鶏塩ぞうすい|“誰かのため”を休む日のごはん。
いつからだろう。
「誰かのために作ること」が、正しいと思っていた。
彼が喜ぶもの。
家族が安心して食べられるもの。
そういうごはんを作ることが、
どこか当たり前だと思っていた。
でも、四十を過ぎて、
身体も心も、思うように動かなくなる日が増えた。
気合いだけでは乗り切れない日もある。
親のこと。自分の身体のこと。
心配ごとも増えて、
ごはんが喉を通らない夜もあった。
そんなとき、はじめて
“自分のため”にごはんを作った。
野菜を摂りたいとか、身体にやさしいものがいいとか、ただそのときの自分を、そっといたわるように。

そのときできあがったのが、この鶏塩ぞうすい。
味つけは、塩だけ。
ひと口食べた瞬間、
じんわりと旨みがしみていった。
身体の奥のほうまで、あたたかさが広がっていく。
思わず「おいしい」と声が出た。
でもそれよりも先に、
ふわっと、やさしい気持ちになっていた。
ずっと“おいしいレシピを”
と考えてきた私にとって、
それは少し、不思議な体験だった。
それからこの鶏塩ぞうすいは、
うちの定番になった。
風邪をひいた日や、夜が少し遅くなった日。
鍋の音を聞きながら、
あの日の自分を、また抱きしめているような気がする。

🥬 青菜の鶏塩ぞうすい

材料(2人分)
鶏もも肉…1/2枚(150〜200g)
小松菜…1/2束(約100g)
ごはん…200〜240g
水…500ml
酒…大さじ1
塩…小さじ3/4〜1弱
作り方
1.鶏肉は小さめのひと口大に切る。小松菜は1cm幅に切る。ごはんはサッと洗ってぬめりを落とす。

2.鍋に水・酒・鶏肉を入れて火にかけ、ふつふつしたら灰汁をとって蓋をし、弱火で10分ほど煮る。


3.塩で味をととのえ、ごはんを加えて弱めの中火〜中火で2〜3分煮る。小松菜を加え、さらに1分ほどサッと煮る。


4.器に盛り、好みで塩をふりながらどうぞ。

・ 代用&補足メモ
ここから先は
今日を少しだけ軽くする言葉やレシピを、これからも届けていけたらと思っています。 いただいたチップは、新しいレシピの試作や、言葉の発信に大切に使わせていただきます。やさしい応援、本当にありがとうございます。
