【深層】今こそ「下船後のBの感染動線を追う!」前編①:ただの感染者になれなかったB
下船した遺族に、何が起きていたのか
【追悼の言葉】
あなた方は、不幸にも今回の感染症に巻き込まれ、世間を騒がせることになってしまっただけの被害者であり、決して加害者ではありません。
拙い筆ではありますが、何が起きたのかを、できる限り丁寧に追ってまいります。
亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、療養中の方々の回復を心より願い、さらなる被害拡大を防ぐ目的で使用させていただきます。
どうか、安らかにお眠りください。
1 アウトブレイク報道の出発点
あなたは、ちまたを騒がせている
アンデス株「アウトブレイク」報道が、
どこから世界に広がったのか?
その起点はいったい誰なのか?
を知っているだろうか。
今回の追跡記事で追うのは、感染源や
「アウトブレイク」報道そのものではない。
追うのは、
下船後のBの「感染動線」である。
予め断言しておくが、
Bは、今回のアンデス株の感染源ではない。
しかし、
Bの南アフリカでの急変と死亡、そして死後検体からの「ハンタウイルス陽性確認」と「アンデス株特定」が、地域ニュースにすぎなかった「船内の原因不明死」を、
世界的な「アウトブレイク」報道へと一変させた。
そして、その「アウトブレイク」報道は、
単なる「船内の原因不明死」から、
Bをきっかけとした
「船内感染」
「アンデス株」確定
「航空機を含む接触者」
「国際的な接触者の追跡」
と問題を膨らませながら、少しずつ表面化をはじめた。
この2人目の不運な犠牲者のBこそが、
「アウトブレイク」報道を世界へ広げる起点となった人物である。
2 前提として、AとBを責める記事ではない
本稿は、誓って
「AとBを責めるための記事」ではない。
AとBは、たまたま不幸にも、
「タチの悪いアンデス株という感染症」に
巻き込まれただけの被害者である。
特にBは、
「最愛の夫Aの遺体を本国へ戻すために下船した遺族」であり、
「自分がアンデス株に罹患していたとは知らなかった」はずだ。
以下は、A夫妻の人物と経緯である。
3 【人物と経緯】
A:1人目の犠牲者(Case1)
人物 A (死亡)
・オランダ人 男性 70歳
Aは、今回のアンデス株の感染源ではない。
しかし、船内感染源になってしまった。
【発症】4月6日 船内にて発熱・頭痛・下痢
【症状】発熱、頭痛、腹痛、下痢など
【死亡】4月11日 船内にて 呼吸不全で死亡
【備考】 死亡時点ではハンタウイルスとは
判断されず、微生物検査もされなかった。
検査前に埋葬されてしまったため、
probable case(感染の可能性が高い症例)
Case 1は、初期報道では、すでに埋葬されたため検査ができず、Probable扱いとされた。
一方で、後続情報では、セントヘレナ側が
遺体回収・保管・本国送還手続きに触れて
おり、初期の「埋葬済み」報道との整合に
は不明点が残る。
妻Bの死因や、船内感染からも、Aの死因も「アンデス株」の可能性は極めて高い。
しかし、まだ未検査という理由だけで、現在も感染「疑い」2名の1人として報道されており、確定(Confirmed)の8人には入っていない。
一方で、死者3名の1人として報道されているなど、Aは、実質的には今回のアンデス株の犠牲者と見られながら、検査上は「確定例ではない死者」という、非常に分かりにくい立場に置かれている。
しかし、Aを確定例に移すための検査や再評価が行われたとは、報道されていない。
例えば、終息宣言の時に、
「確定○名、死者○名、疑い1名」と報道されれば、その「疑い1名」が生存している軽症者のように見えるだろう。
だが実際には、Aのように、死者として扱われながら、検査上は「確定例ではない死者」が含まれる可能性がある。
このような分類の分かりにくさが各所で起きていることこそ、今回の報道で注意すべき点である。だから数値を鵜呑みにしない。
※ WHOが認めた Case (番号) が付くと、報道される「確定」○名「疑い」○名になる。
4 B:人物と経緯
B:2人目の犠牲者(Case2)
人物B(死亡)
・オランダ人 女性 69歳 (Aの妻)
Bは、今回のアンデス株の感染源ではない。
4月24日 (までに MVホンディウス号到着)
夫Aの死亡に伴い、32名の 下船者と共に 英領セントヘレナ島で、夫の遺体と共に、
自力で下船。
下船時に、軽い胃腸症状(死亡日時から
逆算して、すでにHPS/HCPSを発症して
いたと推測される)
セントヘレナ島に宿泊(詳細不明)
4月25日
Bと32名の下船者らの一部と共に、Airlink便で、乗継地のヨハネスブルグ(南アフリカ)へと移動。
Airlink 機へ搭乗前から胃腸症状があり、飛行中に容体が悪化し、ヨハネスブルグ到着時に虚脱した*1 ことが、WHOほかで確認されている。
実飛行時間:約4時間11分(飛行記録より)
*1 この「虚脱」は、到着後に立っていられ ないほど容体が悪化し、自力移動が困難になった状態を指す。
Bはその夜、アムステルダム(オランダ) 行の KLMオランダ航空592便(23:15発) に、一時的に搭乗。
【経緯】出発前の機内で、激しい胃腸症状と 極度の衰弱 のため、CA(客室乗務員)らの 判断で搭乗不可となり降機、病院へ。
4月26日 未明
ヨハネスブルグの病院で、 死亡。
【検査】病院での死亡後、検査が行われ、
・5月4日にPCR検査 で陽性。
・5月6日にアンデスウイルス (ANDV)が
確認され、Case 2 確定した。
(報道での「確定1」「死亡1」に該当)
【発表】KLMは、Bが 4月25日の KL592便(23:15発)に、一時的に搭乗したものの、
体調不良により、CAらの判断で搭乗不可
と判断し、降機したと発表。 ※すぐに救急搬送されるも病院にて死亡。
夫の遺体を本国へ戻すために船から下船した遺族であると同時に、残念ながら、発症が始まった状態で下船することになってしまった人物でもあった。
【位置づけ】
Bのヨハネスブルグ(南ア)での症状の急変と死亡、そして死亡後の検体からの、
「ハンタウイルス陽性確認」(5月4日)と、
「アンデス株特定」(5月6日)が、現在の
世界的な「アウトブレイク報道」へ変えた。
ベールに包まれていた「船内の原因不明死」は、Bをきっかけに、「H2H型アンデス株」「航空機接触者」「国際的な接触追跡」の問題として表面化したのだ。
5 前編①の結び
残念ながら、1人目の犠牲者Aは、船内にて
死亡した。
Aの妻であるBは、ごく初期の症状が出始めた状態で「MV ホンディウス号」から下船してしまった。
前述のとおり、Bは、この胃腸の症状が、
「アンデス株」だとは知る由もない。
失意に暮れていた下船時のBの頭の中は、
船内で亡くなった 最愛の夫Aと一緒に本国
オランダへ帰るために、島からは週にたった
1便しか運航されていない翌日発のAirlink便
に乗ることで目一杯だったのだろう。
さらに、最終目的地の本国オランダを含む
3か国をまたぐ複雑すぎる、最愛の夫Aの
亡骸の国際搬送手続き、そして、楽しかった周遊からドン底へ急転した失意・絶望。
きっと下船時のBは、手続きの多さもあり、
B自身の体調すら気づかう余裕すらなかった
はずだ。
そして、そのまま3か国の間を移動する
「感染動線」に乗ってしまったのだ。
何度も、繰り返すが、Bは感染源ではない。
あくまでも、不幸にもその渦中に置かれてしまった人である。
報道の「確定」「疑い」の人数が変わった後、公表打ち切りとなった。
【2026年7月29日追記】
WHOの最新公表では、南アフリカとフランスで計2名が入院治療中とされている。
その後の詳しい経過や転帰は、現時点で公表されていない。
(お詫び)
前編②は事情があり公開できておりませんので、続いて、下記の記事をお読みください。
