日本の価値を上げる——NOT A HOTEL CONSULTINGを創業
NOT A HOTELが新たに設立した「NOT A HOTEL CONSULTING」は、同社の100%子会社として、土地や建物の有効活用を軸に、日本各地の資源に新たな価値を吹き込む挑戦をスタートさせた。その舵を取るのは、黒田哲二と舩山展丈。
東京大学で建築を学び、隈研吾建築都市設計事務所、UDS、森ビルといった設計・企画・開発の最前線を歩み、2020年からはUDS株式会社の代表取締役社長としてホテル事業を推進してきた黒田。一方、リクルートからキャリアをスタートさせ、アラタナやZOZOテクノロジーズなどのスタートアップや上場企業で新規事業の立ち上げに携わり、2023年よりNOT A HOTEL MANAGEMENT代表取締役CEOを務めてきた舩山。
異なる分野でキャリアを重ねながらも、2人に共通するのは「ホテルの現場に入り込み、事業をつくり上げてきた」という実践的な姿勢だ。そして今、彼らが同じテーブルに着いたのは、“日本の価値を上げる”というNOT A HOTELのミッションを実現するためにほかならない。
設計、開発、運営、テクノロジー。そのすべてを自社で完結してきたNOT A HOTELの知見を武器に、全国各地に眠る土地や建物のポテンシャルを引き出す。コンサルティングの枠を超えたプロジェクト推進を担う新会社の実像と、そこに込められた想いとは。
NOT A HOTEL CONSULTINGの展望を聞いた。
ホテル運営を知り尽くす、二人が次なる挑戦へ
——まずはこれまでの経歴と、今回「NOT A HOTEL CONSULTING」の創業に至った背景から伺えればと思います。では、黒田さんからお願いします。
黒田:キャリアのスタートは、建築家・隈研吾さんの設計事務所でした。その後、「つくる人とつかう人をつなげたい」という想いから都市デザインシステム(現UDS)に転職し、ホテル開発のプロジェクトに携わりました。
その後は森ビルで都市開発やエリアマネジメントに関わったのち、再びUDSに戻り、ホテルブランドの立ち上げを中心に手がけてきました。2020年からUDSの代表を務め、2025年3月に退任。そして4月からNOT A HOTEL CONSULTINGの代表を務めています。

船山:私は新卒でリクルートに入り、営業として主に求人系のメディアを担当していました。ずっと「将来は経営者になりたい」という思いがあって、営業も新規事業も一通り経験しました。そしてある時、宮崎でサーフィンをしたいという理由で(笑)、アラタナという会社に転職したんです。
直感でしたが、そこでNOT A HOTEL代表の濵渦さん(当時、アラタナ代表)と出会うことになります。その後はZOZOやdelyで経験を積み、2023年にNOT A HOTEL MANAGEMENTの代表として再び濵渦さんと一緒に経営をしてきました。そしてこの3月に代表を退任。黒田さんとNOT A HOTEL CONSULTINGを創業するに至ります。
——NOT A HOTEL CONSULTINGを立ち上げるに至った背景には、どんな動機があったのでしょうか。
黒田:次のキャリアを考えたときに、漠然と「ホテル以外をしたい」と考えていたんです。ただ、これまで日本中を旅するなかで、素晴らしい土地や建物に出会うことができ、自分の経験を活かして、なんとか後世へ継承していけたらという野望だけはありました。
まさにNOT A HOTELはそれを創業からわずか数年で実現していたんですよね。その強みは、自分たちで土地の買い付けや事業開発をし、ブランドとしての世界観を統一しながら、運営までワンストップで手がけていくところ。それに加えて、濵渦さんはじめ経営陣の意思決定のスピードがものすごく早い。ここなら、ホテル以外の事業も含めてチャレンジできると直感的に思ったんです。
舩山:私はNOT A HOTELがこの数年で築いてきたブランドやオペレーションの質の高さを、もっと外部に向けて展開していけるんじゃないかという可能性を感じ始めていました。大変ありがたいことに、さまざまな事業者や自治体から「この土地どうでしょうか?」「ここにホテルをつくりませんか?」というお問い合わせを多く寄せられるようになっていたからです。
その度に、単にNOT A HOTELをつくるのではなく、他の方法もあり得るのではないか?と考えるようになっていって。今回、黒田さんと一緒にやるという話を聞いたとき、これなら「ホテルの枠を超えた事業」が本当にできると直感しました。

自社物件だけではない、次の一手
——NOT A HOTEL CONSULTING設立の話は、いつ頃から立ち上がったのでしょうか。
舩山:今年(2025年)の年明けくらいからですね。NOT A HOTELがIPOを見据えるタイミングに入り、「自社物件の販売モデルだけでなく、もう一つの軸をつくる必要があるんじゃないか」という議論が経営陣のなかで出始めていて。そのなかで、先ほども触れた全国からいただくお問い合わせに応えられないか、という話に広がっていきました。
——黒田さんが合流されたのは、そうした議論が進んだ後のことだったと。
黒田:はい。今年の1月に、前職(UDS)の退任を発表したあと、濵渦さんから声をかけてもらいました。初めは正直「なんで自分に?」と思ったんです。UDSでは街に開かれた“ちょうどいいホテル”をつくってきたので、NOT A HOTELのようなハイエンドな世界観とは少し違うと思っていたんですね。
でも、実際に話を聞いてみると、「日本の価値を上げる」というNOT A HOTELが目指す絵姿がすごく刺さって。それは、自分が建築やまちづくりに関わってきた根底にある想いと一致していたんです。
それから濵渦さんとも何度もディスカッションを繰り返し、土地や建物の有効活用を軸に、日本各地の資源に新たな価値を吹き込む事業として、NOT A HOTEL CONSULTING設立に至ったという背景です。
——もともと構想としては早くからあったが、ブランドや体制が確立された今だからこそ、スピーディーに立ち上げることができたんですね。
舩山:まさにそうですね。これが創業間もないNOT A HOTELだとしたら難しかったと思います。ようやくNOT A HOTELのブランドや知見を活かして、外部とのプロジェクトとも向き合えるタイミングが来た。そこで黒田さんと一緒にやれるというのは、すごく大きな後押しになりました。

事業会社としての責任と覚悟
——改めて、NOT A HOTEL CONSULTINGが手がける事業の対象や方向性について教えてください。
黒田:ミッションは土地や建物の歴史・文化を継承することで、日本の価値を上げること。手がける事業は、「国立公園、都心部および観光地における一等地の有効活用」、そして「歴史的価値のある旅館やクラシックホテル、文化財などの建物価値向上およびNOT A HOTEL化の実現」としています。
土地にしても建物にしても、一等地、一等級にこだわりたいと考えています。たとえば、今の建築基準では建てられない、付加価値の高い建物をリノベーションなどを通じて再構築していく。現在取り組んでいるプロジェクトも、簡単に“新しくつくればいい”とはいかないものばかり。潜在的な魅力を十分に引き出しきれていない土地や建物を、どう再解釈できるかがカギだと思っています。

舩山:「NOT A HOTEL」というブランドを守り、さらに成長させていくためには、NOT A HOTELとしての基準を満たしつつ、さらに新たな風を吹かせられるかが大事ですよね。これがNOT A HOTEL CONSULTINGのチャレンジとも言える。NOT A HOTELらしい建築、テクノロジー、そして運営。その三位一体をどう外部のプロジェクトにも展開できるかが勝負ですよね。
——NOT A HOTEL CONSULTINGは、“コンサルティング”という名前でありながら、かなり事業会社的な推進力を求められますね。
舩山:むしろ“コンサル”っぽくない会社だと思います。僕らがやろうとしてるのは、リサーチして提案して終わりではなく、ものづくりをして実際に運用していくこと。

黒田:だからこそ「特別な土地や建物」にこだわりたいんです。やるからには「これも新たなNOT A HOTELのブランドだね」と言われるくらいにしたいですね。
経営経験者が挑む、次なるフィールド
——立ち上げフェーズだからこそ感じる「意義」や「面白さ」はどんなところにありますか。
黒田:スピード感ですね。NOT A HOTELに入ってから、一番驚いたのが意思決定のスピードでした。物理的に忙しいというよりも、自分のリソースをフル活用して事業を動かしている実感がある。濱渦さんの意思決定の速さもそうだし、他のメンバーの動かし方もとにかく早い。
舩山:NOT A HOTEL MANAGEMENTの代表時代は、運営として「ブランドをいかに守るか」というディフェンスの仕事が多かった。これからは真逆。オフェンスとしての動きが求められるので、それが自らのチャレンジとも重なっています。
——黒田さんも舩山さんも、以前の立場とは異なる裁量や手触りを感じているわけですね。
黒田:そうですね。社内のクリエイティブの精度が高いのも起因していると思います。たとえば建築のアウトプットひとつとっても、「ここまでやるんだ」って思わされる。だからこそ、自分も中途半端なことはできないなと、いい意味で緊張感を持って臨めています。
舩山:NOT A HOTEL全体として「やりたいことをやりきる」という文化が根っこにあるのが大きいですね。普通だったら資金の都合や建築上の制約で諦めるようなことも、「やろう」と決めたらやりきる。その姿勢があるから、僕らも手加減せずに走れる。採算だけで判断しないからこそ、本当にいいものがつくれるという確信があるんです。

——いま関わる意義として「意思決定者に近い立場で動ける」「最初の案件がブランドの基準になる」という観点もありますよね。
舩山:まさにそこは最大の魅力だと思います。いまジョインすれば、自分が意思決定者のような動き方すらできる。濱渦さんのコミットもすごく高いので、最初の数件の案件がブランド全体の基準を決めるという重要性も共有されています。その意味でも、いま関わる価値はかなり大きいと思いますね。
人生に一度あるかないかの仕事を
——採用の話に少し踏み込みたいのですが、特にどんな方を求めているのでしょうか。
黒田:職種でいえば「プロジェクトマネージャー」ですね。お問い合わせの数は足元だけでも、かなり増えてきているので、しっかり着地させるまで伴走できるプロジェクトマネージャーが不可欠です。

舩山:いわゆるビジネスサイドのプロジェクトマネージャーと建築サイドのプロジェクトマネージャーがミックスされるイメージですよね。創業間もないフェーズなので戦略のみならず、泥臭いエグゼキューションまでコミットできる方がフィットすると思います。
黒田:僕たちのようなコンサルティングをする場合、もっとも苦戦するのがソーシングです。ただ、ありがたいことに現状そこには困っていないんです。これはNOT A HOTELというブランドへの信頼がもたらした成果そのものだと感じています。ここまで特別なお問い合わせをいただけるのは、ありえない環境だと思いますね。
このような状況で、僕たちに共感してくださる事業者さんや地主さんがせっかくいらっしゃって、いいプロジェクトが立ち上がりかけているのに、僕らがボトルネックになるのは非常にもったいない。
——最初のドミノを倒したい方は是非ご応募していただきたいですね。
黒田:そうですね。ゼロからイチをつくるよりも、はるかに難易度は高いと思います。だからこそ、やりがいがあるし「日本の価値を上げる」ことに直結するプロジェクトになっていくと思っています。
舩山:僕たち自身も「人生に一度あるかないか」という仕事に向き合えている喜びを日々感じてます。だからこそ「日本の価値を上げる」への圧倒的な共感を軸に、仕事と向き合える方に参画していただきたいなと思っています。

イベント情報(※日程変更のご案内)
当初、6月18日(水)に開催を予定しておりました会社説明会(オンライン)は、登壇者の体調不良により日程を【変更】させていただくこととなりました。ご参加を予定いただいていた皆様には、ご迷惑をおかけいたしますこと、心よりお詫び申し上げます。改めて、以下の通り開催いたしますので、奮ってご参加ください。
日時:2025年6月27日(金)19:00~20:30

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STAFF
TEXT:Ryoh Hasegawa
EDIT/PHOTO:Ryo Saimaru
