329.「ウソつき音声時計」ウソの“時”を告げる目覚し時計があった~
【わくわく発想術6.】発想のヒント
※アイデアって、どんなに時代が変わっても色あせない。だ、大きく変化しているだけにすぎない。アイデアってすべてマネから始まる。ならば過去の素晴らしい、面白いアイデアだって、全てが宝物。過去には無限のアイデアのヒントが転がっている。そして、そのアイデアから新しいアイデアへと、大変貌し、大変化し続けている。過去の素晴らしいアイデアなき、新しいアイデアなんて生まれないかも知れないぐらい凄い潜在能力を持つている気がする。そう、過去から未来への創造するアイデアをヒントにして欲しい。
(1)タウンウオッチングで耳のアクセサリーのイヤー・ヘッドホンが生まれた。

音響機器というと何か特別な技術者の分野の開発というイメージが先行し、私達素人のアイデアが入り込む余地がないと感ずる人も多い。
また基本的に男性向けに作られている。
アイワ開発担当者の芳賀久美子さんは、もっと女性向けのアクセサリー兼用に使える面白い商品はできないかといつも考えていた。
芳賀さんの場合、女性。男性だけの独占音響機器ではなく、当初から作るのなら女性向きのものが欲しいと考え、イヤリングタイプのヘッドホンと決めていた。これならば男性があまり使うことはない。
しかし、これだけではつまらない。
これはアイデアだけではダメ、商品にするなら個性も必要。
そのためにケースの形をどうするかが問題点だった。
そこで芳賀さんは、そのヒントをつかむために渋谷、六本木、原宿などで若い女性の集まる小物屋の店頭を見て歩く。
バードウオッチングならず、タウンウオッチングを来る日も来る日も繰返す。これは、市場の動きを敏感に反応する感性を養うこともできる。
タウンウオッチングの面白さは、人の流れ、人の表情、人の服装や持ち物。そして、店頭での会話内容や何が売れるか、何が売れないか、色や形を含めて様々な分析も可能。
また、自分の記憶だけに頼るのが不安ならば、簡単なメモやスケッチ、または写真によて記録するのも自由。ここにタウンウオッチングの面白さがある。
そして芳賀さんはそのウオッチングの結果、女性が好む形はハート型。色は華やかなカラー。価格は二千円から三千円までといった商品全体のイメージが出来上がった。
しかしこれだけでは終らない。それはどう他の商品と差別化、個性化を図るか。そのために低価格であったとしても高級感をどう出せば良いかと知恵を絞る。
それは単なるハート型のケースではあまりにも芸がない。
イヤホーンを取り外したときにハート型のケースを小物入れに使えば「一石二鳥」という読みもあった。そこで女性の常備携帯品である化粧コンパクトに似せることにした。
試作品はクレー(粘土)で立体的なハート型をデザイン。コンパクトにも使えるように、裏ブタにハート型ミラーをはめ込んだ。
音饗機器の容器にミラーをはめ込むなんて、女性でなければ考えられないアイデア、前代未聞。
コードのヘッド部分にはイヤリングと同じに使えるようなピア・ピースをつける。これは最初に耳に付けたとき、ピアスに見えるようにシルバーの玉だけにしたが、おしゃれに敏感な女性のために、スペアを二セットケース内に入れ取り替えられるようにしてある。
色は全部で七種類。商品をより一層印象づけるために、色にもアンテイック・ブラックとか、パッション・レッド、あるいはスイートピンクといったようにイメージを強調する名前をつけた。
その上、ヘッドホンの音が出る部分もハート型に穴をあけ、耳にうまくはめ込めるように細工がしてある。
芳賀さんの発想のポイントは「女性である」「男性向けばかりの中に女性の好みをつかむ」タウンウオッチングの中から生まれた現実的なアイデアともいえる。
ヒット商品の50%はメーカーが作り出すが、あと50%はユーザーの選択眼にかかっている。自己満足の商品開発はあまり通用しない。つまり、買う人の生活の中にジャスト・フイットするものがヒット商品となり得る。
芳賀さんは、自分が欲しい商品を考えたところからこのヒット商品が誕生した。
ネーミングは「ミニコロン」。
今では様々な種類が生まれている。
(2)「ウソつき音声時計」ウソの“時”を告げる目覚し時計
カシオの計算機の開発担当者の高野秀士さんのアイデアのキーワードは「ヒトのウソをモノに採り入れられないか」と日々考えていた。
高野さんは企画を提案する前には必ずアンケート調査を行う。
その理由は、自分の周りには考えの異なった人が必ずいる、その人達を納得させるための理論的裏付けを取るためである。
そして自分の感性で「自分の情報をとる」ことによって、企画者(発明者)特有の固定観念やエゴをとるためでもある。
それは自分だけの考えに偏らず、主観的に物事を判断しないための方法。そうすることによって自分の位置を確認することができる。
そこでこんなアンケートを繰り返した。
「あなたは、今どうやって朝目覚めますか?」この手のアンケートを繰り返し行った、しかし回答はいつも同じ次の三つ。
① 目覚し時計を使う。
② 母親に起こしてもらう。
③ 友人、恋人からのモーニングコール。

なかには子供に起こしてもらう。妻に起こしてもらう、自然に起きれるといった具合だ。
このようなアンケート調査は、過去クロックメーカーの企画マンであれば何度となく同じ質問を繰り返し、同じ答え同じ結果だっただろう。
それでは目覚し時計に新しい機能は必要ないか?
このテーマで高野さんのチームの討論が始まった。
そこで、このアンケート調査の中に重大なアイデアのヒントが隠れていた。それは入社したての同僚の一言だった。
「僕はよく、母親にウソを言われて、ビックリして飛び起きました。」
これはなかなか起きない子供に、手を焼いたお母さんが少し進んだ時間をいう手だ。
「エッ、これじゃあ遅刻しちゃうよ」
こんな風に起こされた子供は怒り、あせる。
こんな経験は誰にでもある。
このヒントによって、「ヒト」は状況に応じてあれこれと考えるけれど、「モノ」はきまったことしかできないことに気づいた。
そこで、「毎日違ったウソをつくにくたらしい目覚し時計」を開発、そしてヒットした。
「ウソ」をいう時計なんて今の時代は簡単に作れるハード要素はそろっている。それでは「どうやって商品にするか」という点に絞られた。
それはソフトをどうするかということである。
できるだけ「ヒト」に近い感覚をもった「モノ」に仕上げるアイデアが次々と出され、そして出来上がったのが「ウソつき音声時計」。
この時計の面白さは、毎日、毎回、ウソをいったり、言わなかったり何ともにくらしい時計。
指定した時刻にときどき実際の時刻より少し進んだ時刻を告げるビックリアラーム機能を搭載した愉快な音声グッズ。
目覚しは必ず定刻の時間に鳴るという固定観念から、必ず定刻には鳴らず、また鳴る時もあるという不安定。毎朝ビックリしたり、ホッとしたり、バレてしまっているウソにかかわらず毎朝、刺激的な朝を迎える現代人にはピッタリかも。
残念ながら今は販売していない。
だが、このアイデアはいただけそうですね。

※本内容は、発明、アイデア、著作権を中心とした「創作アイデア」のためのヒント集となっています。
どうか、みなさまの仕事や生活、趣味やさまざまな商品開発などのお役に立つことを主眼としています。ぜひ、楽しみながらお読みください。
私たち著作権協会では専門的なことはその方々にお任せして、さらに大切な「アイデア」「発想」などのヒントとなる内容にする予定です。
何度も言いますが「アイデア(内容)」は、著作権では保護できません。著作権が保護するものは「表現(創作したもの)」の世界です。
しかし、どちらもアイデア(ひらめき)があって、形になるものですから、著作権の世界でもこのアイデアという表現、創作の世界にもあるものです。
本内容は、全国の都道府県、市町村、学校、NPО団体、中小企業、noteの皆様、クリエイター、個人の方々を対象としているものです。また、全国の職員研修での講演先のみなさまにもおすすめしています。
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