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♠︎6 「できない」から始まる保育

春のやわらかい風の中
ピカピカの名札をつけた3歳児のAちゃん

でもママの手をぎゅっと握って
なかなか離れない

「初めての集団生活なんです
慣れるまではなるべく手をかけてあげてください」

そう話すママの声も少し不安そう

その様子を見ていた保育者の頭には

「“3歳だから自分で”って
伝えた方がいいかな」とよぎったが

それは違う!と頭を切り替えた

ママが帰った後に先輩保育者に尋ねてみた

「“園ではこうしてます”って
家でもお願いしたほうがいいですかね」

「それはまだ早いかもね」

少しAちゃんの様子を見ながら先輩が言う

「まずはママの不安に寄り添って
安心してもらうことかな」

「その中で
Aちゃんが“やりたい”って動いた瞬間を
一緒に喜んでいきたいね」

Aちゃんはまだ
保育室の隅でじっと立っている

でもその手の中で
少しずつ

自分で進む力を育てている

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