⌛️ サンドアーティストが生み出すカラフルな砂のアート
休日の午後。
みきとつきは、サンドアーティストの湯浅まり子のもとを訪れていた。
テーブルの上には、赤、青、黄色、ピンク、緑……色とりどりの砂が並んでいる。
つきが思わず声を上げた。
「これ、見ているだけでもワクワクしますね」
「そうでしょう?」
サンドアーティストのまり子の表情がぱっと明るくなる。
「子どもたちも最初は同じなんです。カラフルな砂を見た瞬間に、『やってみたい!』って目が変わるんですよ」
みきが小さな作品を手に取った。
「同じ砂を使っても、全部模様が違いますね」
「そこがサンドアートの面白さなんです」
透明な容器に、好きな色の砂を少しずつ重ねていく。
ピンクの上に白。
その次は水色。
「難しい技術がなくても始められます。でも、やってみると奥が深いんですよ」
「自分で考える余地があるんですね」
つきが言う。
「そうなんです。『ここは青にしよう』『次は黄色』『この上にピンクを重ねたらどうなるかな』って。正解がないから、自分で選べるんです」
みきがうなずいた。

「保育でも、その“自分で選ぶ”って大切にしたいところです」
「私は、そこをすごく大事にしています」
まり子は少し身を乗り出した。
「上手な作品を作ってほしいんじゃないんです。『私はこの色が好き』『こうしてみたい』っていう、その人のこだわりを大切にしたい」
つきが尋ねた。
「子どもたちは、作っている間どんな感じなんですか?」
「もう、びっくりするくらい夢中ですよ」
まり子が楽しそうに笑う。
「最初は『これかわいい!』『どの色にしよう!』って賑やかなのに、作り始めると急に静かになる子がいるんです」
「静かになる?」
「砂を入れて、じーっと見て、また違う色を選んで……。完全に自分の世界に入っているんですよ」
みきが笑った。
「夢中になっているですね!」
「そうなんです。だから私は、そんなときは話しかけません」
「もちろん困っていたら手伝います。でも、集中しているなら見守る」
「私自身もサンドアートに集中しているとき、何度も話しかけられると集中が切れちゃうタイプなので」
3人が笑う。
「子どもだから声をかける、大人だから放っておく、ではないんですね」
みきが言った。
その人の表情や手の動きを見ます。子どもでも大人でも同じです」
そして、完成の瞬間。
「できたーーー!」
そう叫んだあと、両腕を上げて、
「はぁー、作ったーー!」
と大きく伸びをする子もいるという。
つきが笑った。
「それだけ集中してたんだ」
「そうなんです。その顔を見るのが、本当にたまらないんですよ」
まり子の声が少し弾む。
「『かわいい!その砂の色の組み合わせ、いいね!』とか、『きれいな線が重なってきたね!』って、私までテンションが上がっちゃって」
みきが尋ねた。
「どうして、そこまでサンドアートに?」
すると、砂を見て少しだけ表情を変えた。
「私も、もともとは保育士だったんです」
「ずっと続けてきた保育士を辞めてまで進みたいと思ったのが、サンドアートの世界でした」
一つのアートとの出会い。
そこから新しい人たちと出会い、仕事が生まれ、自分の人生まで大きく変わっていった。
「だから私思うんです」
並んだ砂を見ながら言った。
「一つのアートとの出会いや、一回の体験が、その人の未来につながることがあるって、私自身がそうした経験をして、人生が変わりました」
「だから今度は、私が誰かにその“最初のきっかけ”を届けられれば」
みきが静かにうなずく。
「やってみたい!」
「楽しい!」
「できた!」
「その気持ちを、一つでも持って帰ってほしいんです」
つきが言った。
「“何を作ったか”より“何を感じたか”」
「まさにそれです!」
好きな色を自分で選ぶ。
自分なりに模様を考える。
夢中になる。
完成した作品を見て、「これ、私が作ったんだ」と嬉しくなる。
そして、自分の作ったものを大切そうに持って帰る。
「ワークショップで大切にしているのは、3つです」
まり子は指を折った。
「やりたいという気持ちを大切にして、こだわり、自由にアートを楽しんで欲しい」
「夢中で集中して好きなことを楽しむ時間になって欲しい」
「作ったものを愛おしいと思い、大切にする気持ちを育んでほしい」
みきがこくんっと静かに頷いた。
「それって、アートの話だけじゃない気がします」
「私もそう思います」
つきも続ける。
「自分で選んで、やってみて、夢中になって、できたって喜ぶ。子どもの育ちそのものですね」
まり子もうれしそうにうなずいた。
「子どもだけじゃない。大人も、高齢者の方も一緒です」
好きなものを「好き」と言える。
やりたいことを「やりたい」と言える。
そして、自分が作ったものを見て「これ、いいな」と思える。
そんな時間を届けたくて、ワークショップやレッスンを続け、サンドアートを伝える講座も立ち上げた。
「自分のできることで、目の前の人が夢中になって、最後に笑ってくれる」
そして、カラフルな砂を手に取りながら笑った。
サンドアートとの出会いが、その子の人生を変えるかどうかは分からない。
でも、
「やってみたい」と手を伸ばしたこと。
時間を忘れるほど夢中になったこと。
「できた!」
と嬉しそうな笑顔。
その小さな経験のどれかが、いつか未来のどこかにつながるかもしれない。
だから今日も、色とりどりの砂と一緒に、誰かの「やってみたい!」を待っている。

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お子さんにお金のことを教えたいあなたへ🌝
公立小学校で26年間教壇に立った小野薰です。
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みらいの学校GIFT主宰 / 一般社団法人日本みらい教育LABO代表理事
元川崎市立小学校教諭(26年)/ 2級FP技能士・AFP・宅地建物取引士 他
教育の可能性を、社会につなぐ。
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保育・福祉の現場で約20年。
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保育現場や子育ての中で生まれる「これ、どうすれば?」に向き合うための活動費として次の投稿や新しい試みに使わせていただきます。
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