クッキーレス時代のマーケティングのキモは「おしゃべりであること」。
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:”おしゃべりであること”がなぜ新しいマーケティングの要諦なのか。喋らなくなった日本人が失いつつある莫大な経済的利益。でも”しゃべる日本人”を創るのは厄介であるという現実。
高校生だけじゃない、大人も決定的に足りない”おしゃべり”
高校生の皆さんに、色んなことを言ってきました。あえて、一言だけ言うとすると、「おしゃべりであれ」ということです。

昨日孤独の話をしましたが、申し上げたように、孤独を打ち破るのは、自分から声をかける、という態度なのです。
まあでも、「それができりゃ孤独になるわけねえだろ」、と言われちゃうかもしれないんですが。
おしゃべりの人っていうのは、まず自分から話しかける人のことです。
これができないんですよ、日本人は。
いま、これからのマーケティングというテーマで論文を書いているんですが、とどのつまりその要諦というか、その答えは「おしゃべりであれ」ってことなんですよ。
でも、これは日本人がシャイであるかないか、とすこしちがった意味で難しいことでもあるんです。
自分から話しかける膨大な功徳
僕はシャイですが、おしゃべりであること、つまり自分から話しかけることを心がけています。
野菜や果物をスーパーじゃなくて、近くの八百屋で買うのも、おしゃべりするためです。
威勢のいい八百屋の店主でも、こちらから何か話しかけないと、反応しません。
僕:「昨日のトウモロコシうまかったよ」
八百屋:「いやー、でも来週北海道のトウモロコシで最後なんだよ」
僕:「リンゴは富士はないの?」
八百屋:「今年は長野が大雨で、富士のいいのが取れなかったんだよ。レタスや葉物もダメさ」
僕:「昨日食べたキウイはなかなかおいしかった」
八百屋:「いやー、でも、ニュージーランド産のキウイが一番おいしくて、日本のキウイはまだまだかなわないんだよ。果物は日本のものがたいていうまいんだけれど、キウイだけはニュージーに遠く及ばない」。
おしゃべりとは情報を取り発信する戦略家のこと
おしゃべり、自分から声をかけるということは、そうなんです、情報をとれる、ということなんです。
僕が気になるのは、商売をやっている人が、おしゃべりしなくなくなってることです。
よく、持ち帰りすしを利用するんですが、僕は半分テストとリサーチのつもりで、必ず、その店で気に入ったお寿司をほめるんですよ。
「おたくのサバ寿司は、スシローよりうまいよ」てな具合です。

店主と思われる男性は、その時、こう返してきました。
「お客さんよくわかってるねえ。このサバはとれたてをさばいてすぐに特製の酢につけて、1か月おいて、厳選したコシヒカリを使って押しずしにしたものだ。有名な食通の人がほめてくれた、逸品なんだ」。
でも、ここまで情報をくれる商売人はめったにいません。
最近は「サバ寿司うまいね」と言っても、
「ありがとうございます」という判で押した返事しか聞かれないのが普通です。
わかってないんだよなぁ、ビジネスにおける「情報の大事さ」を。
あなたがその持ち帰りすしのお客さんだとしたら、どうでしょう。
商品の良さについて、トリビア情報をくれる販売員と、ありがとうだけのそっけない返事しかできない販売員と、どちらに好感を持ちますか。
また、経営者としてはどうでしょうか。
客に商品の隠された良さを伝えようとする従業員と、「ありがとうございます」だけですませる従業員は、どちらに余計に給料を払いたいですか?
タッチポイントの重要性をわかってない従業員が多すぎる
客におしゃべりを返す、つまり何らかの情報を与える販売員は、意識的であれ、無意識的であれ、タッチポイントという、現代のマーケティングの最大の急所をわかっているんですよ。
タッチポイントとは何度も話しましたが、お客と企業もしくは販売を担当するものとの、コミュニケーションが発生する接点のことです。

ここに宝が埋まっているのです。情報という名の。
タッチポイントでフィードバック、つまり客の商品、企業、サービスに対する反応を集める、これこそが、クッキーレスつまりITプラットフォームが個人情報にアクセスできない時代の、マーケティングの主力資産になるのです。
せっかく客から話しかけているのに、「ありがとう」などと木で鼻をくくったような反応しかしない社員ばかりでは、間違いなく企業は、店はつぶれるでしょう。
そもそも、客が何か話しかけるのは、僕じゃないけど、テストでもあるんです。
この店はどんだけ、やる気のある、気が利くつまりビジネスがわかる社員がいるのかというテストです。
この試験に合格すれば、客はひいきになることを決意します。
「これうまいね」、と客にいわれて、あなたがすかさず、CMでも伝えてない面白い情報を伝えたら、客はどう思うでしょう。
「この社員、企業や自分のあつかっている商品に対して愛があるんだな、会社は従業員に愛を抱かせるような、いい待遇してるんだな」、と思うでしょう。
情報とは魅力である
昨日孤独の話をしていて、話しそびれたことがあります。それは、「孤独を避けるには、魅力ある自分になる努力も必要だ」、ということです。
魅力のある人には、いろんな定義がありますが、僕はまず「情報を持っている人」だとだと考えるんです。
その情報とは、ネットで誰しもがとれる情報ではありません。自分だけのオリジナル情報です。それは、人を介してゲットした情報にとどめを刺します。
その情報は、あなたがおしゃべりであるという態度を持っていることで、獲得できるのです。
自ら、あらゆる機会を通じて、他者に話しかけることで得られるのです。
その情報があなたを魅力的にするんです。
作家の魅力は独自情報だ
あなたが小説家だとしましょう。
案外、八百屋のおやじとの雑談や、持ち帰りすしのトリビアネタなんかが、小技として作品つくりに役に立ちますよ。
問題は、お客さんに自分から声をかけたり、声をかけられたらそれは千載一遇のビジネスチャンスであるという認識の重要さです。
お客に情報を提供し喜んでもらいつつ、会社、商品に対してのフィードバックを得ることが、あなたの最も重要な仕事だという認識です。
でもね、こうした態度を持つのが難しいのは、社員に会社愛、商品愛を、またある種の向上心を要求するからです。
いくら優秀でも、やる気のない社員ってたくさんいるじゃないですか。
情報の大切さがわからないっていうのは、やる気のない証拠じゃないかと思いますね。
現代において情報の価値がわかるということは、マーケティングの根本価値を理解しているということです。
しかし僕は、現代のマーケターにもう一つ上の態度を求めたいんです。
ちょっと長くなりますので、この続きはまた明日。
野呂 一郎
清和大学教授/新潟プロレスアドバイザー
