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[SS] 白い

白い顔。
木の箱の中。
白い花に囲まれて。

たくさんの人の中、僕はただ立っていた。
突然降り始めた雪、どんどん彼女が遠ざかっていく。
車に乗った彼女が遠ざかっていく。
どんどん、遠ざかっていく。
雪の中を静かに、確実に遠ざかっていく。

周りの人が徐々に少なくなり始めた。
そんな中、僕はただ車の後ろを見て立っていた。


彼女は転校生だった。
小学校3年の夏休み明け、先生に紹介されて教室に入って来た。
別に普通だった。
可愛いってほどでもないし、だからってブサイクってわけじゃない。
本当に普通な女の子だった。

クラスにはなかなか溶け込めず
でも、それなりに毎日を過ごしている。
同じ委員会になったことから、少しずつ話をする様になった。

転校は親の都合でとか、そういう特別な理由はなかった。
たまたまタイミングが、って言ってた。
結局なんで転校して来たのかは分からないままだった。

そのまま4年生になり、クラス替えもなくまた同じクラス。
なんとなく普通にクラスメートとして過ごす日々。
また同じ委員会で、変わらず話をする毎日。

彼女もクラスに少しずつ溶け込んできていた。
そして、あの日。

彼女は突然学校に来なくなった。

心配だったが、先生に聞いても何も教えてくれない。
クラスメートに聞いてみるが、やはり何も知らない様だった。

それから1週間くらい。
ぼーっと窓の外を見ていると、彼女が学校にやって来た。
お母さんらしき人に手を引かれていた。

彼女は教室に来る事は無かった。
その日の授業が終わってすぐ先生に駆け寄って聞いてみた。

「病気なんだって。」

なんとかっていう病。
なんか難しいこと言っていて、よく覚えていない。

それから、毎日窓の外を見ていた。
彼女が学校に来る事は無かった。


クリスマス。
家で寝転がってゲームをしていると、母が呼ぶ声がした。

「明日、お寺でご葬儀だって。」
母は、そう言った。


お寺の前にはクラスメート、先生。
それに知らない大人がたくさんいた。

みんな一列に並んで、花を1輪持っている。
白い花。
それを木の箱の中に、彼女の体の上に。
体の周りに置いていく。

誰も何も言わない。
あの時見たお母さんらしき人がいる。
何も言わずに、しっかりと立って箱を見ていた。
彼女を見ていたのだろう。

彼女の体とほぼ同じ大きさの木の箱。
花でどんどん埋まっていく。
最後はお母さんが、残った花を一本一本敷き詰めて行った。

そして、箱の蓋が閉められる。

雪が降り出していた。
白い顔。
白い花。
そして白い空。
冬の透き通る様な白い空。
真っ白な雪。

彼女は雪というイメージじゃない。
もっと明るくて、常に笑っていた気がする。
少なくともその顔しか思い出せなかった。


それからだいぶ時間が過ぎて、だいぶ色恋が分かって来た。
あの時の雪の中の気持ち。
車の後ろをぼーっと立ってみていた気持ち。
それがなんなのか分かった。

僕はあの子の事が好きだったんだろう。
相手がどうだったかは分からない。
でも、僕はあの子の事を好きだったんだろう。

そんな事考え付かなかった。
なんでだろう。
子供も子供だったんだろうな。

今日はクリスマス。
窓の外を見ると雪が降っている。

雪を見ると思い出す。
白い顔を、白い花を。
そして、あの日の車の後ろを。


こちらの企画に参加させて頂きます。
こういうものでないのかなとも思ったのですが…本当にすみません….。

こちらの企画、麦野さんの小説から知りました。
こちらも是非読んでください!


この話、ちょっとだけホントが入っていたりします。
にしても、小さい頃ってほんと子供だったなあって思います。

今の子達は、私の時代より全然大人だなあとも思います。
時代がそうさせるんでしょうね。
好きっていうのが恥ずかしいとか
カッコ悪いなんていう風潮もあったなあと。

理由はいろいろあれど後悔はしない様にしたいですね。
生きている内にしか、何かをする事は出来ないですし。
やって後悔するのも、やらないで後悔するのも同じといえば同じかなって。

….、歳をとったから思うのかもしれませんね。

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