48.試作品のサンプルなのですが、著作権ってあるのでしょうか?
試作品と著作権
質問60・わたしが考案したアイデアスケッチをもとに、プラスチック性のサンプルを発注し、代金を支払いましたが、その試作品の著作権は当然わたしにあると思いますが、どうなのでしょうか。
試作品、サンプルといっても一体どんなものでしょうか?
実物を見ないと何ともいえませんが、著作権法の定義である「思想または感情を創作的に表現したもの‥‥」かどうかが、まず基準になります。
著作権法の定義にあてはまるものであれば、発明やアイデアの試作品でも著作権は発生しています。つまり、創作性のあるものであれば、著作権は」あります。
単なる四角や丸い箱状のプラスチック性のサンプルでは、よほどの形状でなければ創作性があるとは思えませんが、ご質問の内容が著作権ですから、創作性のあるものという前提でお答えします。
まず著作権は、その著作物を創作した者に権利が発生するわけですが、アイデアスケッチに創作性があれば、それには著作権が発生しています。
しかし、そのアイデアスケッチをもとに制作された試作品は、それを創った人に新たな著作権が発生します。アイデアスケッチを書き、代金を支払ったのだから自動的に自分が著作者になるというのは誤りです。そのサンプルの著作権はあくまでもそれを制作した者にあります。
もうひとつの質問ですが、他から依頼されて制作した試作品に関しても、それを制作した本人(あなた)に著作権は発生しています。
最後の質問の自分が外部に試作を発注し、他に売った場合の著作権の問題も同じです。外部に発注した自分に権利があるのではなく、外部で試作をつくった者に著作権が発生しています。
このように、権利関係が一見複雑になると何かの争いが生じた場合、そのサンプルにかかわる人たちすべてが、後で困ることになる恐れがあります。
これらを最小限度にくい止めるためにも、「著作権使用許諾契約書」「著作権譲渡契約書」を結ぶ必要があります。
日々、試作を制作する会社にとってはめんどだと思うかもしれませんが、本来、「試作制作費用の請求」と「著作権譲渡契約料の請求」の二つの請求が可能なものです。
また、著作権を明確にすることによってトラブルを防ぎ、商品価値も高まります。さらに付加価値として、「著作権の創作事実の証明」が契約上、取引上の安全確保となります。
つまり財産的価値が高まることになります。
著作権は創作した者に発生する権利のため、外部、外注、下請先との権利関係を明確にしないと複雑化して、争いが生じた場合、関わるすべての人たちが最終的に困ってしまいます。
そのため、著作権の譲渡契約は必ず必要になります。
教育と著作権
質問61・教材としてパソコン用のソフトを購入して使おうと考えていますが、使用するにあたっての注意点を教えてください。
著作権法三十五条「学校その他の教育機関において教育を担当する者は、その授業の過程における使用に供することを目的とする場合には、必要と認められる限度において、公表された著作物を複製することができる‥‥」(営利を目的として設置されているものは除く)と規定されていますので、授業の過程で使用することを目的とする限り複製することは自由です。
ただし次の二点が主な注意点です。たとえばパソコンを購入すれば、同時に使用するソフトが必要になります。
これはメーカー側との使用契約がありますので、その範囲内でのコピーは著作権侵害にはなりませんが、パソコン一○台購入に対して、一本のソフトを各パソコンにインストールして使用するといった場合、使用契約に記載されていなければ、著作権を侵害したことになります。
また、「必要と認められる限度‥‥」という範囲に関する解釈は、四○〜五○名程度の通常の教室で使用する場合といわれています。
ただし、教育関係とはいえメーカー側もビジネスですから、メーカー側にあらかじめ了解を得ることが望ましいといえます。
著作権法三十五条を拡大解釈し、教育を担当する者だから、また研究者の多くは教育者であるから自由に著作物を複製してもかまわないという考え方が多いのは事実です。
しかし、同条の但し書きには、「ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし、著作者の利益を不等に害することとなる場合は、この限りではない」としているのでこの点は注意しなければなりません。
小中学校の副教材は、教育目的の複製にはあたらないとされ、二〇〇一年一二月二五日の裁判で確定しています。
教師がそのまま副教材として複製利用するのではなく、その副教材を参考にし、自らが制作したものをコピーして配るための複製行為だけに限られています。
また、大学の場合は小・中・高校とは異なり、受講者が多く、二〇〇〜三〇〇部のコピーはこの制限を越えてしまう恐れがあり、教育のためとはいえ、「複写する必要と認められる限度‥‥」を越えているでしょう。
このように、著作権法三十五条の但し書きには注意しなければなりません。
また、学校内のパソコン教室で使用するため、教師が各種ソフト素材をデジタル化することがあります。
この場合も同じですが、このデジタル化を教師自らがする場合は別ですが、他人に依頼してデジタル複製物を作成する場合は、三十五条は適用されません。必ず権利者の複製の許諾が必要になります。
最近では、教室内で多数のパソコンをネットワークで結び、同じプログラムを使用して授業がおこなわれていますが、平成九年までの著作権法では問題はなかったのですが、平成十年の改正によって、プログラム著作物の送信につき、公衆送信権の処理が必要になりました。著作権者から公衆送信の許諾が必ず必要ということです。

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