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235.「阪神優勝」はOK!「巨人優勝」はNO!担当審査官のよって勝手に判定されてしまう商標権。


1.「営利」と「非営利」の範囲はどこまでなのだろう?


こんな質問が多くなりました。例えば音楽を利用したチャリティコンサート、カラオケコンテスト、音楽祭等には音楽は必ずつきものです。
商業施設や飲食店、物販店と、どこの店の中でも音楽は流れています。

また、都道府県市町村のロビーや待合室などでも音楽が利用され、音楽の無い場所はないくらいの利用度となっています。

例えば、市町村のロビーで流れるバックミュージックなどは施設自体が「非営利」のため著作権侵害とはなりませんが、商業施設や飲食・物販店などは「営利を目的」としているため著作権の支払義務が生じます。

有線設備を整えているところはその有線の支払いに著作権料が含まれていますので支払う必要はありませんが、店主が自分の選んだ曲を店内で流すためにCDやアルバムを流す場合は著作権料が発生します。

自分が好きな曲でCDやアルバムを購入した者であっても私的利用(個人が楽しむ)であれば何も問題はありませんが、営利を目的とした場所で不特定多数に聞かせるものはたとえバックミュージックであったとしても著作権は発生します。

また、チャリティコンサートと題した寄付行為なども主催者に利益がなくとも、内容を問わず金品の受領があるものは「営利」とみなされます。

では、無料での音楽コンサートならば「非営利」なので問題はないかといえば、そこに何らかの金銭の授受がある場合は「営利」とみなされます。

例えば、演奏料、出演料、謝金、音響設備などの費用、そのための配送費などがある場合も「営利」とみなされます。

では、一切の入場料や何も費用をかけなければ「非営利」となるため自由に音楽を使用できますが、会費を取っていたりすれば「営利事業」とみなされます。

また、一切の入場料なし、会費もなし、純粋なボランテイアによって開催されたイベントならば何も問題はありませんが、音楽を流すためにCDやアルバムを歌う順番に編集したならば、それは勝手に他人の著作物を改変してしまいますので著作権侵害行為となります。

このように一切の費用が発生しない場合は「非営利」となりますが「寄付」行為などは金品の授受があるため「営利」となります。

これは映像なども同じ扱いです。
「それでは何もできないのではないか?」という人もいますが、そのためには必ず使用許諾を取ればいい事だけですべては解決します。
その届け出先が日本音楽著作権協会(ジャスラック)です。
一曲の使用料などは規模によって異なりますが、大した金額ではありません。正式に届けを出すことで安心して開催出来るのですからそのようにすることですべては解決するはずです。
 

2.著作権登録は必要ないけれど、証明は必要になる。


 
ここへきて、著作権登録の質問が多くなってきている。
基本的には「著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生する」権利なので著作権登録は必要はない。

また登録という言葉が何やら特許等の工業所有権の登録というニュアンスに似ているため誤解もある。

むしろ著作権の場合はこの登録という言葉よりも、「創作事実の証明」「著作権の証明」といったように「証明効果」としての言葉の方が似合う気もする。
だから著作権の登録は必要なく、著作権の証明が大切だと多くの質問に答えている。
またそんな証明はいらないという団体もあるが、もしそれらの証明がなければ、最終的に行われる商取引や契約上においてどう証明するのかという問題点や、「著作者の存在」や責任、譲渡されたあとの「著作権者であるという証明」「所有者であるという証明」はどう証明するのだろう。

それに著作権者は必ずしも著作者にある訳ではない。

つまり、著作権を譲渡することによって、著作権者が次から次へと移動する場合もある。
このことの混乱やお互いの利益、被害を最小限度にくい止めるためにも、この著作権証明は、とても重要なことになる。必要ないという方がいたら、「どう証明したらいいの?」と質問したらおそらく具体的に説明できる人がいないのではないだろうか?

 

3.阪神優勝どうなるの?担当審査官のよって勝手に判定されてしまう。


 
2002年(平成14年)7月22日の話だけれど、こんなことは許されない。

千葉の男性が「阪神優勝」の四文字をロゴとして特許庁に商標登録申請し、昨年の2月に認められていたことがこの日にわかった。

特許法上、阪神球団はこの男性が持つ商標権の分野の関連グッズに「阪神優勝」の文字を印刷する場合には男性の特許が必要になる。

阪神球団側はこの時点で損害賠償請求という強硬な対応策を考えていた。
阪神球団の野崎勝義球団社長(61歳)は7月24に大阪・福島区の阪神電鉄本社で記者会見した。

「この男性の商標登録商品が商品化された時点で損害賠償請求を考えている」と答えた。
また野崎球団社長は、男性の代理人が「阪神優勝」とロゴの入ったグッズ製作を特許庁に申請したが、「グッズ製作は阪神球団が行うべき・・・・」との理由で、今年の3月に一度、拒絶されていてことも明らかにした。

この時点で球団側の弁護士は、男性側の弁護士と問題解決に向けて話し合っていた。しかし、野田球団社長は、
「商標を返してもらえなかったら、不正競争防止法に基づいて相手に異議申し立てをする」としていた。

この商標を登録したのは千葉県松戸市の男性で、そのロゴは旗の中央に「阪神優勝」の4文字をあしらったもので、服やオモチャの分野で2001年に3月に出願し、2002年2月に認められていた。

この事件は現在もずいぶんともたついているが、この文字の商標権を阪神球団が持っているのなら何も問題はない。
だが、他の人が取得してしまったことから事態が複雑になってしまった。


4.「阪神優勝」はOK!「巨人優勝」はNO!



 
さらに類似の問題の「巨人優勝」を出願したケースは、登録拒否の憂き目にある。
これでは商標登録の基準にも問題があるといわざる得ない。

「阪神優勝」の男性は熱烈な阪神ファンだという。
この男性は、千葉県松戸市の衣料品店の経営者。阪神球団は昨年、同じ文字を申請したが「既に登録されている」とことわられてしまった。

そのため、2002年8月21日に球団側は、「商標は無効だ。法的措置を取る」と発表。

だが、どうしてこのような事態が起こってしまったのだろう。

まず特許庁商標課は登録できない基準として、登録済み商標と類似性が高いことなどを挙げている。この基準は、
「阪神という言葉はデパートや鉄道会社にも付けられている。登録済みの『阪神タイガース』という商標と類似性が高いとはいえず、基準に抵触しないと判断した」と説明。

しかし、これに対して昨年五月に青森市の女性が登録申請した「巨人優勝」が拒否された理由については明快な答えがない。

同課では「『巨人優勝』という言葉だけでは、誰が製品を作り販売するのかが明確でない」と指摘するだけで、なぜ第三者が「阪神優勝」を登録できた判断と違いがまったくわからない。

これは、マスコミ等がこの問題に騒ぎ出したため、その影響によって登録拒否に出たのではないだろうか。
同年7月29日。阪神球団側は兵庫県西宮市の球団事務所で話し合いの末、男性が商標を球団に譲渡することで大筋で合意したと会見を行い発表した。

当時の阪神球団の村瀬勲常務は、
「金銭面も含め基本的な部分では一致しており、大筋で合意に達した。すでに男性側が生産・販売している商品の取扱いなどの問題について相手方と話し合い、優勝が決るまでには最終的な譲渡契約を済ませたい。優勝に水を差したくない」と話した。

しかし、同年8月21日に両者とも、男性の取扱う商品に関しての話し合い部分で決裂してしまった。

これは、男性側が商標権は譲渡するが、現在の取扱っている商品は売らせてもらいたいという主張に対して阪神側は難色を示したと思われる。
この問題はこのまま放置しっぱなしでは最終的に両者にとっても困る問題だ。

さて、この商標権がどうして登録できたのだろう?

この点を特許庁商標課に聞いてみた。「厳正な試験をパスした審査官約150人が個々に判断しており、理由を並列に比べて説明するのは難しい。『巨人優勝』の女性の場合は、納得できないとして不服審判を請求しているが・・・・・」

つまり、審査官の感性や考え方によって判断されているということがわかる。
これは以前、このnoteで話した、『NPO』の商標と同じことがいえている。『NPO広場』で申請したが登録拒否を受けた日本NPOセンター。

「一般的な言葉で商標登録にふさわしくない」と拒絶された例だ。
それなのに角川書店の関連会社が「NPO」と「ボランティア」という言葉を商標登録することができてしまった。

それでは特許等の工業所有権の代理申請などを行う日本弁理士会ではこの問題をどうみているのだろう。

弁理士会副会長の峯唯夫氏はマスコミにこう語る。
「商標はメーカーなどが、誰が作っているかを明らかにするためのもの。洋服で襟の内側に細長く付く襟ネームに『阪神優勝』と付ければ違法だが、Tシャツの胸に大きくプリントされていても、模様と同じ扱いで商標法には抵触しない」「中国で『青森』という言葉が商標登録申請され、青森県が登録撤回の異議申し立てをした。青森だと地名の青森と同時に『青い森』という意味と主張することは可能。このようなボーダー線上の商標申請は多く、審査官の裁量が大きく影響する」と答えた…。

また、峯副会長はこれらの問題に対して、「審査官は大阪にも縁がなく、野球にも興味ない人だったかもしれない。
今、審査すれば、さすがに下りなかっただろう」と語る。

しかし、日本弁理士連合会の知的所有権委員会の光石前委員長は、「阪神優勝と聞いて、タイガースの優勝を理解していない人はいないのではないか。特許庁は商標を認めるべきではなかった」という。

また光石氏は、
「商標登録は、他社の商品と混同する恐れのある場合や不正の目的で使用する場合などは登録を得られない」
「特許庁の審査の問題は、単にマークを対比して審査しているからだ。『阪神』部分は同じだが、その下の『タイガース』と『優勝』は文字が違うので称号が異なるということなのだろう。阪神という言葉で、普通の人々が頭に思い浮かべるイメージに、もっと想像力を働かせるべきだった」と語る。


さて、『阪神OK』『阪神NO』この矛盾した対応は今後どのような影響を与えていくのでしょう。また、阪神球団も、商標権がなくたって、不正競争防止法で充分に戦っていけると思うが、どうでしょう?
 
 


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※注 この著作権noteは1999年からの事件を取り上げ、2000年、2001年と取り上げ続け、現在は2002年に突入。今後はさらに2003年から2020年~2022年に向けて膨大な作業を続けています。その理由は、すべての事件やトラブルは過去の事実、過去の判例を元に裁判が行われているからです。そのため、過去の事件と現在を同時進行しながら比較していただければ幸いでございます。時代はどんどんとネットの普及と同時に様変わりしていますが、著作権や肖像権、プライバシー権、個人情報なども基本的なことは変わらないまでも判例を元に少しずつ変化していることがわかります。
これらがnoteのクリエイターさんたちの何かしらの参考資料になればと願いつつまとめ続けているものです。また、同時に全国の都道府県、市町村の広報機関、各種関係団体、ボランティア、NPО団体等にお役に立つことも著作権協会の使命としてまとめ続けているものです。ぜひ、ご理解と応援をよろしくお願い申し上げます。
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