新科目「行動知フィールドワークⅠ」を単位に認めよ!
この記事を読んであなたが得られるかもしれない利益:経営学に関しては、なまじっかな経営理論よりも、若者が行動から得た「体験知」のほうが実践的だ。学生という先生に教わった知恵をあなたにも分けてあげよう。
QRコードをめぐる正論
きのうの記事で、「経営学にかけては、オレより学生のキミのほうが先生だ。なぜならば、キミのほうが新しい変化に対するフレキシビリティを持っているからだ」と言いました。
きのう、その”学生先生A君”が教えてくれたんですよ。
テーマは「飲食店はQRコードを使うべきか。
A君の講義はこうです。
「のろちゃんさあ、noteでこの間、QRコードの是非について書いてたじゃない。
あれ、半分正解で半分間違いみたいに言ってたけど、正しくは『QRコードは使うな』だよ。
オレがバイトをしている店で、実証したんだからホントだよ。
QRコードだと、お客の注文が活発じゃなくなるんだって。やっぱり、絵や写真のはいったメニューを渡してこそ、お客は注文してくれるんだって。
オレはさ、お客さんのつまみが空になるときを見計らって、『次はエビの素揚げなんかいかがですかぁ』ってやるよ。
飲み物はハイボール、Jim Beamと炭酸を割ったやつを勧める。9割型の客がオレのチョイスを喜んでくれる。
エビを平らげたら、次はカキフライで、口をさっぱりさせるレモンサワーを飲ませるんだ。
トドメは唐揚げさ、ここで最初の生ビールに戻ってもらうんだ。
お客さんはハイボール、レモンサワー、ビールが止まらずに、つまみもどんどんおかわりしてくれる。

気がついたら、5人で4万円のお会計だよ。
でも、QRコードじゃあ、こうは行かないんだって。
下手すると、最初のポテトフライと生人数分くらいで終わっちゃうよ。」
これは実話、です。
注文は掛け合い
彼に言わせると、「注文は掛け合い、つまり店員と客の当意即妙なやりとりだ」というのです。
A君は最初のオーダーで、「このお客は何を食べて何を飲んだら、一番楽しめて、店にもごっついカネを落としてくれるか見当がつく」とうそぶきます。
「ビールの進み具合とか、アテの食いつき具合で、『このお客たちはガッツリイケるな』とわかり、勧めるべきサカナが次々頭に浮かび、サカナの食いつきが良くなるドリンクの名前も自然に出てくる」そうです。
僕は尋ねました、
「Aくん、じゃあキミは、次の5人組が入って来たら、店にいくら落とすか、見当がつくの?」
「最近は8割がた、当たるぜ!」
この観察力、行動力、客とのコミニケーション能力、のなせるワザです。
僕はこの一連のAくんの行動を、「行動知」と呼びたいと思います。
行動知とは、現場での気付きをもとに、肉体と頭脳で感じたアイディアを理論化したものです。
これを「フィールドワーク」と言うことも可能です。
新しい単位を認めよ
野呂の授業の代わりに、こういう科目をぶっ立てるのです。
「行動知フィールドワークⅠ サイゼリアで働く」。
大学が企業例えば、ファミレス大手サイゼリアと組んで、学生がバイトから学ぶ体験を経営学の知見に仕立てることを課題とする”ワーク”を提供するのです。

僕の仕事がなくなるので、野呂はこのプロジェクトの監修者兼監督者、ということにしてあげましょう。
働く期間は週2回✕3ヶ月。これが前期分。
後期は野呂も彼らに加わって、学生たちの体験を言語化、経営理論化することにあてる。
グループワークで週1日✕3ヶ月。
どうだろう、野呂の仕事がなくなってしまう心配よりも、彼ら彼女らが得られる利益のほうがはるかに大きいだろう。
野呂 一郎
清和大学教授
