535.文章って、上手いから本が売れる、多くの人に読まれるわけではないよね。【出版論第2章】新シリーズ「著作者になる!⑬」

1.文章が上手いから本が売れる、多くの人に読まれるわけではない
もし、文章が上手だから本が売れるとしたら、世の中は上手い文章だらけになってしまい。すべての人は文章をただ上手くなるだけで楽になる。
でも、そんなことはない。
文章はその人の顔である。
その人の顔ということは、みんな人によって顔はちがう。
顔がちがうということは、性格や考え方だってちがう。
好みもちがうし、嫌いなものもちがう。
まさに百人百通り、千人千通り、万人万通りの世の中です。
文章が上手に書けるからエライ、文章が上手なら多くの人に読まれるとしたなら、みんな文章が上手い人はベストセラー作家になってしまう。
そんなことはない。
大切なことは、読む人に喜んでもらうこと。楽しんでもらうこと。みんなの役に立つこと。それが売れる本といえます。
ですから人とちがう、人の知らないこと、体験や経験は、大いに役に立つはず。

2.上手な文章は読みにくいし、作者の顔が見えない!
よく文章の書き方教室などがあり、そこで文章を学んでいる人もよく見かける。ペン習字といった書き文字の教室などもある。
では、そこでは一体何を学んでいるかというと、上手だといわれる文章をマネし、上手に書くための練習をしている。
ペン習字も同じ。テキストをもとにそのお手本に近く書くようにしながら、なぞりながらお手本に近づこうと努力します。
また、最近ではエッセイ教室なるものがあり、多くの人たちが集まり、自分の身近な出来事や生活の中からテーマを探して、エッセイを書いている。
そして、各先生は指導の中で、お手本にちかいものを優秀と考え、お手本から離れたものは低く評価する。
わたしは、これは前々から不思議で、おかしいと思っていた。
それは、どうして同じように、同じような型にあてはめばならないのだろう。
たしかに基本を学ぶためにはお手本を参考にするのはかまわないが、創作内容に関しては、もっともっと自由であってかまわないと思っている。
わたしたちはこどもの頃は別としても、もう社会に出てから何十年も過ぎているのだから、あまり書き方にこだわり、何かの型にあてはめる必要はありません。
どうしてこのような世界は、
その型にあてはめようとするのでしょうか?
文章に作法や特別な技術はいりません。
大切なことは伝えること、伝わることです。
ですから、型にはまった文章ほど、つまらないものはありませんし、あまり型にはまってしまえば、そのクセが取れなくなる恐れがあるからです。
文章というのは不思議なもので、上手ければ上手くなるほど読みにくくなったり、読む気が起こらなくなる場合もあります。
だって文章、文体など人とちがって当たり前ですし、ちがうからこそ、その人の独自性が表現できるわけです。
だから、うまくなればなるほど、余程のことがない限り、著作者の顔が見えなくなってしまうのです。
おそらく文章だけで著作者の個性や独自性を区別するのはむずかしいでしょう。やはり下手でもいい。伝わればいい、喜んでもらえて、役に立ち、わたしの考え、わたしの顔を伝えることが、本当の文章の達人かもしれませんよ!
2.上手になる弊害
ここで、わたしの体験を少しお伝えします。
私は若い頃、ある有名なイラストレーターの方のアシスタントをしていました。そこで修行していろんなことを学びました。
アシスタント料をいただきながら勉強できるのですからこんな素晴らしいことはありません。
そして、アシスタントする以上先生の「味」というものがあります。
それを壊さないために先生の「味」を吸収して、先生の技術に近づくことがもっとも近い早道だとも考えていたのです。
しかし、反面、困った問題が起こりました。
やがて、自分が独り立ちして仕事をはじめるのですが、そのアシスタント時代の癖と、「こうあるべき」が身についてしまい。
作品がその先生とソツクリになってしまうのです。
私はリアルな世界よりもデフォルメされたキャラクターの世界で生きようとしていたのですが、その癖をなくすのに数十年の時間がかかってしまいました。そのため、弟子になる、先生に教わることは良いことなのですが、その教えの「こうあるべきだ」を外すことができなくなってしまいました。
そして、自分の個性、独自性、「味」を失ってしまいました…。
ですから、創作の世界は学ぶ。まねぶことは大切なのですが、自分を見失ってしまう可能性もあると思うのです。

3.下手であれば下手であるほど味が出るのが文章の力!
上手い文章はプロに任せて、われわれ素人は、素人らしく楽しく書くことをおすすめする。
でも、上手い文章は、小説や文芸作家であれば必要なことですが、最近はご存じの通り、スマホ小説なるものも世の中に登場しています。
さらにパソコン上でのブログも花盛り。しかし、スマホ、パソコンは目が痛い、長時間見続けると視力だってどんどん落ちていく。
どうして文章を読むのに辛い思いをしなければならないのだろう。
みなさんは平気ですか?
わたしはやはり本が好き、本ならば100ページぐらい読んでも疲れないし、目がとても楽。ですから文章は、本とパソコンの両者があるとすれば、本が一番読みやすく向いていると思う。
そして、文章の大切なことは「味」にあります。
その「味」を出す方法は、決して上手く書く必要はなく、上手に書くと味を失います。
それは他人の目を意識しすぎたり、本当はこのままの文章で勧めようと思っていても、良く見られたいと思う文章は、たしかに丁寧で、言葉を選んでまとめることになるとは思いますが、最初に感じ、思うところが、変に格好をつけてしまったり、文章に懲り過ぎたりしてしまい、正直な自分の感情が表現できなくなります。
たとえば、
「ねえ、ねえ、空がとってもキレイ!こんな日はのんびりしたい」というものが、
「今日の空はとても美しい。晴れ上がった青空の下で座るのもいい」
このように文章自体は話し言葉であっても前者のように伝わりやすいことがわかります。
「雲の佇まいなども夏が誓いことを思わせてくれます」よりも、
「もうすぐ夏が来る、あれは夏雲だね、きっと!」の方がわかりやすく伝わりやすいはずです。
ですから妙に、文章を気張って書き、百科事典をそばに置き、むずかしい言葉を100探すより、一言の語り言葉の方が表現しやすいことがわかります。
このように一般的には下手だといわれる文章ほど実は「味」があり、その「味」は、共感を与え、感動を伝えることが可能になるはずです。
文章に達人はいりません。
わたしたちは伝える達人になればいいのです。
続く~
文字数4,197文字

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