、観客にも伝染し、プロレスは単なる暴力ショーではないというある種の「共犯意識」を持たせるに至ったのです。

今も昔も、プロレスは多様性で成り立っています。

しかし、その核となるのは、ルー・テーズが存在することではないでしょうか。

そしてこれは、プロレスだけにとどまらないと思うんです。

様々な製品やサービスが市場に溢れかえっていますが、どれにもルー・テーズを感じることはありません。

マーケティングの行き過ぎで、客に媚びることばかりを考えているからです。

企業はいまこそルー・テーズのように、自分が信じ、誇りを持てる生き方をし、それを製品やサービスに反映すべきなのです。

野呂 一郎
清和大学教授




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