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[SS] ひゅう、ひゅう、ひゅう、ふっ。

土曜日、夕方。
結局一日、どこにも行かなかった。
友人もいない。
元々、行く場所も無い。

四畳半、一間。
狭いが、自分が居てもいい場所。
唯一の安らぎの場所。

Tシャツと、短パン。
それさえも脱ぐ。

下着だけ、自由だ。
誰にも迷惑はかからない。
束の間の、ささやかな自由。

玄関に頭、窓の下に足。
大の字。

カーテンは空いている
窓も少し空いていた。

目を閉じる。
遠くに電車の音。
眠気を誘う。

ひゅう。
足首、冷たさを感じた。

「すきま風かな?」
上半身を起こして、確認する。
何も無い。

部屋の前、行き来する足音。
お隣さんだろうか?

ひゅう。
腰の辺り、冷たさを感じた。

「虫か?」
上半身を起こして、確認する。
何もいない。

部屋の前、行き来する足音。
複数、何かを呟く声。
珍しい、お隣さんだろうか?

ひゅう。
首のあたり、冷たさを感じた。

「なんだ….。」
慌てて、触ってみる。
何も無い。

部屋の前。
複数の人、気配を感じる。
右側、左側からも何か、嫌な感じがする。

ここは角部屋だ。

急に動かなくなる両腕、両足。
床に貼り付けられたような感覚。

力を入れても、全く開かない瞼。
まるで、糸で縫いつけられたような。

冷や汗。
鳥肌。
動かない足、手、全身が勝手に震え出す。

まずい、これはまずい。
何が起こっているかは分からない。
でも、まずい。

ふっ。
耳に息。
明らかな、息。

カチャン。
ギギ、ギギ、ギギギ。
頭の中。
ゆっくりと回るドアノブ。

ギー….。
ゆっくり開く、ドア。

数人の足音。
呟き、気配。

入って来ている。
それも一人じゃ無い。

足元。
腰。
首元
頭の上。

それぞれに感じる視線。
それぞれに感じる息遣い。
言葉に聞こえない、呟き。
低く、ゆっくりとした呟き。

ひゅう。
ひゅう。
ひゅう。
ふっ。

体に感じる
冷たい風。

目が、開きそうだ。

ダメだ。
必死に瞼に力を込める。

ダメ。
開けちゃダメだ。
絶対。

ふう、ふう、ふう。
ふう、ふう、ふう。
多分、鼻息。

この瞼の向こう。
そこには、瞼。

そして
二つの目が
こちらを見ているのだから。


こちらの企画に参加させて頂きました。

すきま風、怖いですね☺️。

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