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夜の散歩のような編み物

料理の本を読みながら
編み物のことを考えている。

カタチを望むわたしたちと、出来栄えを望むわたしたちと、効率を、成果を望むわたしたちについて。

そうじゃない方向の可能性について。

最近続けて
「ただ真っ直ぐ編んでるんです」
という人に出会った。
何も作らず真っ直ぐ編むことを聞いて、その心地良さに初めて触れたような気がした。

始めた目数を編み進め、突き当たったら折り返すだけ。
1つの変化もない。
1つの判断もしない。

真っ直ぐ編むのは、まるで夜の散歩のよう。少しずつ頭が空っぽになってゆく、あの時間は昼間の活動からは得られない。

ただただ真っ直ぐ編みたかった人たちの、その時間を想像して、そんな会があってもいいなと考えてみたりしている。

真っ黒な宇宙に浮かんでいるような、黒糸編みや
砂漠をゆらゆらと歩くような、ベージュ糸編み
植物に囲まれて木漏れ日の差す森の中を進む、緑糸編みなど。

ただ、針を進めて、心が休まるだけの編み会。
大きなものになるだろうし、一区切り旅を終えたところで、編み進んだ編み地はわたしたちを包むものになるだろう。

そもそも包むことはKnitの大切な仕事のひとつだから。

そんな編み会をいつか開いてみたい気がする真夜中です。

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